住民を災害から守る職業として人気の高い消防官。29歳まで受験が可能なので、学生の方はもちろん、社会人から転職を目指すケースも珍しくないようです。
消防官は公務員であるため、その職に就くためには各自治体で実施される採用試験に合格する必要があります。
大卒・高卒による目指し方の違いは?消防官の試験とは?など気になる消防官の情報をチェックしてみましょう!
消防官になるためには、採用試験を受けることが必要!
消防官になるための試験には、東京であれば東京消防庁の採用試験があります。各都道府県であれば市町村が設置している消防本部または複数の市町村からなる消防組合が実施する採用試験とがあります。そのため、採用を希望する際には、各消防庁・消防局等の募集に直接申し込みをすることになります。
ここでは、基本的な消防官のなり方を学生の方と社会人の方とに分けてご説明します。※東京消防庁消防官採用試験の場合
高校生
高卒程度試験を受験、もしくは短大・大学へ進学した後に、該当する程度の試験を目指すのがよいでしょう。
短大生
短大卒程度試験を受験するのがよいでしょう。
大学生
大卒程度試験を受験するのが一般的です。
短大卒、大卒程度
試験日の翌年4月1日現在の年齢で29歳以下であれば、受験可能です。
高卒程度
試験日の翌年4月1日現在の年齢で21歳以下であれば、受験可能です。
※上記のように受験されるのが一般的ですが、「高卒程度」「短大卒程度」「大卒程度」は試験の難易度を示すものであり、必ずしも相応の学歴を必要とするものではありません。詳しくは各都道府県にお問い合わせ下さい。
消防官になるのに資格は必要?
受験までに取得しておかなければならない資格や免許はありません。
東京消防庁の場合は、入庁した後スキルアップを目指し各種研修制度や技術認定試験などを受けることができます。
消防官の学校とは?
消防官の学校として一般的に知られているものが二つあります。一つは、消防官を目指すための、採用試験対策の学校です。もう一つが、採用後に入校することになる全寮制の消防学校です。消防学校は、実際の勤務に備えた研修を行うための学校ですので、このページでは試験対策の学校(講座)をご紹介しています。
高卒程度と大卒程度、試験区分による違いは?
各都道府県の採用試験の場合、高卒・大卒・短大卒程度どの採用区分でも「消防士」からスタートします。その後消防副士長、消防士長、といったように昇任できる制度となっていますが、採用区分によって昇任試験を受けるのに必要な勤続期間が異なる場合があります。
採用試験の大きな違いは、必要とされる学力の程度にあります。たとえば高卒程度試験の場合、筆記試験では高校卒業程度の知識が必要です。
※東京消防庁 平成25年度採用案内による。
試験の難易度は?
東京消防庁の試験の倍率は18.6倍となっており、競争に勝てるようしっかり試験対策をしておく必要がありそうです。※東京消防庁 消防官採用試験(平成24年度)
試験は、教養試験、論(作)文試験、適性検査、身体・体力検査、口述試験から構成されています。
採用を決める教養試験と論(作)文試験については、繰り返し問題集を解くなどして確実に知識を身につけておくことと、試験の傾向をおさえておくことが重要となります。
試験対策の方法は?
筆記試験の対策は独学でも可能ですが、その場合自分で試験の傾向や教材について情報収集したりする必要があります。
効率的に、確実に合格を目指したい、という方は専門のスクール(予備校)を利用することをおすすめします。講座の場合、大体6ヶ月、長くても1年前後で対策が可能です。また、スクールによって割引制度もありますので、資料で確認しましょう。
試験に受からなかった場合は?
残念ながら試験に落ちてしまった場合は、気持ちを切り替えて次回の試験での合格を目指しましょう。消防官の採用試験は、受験資格の年齢の上限を越えない限りは再受験が可能ですので、次に向けて対策をスタートするのがよいでしょう。
再受験となると更に費用がかかりそうだけど?
