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簿記1級の難易度と合格率は?独学で勉強時間はどれくらい?

簿記1級の難易度は高く、簿記検定の中でもっとも規模が大きい日商簿記での1級合格率は毎回わずか10%程度です。回によっては10%を大きく下回ることもあります。この簿記1級を独学で受験しようとする場合、3級と2級の知識がすでに身についていることを前提とした上で、一般的に必要な勉強時間は約800~2,000時間と言われます。

会社や学校に行きながら毎日確実に確保できる時間を約2時間程度とすると、毎日順調に勉強を進められる人でも、少なくとも約1年、長ければ数年に渡る期間が必要だということです。これは実際に欠かさず1日2時間を確保できた場合ですので、実際にはもっと長い期間が必要になる場合もあります。

公開:2019-02-08 18:48 (最終更新:2019-06-21 14:45)

簿記1級の合格率は?簿記2級とは桁違い!

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冒頭でもお話ししましたが、日商簿記1級の合格率は毎年10%程度です。簿記3級の合格率が40%前後、簿記2級が25%前後ですから、これまでの級と比べてみても圧倒的に合格率は低くなります。当然年によって合格率に差が出ますが、過去の合格率をさかのぼって見てみても15%に届くほど合格率が高い回はありません。しかし、2017年の11月の5.90%のように特に低い回はあります。
実際に直近の5年間の2級と1級の合格率を年別に比較してみると、以下の通りになります。

平成26年の2級の合格率が34.20%なのに対し、1級は9.25%で、その差は24.95%です。
平成27年の2級の合格率が22.70%なのに対し、1級が9.20%で、その差は13.50%です。
平成28年の2級の合格率が18.00%なのに対し、1級が10.10%で、その差は7.90%です。
平成29年の2級の合格率が31.23%なのに対し、1級が7.35%で、その差は23.88%です。
平成30年の2級の合格率が22.60%なのに対し、1級が13.40%で、その差は9.20%です。

(平成30年11月の1級合格率は現時点では未発表のため含まれていません)


ここ5年間の記録だけを見る限りでは、平成28年のように2級の合格率が特に低い年もあるために2級と1級の差が小さく見える年もありますが、1級の合格率に注目すると、どの年を見てもやはり10%前後と大変低い確率になっています。

こうして比較するだけでも、2級までと同じ感覚と勉強の仕方ではとても1級の合格が難しいことが分かります。

>> 簿記2級ってどんな資格?

簿記1級の試験科目は?簿記2級から何が変わったの?

簿記1級の試験科目は2級でも試験範囲だった商業簿記、工業簿記の他、会計学、原価計算の2科目が追加されて4科目となります。商業簿記と工業簿記は2級と比較してもかなり範囲が広がり、理論やより深い理解を求められるため難易度は上がります。そして商業簿記と会計学をセットで、工業簿記と原価計算をセットで学んでいくことになります。

まず、実際の試験前半で出題される商業簿記と会計学ですが、これらは実務で会計処理を行う上でも大切な要素が多く含まれます。具体的には商業簿記は仕訳や財務諸表、帳簿の記入など実践的な出題が多く、浅く広い範囲での知識を求められます。これに対し、会計学では企業会計原則のような条文の穴埋め問題、財務分析についての問題や、〇×問題などの理論中心で、狭く深い範囲の知識が必要となります。

また、試験の後半の工業簿記・原価計算では、工業簿記では標準原価計算に関する問題、原価計算は意思決定に関する問題がよく出題されます。こう見ると難しそうですが、工業簿記でも原価計算の問題が出題されるため、しっかりと原価計算の内容を覚えておけば工業簿記の問題も解きやすくなります。

しかし、工業簿記・原価計算では特に注意すべき点があります。それは最初の1問で出した答えを基にして、それ以降の問題を解いていかなければならない出題形式のため、最初を間違えてしまうと全部の問題が不正解になるということです。つまり2級までと違って部分点を狙うことは難しく、一貫性のある理解が必要になるということです。また、理論に対する理解を試される様々な出題パターンに慣れるために、少しでも多く過去問に当たっていくことも必要になります。

簿記講座・スクール比較

簿記1級の勉強時間はどのくらい?

