心理カウンセラー 別府武彦さんインタビュー[1/2]

Q. 心理カウンセリングとの出会い、興味を持ったきっかけを教えてください

私は自分が幼少の時から性的マイノリティで苦しんできたこともあって、「どうして自分は同じ男の子たちと心の持ちようが違うのだろう」と、いつもストレスを感じていました。

心理学に興味を持ったのは小3のとき。
偶然学校の図書館で「こころの科学」という心理学の本を見つけて、その中に“男性、女性、それ以外で悩んでいる人たちもいる”という記述があるのを読んだんです。

そのときから、「心理学を学べば、男性女性以外の考えを持っている人たちのことも分かるようになるんじゃないか」と、心理学についてもっと知りたくなりました。その後、医療の道に進みましたが、思えばあの本が今の活動の起点になっている気がします。

Q. 医療福祉業界でのご活躍、
スクール設立や資格の立ち上げに至るまでの道のりについてお聞かせください

心理学の講座を作ろうと決めたのは、30歳になる少し前から。
私のような性的マイノリティの人たちを救いたい、というと大げさですが、自分も楽になりたいし、そういう人たちのためにも何かしら役に立ちたいという思いから取り組みました。

実は、立ち上げ当時はLGBT（レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーを指す言葉）を理解するカウンセラーはいませんでした。
だからこそ自分で研究しLGBTはもちろん、それ以外にも障害者、独居老人、母子・父子家庭などマイノリティと呼ばれる人たちを理解し助けられるカウンセラーを育てたいと思ったんです。

そのために自分で心理学をベースに教材を作り、講座を立ち上げました。

Q. つまづいた経験、努力したことなどエピソードを教えてください

立ち上げ当時は、LGBTなどマイノリティを理解させるための学問が全くなかった状態。
世界的に見るとLGBTに関しては同性婚やパートナーシップ制度など社会的保障がされている国も多いのですが、先進国の中では日本とロシアだけでそういった制度がありません。
日本人はなかなか関心さえ持ってくれないというのが現実なんです。
そのため理解も得られにくく苦労しました。

でもこのままではいけない。やり始めたら止められないし、止めたら自分の人生が終わる…それくらいの覚悟で努力をしました。

思えばハンディキャップこそが自分のバネになっていたような気がします。

またLGBT以外のマイノリティの方への理解を深めるために、休日には障害児の施設や、老人ホームなどでボランティアも経験させてもらいました。
これは今も続けていて、本当に勉強になっています。

Q. この仕事をする上でのやりがい、醍醐味はなんでしょうか？

今まで1,500人を超える方のカウンセリングをしてきました。

家族にも友達にも相談できない悩みを抱え、問題を口にすることもできなかった方が、カウンセリングをきっかけに言葉にできるようになると、その瞬間に表情ががらりと変わります。
最初は硬かった相談者の方の表情が解けて、笑顔が見られたその瞬間に立ち会えたときは、やはり一番うれしいですね。

心理カウンセラーは、心が曇った状態の人に少しでも晴れ間を見せてあげることができる素晴らしい仕事です。カウンセラーに話すこと＝心の健康を保つことができるサプリメントなんですよね。

私自身、自分がいいサプリメントであり続けたいという思いで、いつも仕事に携わっています。