スクールを利用していた場合、再受験に向けてもう一度勉強する方に向けて「再受験割引」として受講の割引を実施しているスクールがあります。
スクールに確認してみましょう。
消防官とは、地域の人の生命、身体、財産を災害から守る役割を担っています。災害はあらゆる現場で生じ、その種類も多様です。どのような現場でもチームワークを発揮し、命の救出を行います。加えて、防災や震災の対策などを行い、未然に火災を防ぐ役割もあります。
どのような仕事があるのか部門別にチェックしてみましょう。
※地域によって部門の名称や分類が異なりますので、詳細については各地域の消防局等にお問い合わせください。
消防部隊 | 報告を受けたらいち早く現場に駆けつけ、状況に合わせた消火活動や救出活動を行います。例)ポンプ対、救急隊など |
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特別部隊 | 通称ハイパーレスキュー隊として知られます。例)世界トップレベルの人命救助部隊や航空隊など |
予防業務 | 建築物の設計段階の指導から実際の建築現場でのチェックにより、建物の防火安全確保をしています。例)火災調査 |
防災安全 | 災害を事前に防ぐため、地域の人々の防災指導をします。例)防災指導、消防団 |
本庁業務 | 将来の消防像を企画し、それに沿った組織整備などを行います。例)企画課、総合指令室 |
消防官の試験は、都道府県ごとに実施されるため、申込み先や日程、試験問題などがすべて異なります。
しかし、基本的な採用の手順と試験の内容は同じです。
消防官試験データ
東京消防庁消防官採用試験
令和2年度
I類 (大学卒業程度) |
・30歳未満で大学(学校教育法による)を卒業又は試験の翌年3月までに卒業見込みの人
・21歳以上30歳未満で大学卒業程度の学力を有する人 |
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II類 (短大卒業程度) |
・30歳未満で短期大学(学校教育法による)を卒業又は翌年3月までに卒業見込みの人
・19歳以上30歳未満で短期大学卒業程度の学力を有する人 |
III類 (高校卒業程度) |
・30歳未満で高校(学校教育法による)を卒業又は翌年3月までに卒業見込みの人
・17歳以上30歳未満で高校卒業程度の学力を有する人 |
専門系 | 30歳未満で、学校教育法に基づく大学(短期大学を除く。)を卒業している人(2021年3月卒業見込みを含む。)又は同等の資格を有する人 |
令和元年
●第1次試験
消防官として必要な一般教養について、I類は大卒程度、II類は短大卒程度、III類は高卒程度の筆記試験を行います。
教養試験(五枝択一式、45問、2時間) | <知能分野>文章理解、英文理解、判断推理、空間概念、数的処理、資料解釈 <知識分野>人文科学(国語、歴史、地理)、社会科学(法学、政治、経済、社会事情)、自然科学(数学、物理、化学、生物) |
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論(作)文試験(1題、1時間30分) |
課題式により、I類及びII類は論文試験、III類は作文試験を行います。 (800字以上1,200字程度) |
適正検査 | 消防官としての適正について検査します |
●第2次試験
・身体・体力検査
項目 | 男性 | 女性 |
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身長 | おおむね160cm以上 | おおむね155cm以上 |
体重 | おおむね50kg以上であること | おおむね45kg以上 |
胸囲 | 身長のおおむね2分の1以上 | |
視力 | 視力(きょう正視力を含む)が両眼で0.7以上、かつ、一眼でそれぞれ0.3以上であること。なお、裸眼視力に制限はありません。 赤色、青色及び黄色の色彩の識別ができること。 |
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聴力 | 正常であること(検査を実施します) | |
肺活量 | おおむね3,000cc以上 | おおむね2,500cc以上 |
体力検査 | 職務執行上必要な体力の有無について検査を行います |
・口述試験(個人面接)
※教養試験の成績が一定点に達しない場合は、論(作)文が採点されません。
※第2次試験は、第1次試験の合格者に対して行います。
第1次試験 I類 1回目5月/2回目8月 II類 6月 III類 9月
18.6倍(平成24年度)
なし
東京消防庁 人事部人事課 採用係
消防官になるまでのスケジュール
採用までの大まかなスケジュールをチェックしてみましょう。
併願受験とは
消防官の採用試験は、市町村などの地域ごとに実施されます。確実に消防官を目指す場合、試験の日程が重ならない限りは、いくつかの地域を併願して受験するのがよいでしょう。