


大学卒業後、乳製品販売会社に入社し、管理営業として販売員の採用から教育、組織管理全般を担当。3年間務めた後、専門性を高めたいと社会保険労務士事務所を併設した人事コンサルティング会社へ転職。一人で大阪支社の立ち上げに関わるなど経験を積んだ後、29歳で独立。30歳で社労士、CDAの資格をWで取得。現在は社会保険労務士の業務の他、キャリアカウンセリング、研修講師など幅広く活動している。

もともと『自立したビジネスマンになりたい』という希望を持っていた私は、独身のうちに起業をと考え、29歳で人事労務の相談業務を行う社労士事務所を立ち上げました。社労士とCDAの資格を取得しているということもあり、現在は両方に関わる仕事、活かせる業務に携わっています。社労士としてメインで行っているのが組織活性化支援事業、人事賃金制度構築支援事業。そしてCDAとしては大学での学生の就職相談、就職支援の授業の業務にも従事しています。


実はCDAを知ったのは、ある新聞記事がきっかけだったんです。ある日、新聞を読んでいたら『国はこの先、5年間で1万人のキャリアカウンセラーを増やす意向』という趣旨の記事が掲載されていて、同僚に「この資格取らない?」と勧められたんです。社労士として人事的なアドバイスをしているとキャリアの相談を受けることもあり、そうしたことに応えられるスキルの必要性を感じていたところでしたので、「社労士の資格にプラスして、人の支援をやれたら面白いかな」と思い、トライすることにしました。

ときどき、「社労士資格だけで十分なのでは?」「どうしてW資格を?」と聞かれることがあります。確かに一つにしぼった方が、エネルギーを集中できるのかもしれません。しかし私は両方取得してよかったと思っています。一番の利点は支援できる幅が広がったことですね。たとえば「賃金が支払われてなくて困っているんです」という相談を受けたとき、法律上では「2年経てば時効なので、それ以前のものは取り戻せません」とお答えするしかありません。とはいえ、人の気持ちはそうは割り切れないもの。ご本人の気持ちをくんで「それは残念ですよね」と声を掛け、その先のことを一緒に考えていきます。

実は相談者の中には「別のところに労務相談に行き、冷たく言い放たれた…。もう相談したくない」とおっしゃる方もいるんです。そんな声を聴くたび残念に思いますね。私は、社労士として法的知識はきっちりとお伝えしつつも、相談者に寄り添い、傾聴し受容共感しながら先のキャリアまで一緒に考えたい。『社労士+CDA』の強みを役立てていきたいと強く思っています。


CDAを取得したことで大学生の支援ができるようになったのは、私にとってうれしいことでした。あるとき、高校時代をひきこもり気味で過ごし、大学2部に通学している学生さんが相談に来たんです。「正社員採用は難しいですよね」という彼。「難しいかもしれないけれど、やってみよう!」と支援が始まりました。すると、まじめに相談に来る、「自分はこう思います」と意見をちゃんと言うなど、彼のいいところが見えてきたんです。ああ、この主体性があれば大丈夫だと、私は確信しました。
そして半年後、誰もが知っている人気メーカーの系列会社に正社員として入社することができました。入社後、律儀にお礼を言いに訪ねて来てくれたときは、うれしかったですね。
学生支援は、表向きは就職が目的です。しかし、キャリアカウンセリングの目的は「自己概念の成長」。ご本人に成長を感じてもらえるような、そんな相談の場でありたいと思っています。
私は社労士、CDAと立て続けに2つの資格にトライし取得しましたが、これは非常によかったと思っています。中でも一番の利点だと感じるのは、『人とのつながりが広がった』ということですね。社労士もネットワークはありますが、CDAのそれにはかないません。人付き合いが好きな方が多く、いい意味でおせっかいもかけられるので(笑)、想像していた以上に人脈を広げることができました。実際、「こんなことをやりたいと思っているんです」と発信していると「こんな仕事がありますよ」とお話をいただき、仕事につながったケースも多々ありました。



これからキャリアカウンセリングの市場は成熟していきます。そうなればなるほど、専門性を特化し際立たせなければ、生き残っていくのは難しいでしょう。私自身は、これから経営者の方のキャリアカウンセリングができればと考えています。経営コンサルタントは、会社の困りごとをコンサルタントが解決する手法で成り立っていますが、私がやりたいのはご本人が解決することを支援すること。社のトップがイキイキすれば、社員の方たちもきっと幸せに働けるはず。その実現のためにも、これから経営の知識をもっと身に付けていきたいと考えています。