では、簿記1級を受験するのに、実際にどのくらいの勉強時間を確保すればいいのでしょうか。
冒頭でも言いましたが、日商簿記1級の勉強時間の目安を調べてみたところ、一般的に必要な時間は800~2,000時間とされています。しかし、中には500時間弱で合格したという報告もありました。同じ試験で合格を目指すのにも関わらず、これだけ差が出るのはいくつか理由があります。
まず、その時点で簿記にまったく触れたことのない初学者なのか、1級の勉強を始める時点で2級合格までの知識が完全に備わっているのかで大きく変わってきます。初学者の場合は、まず簿記3級レベルの知識を身に着けるのに約50時間、続いて2級になると約80~100時間が必要になります。更にそこから1級の勉強を始めることになるので、どうしても合計勉強時間が長くなるのです。
次に、勉強に使う時間の密度です。たとえば一日数時間、家事や雑用に中断されることなく集中して机に向かえる人と、通勤・通学時間のような細切れの隙間時間が主な勉強時間になる人とでは、やはり学習効率が変わってきます。
もう一つは独学なのか、スクールや通信教育校を利用するかです。すでに試験合格に向けて教材が揃っており、最新の情報とテキストが用意されていて、専門の講師がいるスクールや通信教育校を利用するか、自分の生活スタイルに合わせて学習スケジュールを自由に組めますが、勉強の前に最初のテキストを選ぶなどの準備から始める独学かで、必要な時間は変わってきます。どちらもメリットデメリットがあるので、いつの受験を目指すのか、自分の生活スタイルはどうなのかなど、考慮した上で、十分な学習時間を確保しましょう。

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簿記1級は独学では難しいのか?

これまで日商簿記3級、2級を独学で取得した方の中には、1級もこれまでと同じように独学で受験しようと思われる方もいるかも知れません。1級の合格は絶対に独学では不可能かと問われると、「合格の可能性は必ずしもゼロではない」という答えになります。ただし、「がんばるだけでは受からない」と言われる1級にはやはりそう言われるだけの理由があり、とても難しいというのが現実です。そしてその難しさの理由は多々あります。

求められるレベルがきわめて高い

日商簿記1級合格には「きわめて高いレベル」が要求されます。この資格試験を主催する日本商工会議所のホームページを見ても「大学等で専門的に学ぶ者に期待するレベル」と明記されるほどの高い知識と技能が求められることになるのです。 まず1級を目指す人は、3級と2級の知識を確実に習得済みであることが前提となります。2016年の出題区分の変更以降、難しくなっていると言われる下位級の知識をしっかりと身に着けた上で、更に広い範囲と、深く専門的な知識を有することを求められるのです。

受験者のレベルが高い中での挑戦になる

後で改めて触れますが、日商簿記1級を取得すると税理士資格の受験が可能になり、公認会計士や税理士、中小企業診断士など、その先に繋がる仕事を視野に入れられるため、それを目指す一定の人数が毎回受験者に含まれることになります。彼らは勉強することに慣れた高学歴の人達であることが多く、これまでの勉強時間も数千時間に及んでいることも珍しくありません。また、1級まで取得しようとする人達は実際の仕事で経理や経営に携わっていることも少なくなく、日常的に数字に触れ、帳簿等に慣れている人が多いのです。その中で10%程度に絞られる合格者の中に入る必要があるのです。

簿記1級の試験範囲は広く深い

簿記1級の難易度が高い理由の一つが「試験範囲が膨大」であることです。2級に比べると2倍とも3倍ともいわれるテキストはただ範囲が広くなったことに比例してページ数が増えただけではありません。それぞれ問われる論点の難易度も上がっていくため、ただこれまで通りに勉強して時間数を増やせばいいというわけにはいかなくなるのです。また理論の正確な理解が必要とされるため、ただ丸暗記するだけでは問題の少しの変更にも対応できなくなるのです。これらの理由からページ数は2~3倍程度にしかなっていなくても、実際の難易度は5~10倍にもなると言われます。

テキスト選びが難しい

資格取得のためのスクールや通信講座を受講しなくても、書店には簿記1級のテキストや問題集がいくつも販売されています。様々な出版社や教育機関がそれらを出版していますし、インターネット上でも多数販売していますので、好みの出版元を探したり、テキストを買う前にインターネット上の口コミなどチェックしたりすることも可能です。そうして自分に向いているかどうかを自力で判断することで、いつでも書店や通信販売で購入をすることができるのです。しかし、当然「これがあなたにとって一番使いやすいテキストです」と教えてくれる人もいなければ、それを買ったからと言って、逐一質問に答えてくれたり、紙面にある情報以上のサポートをしてくれたりするわけではありません。独学で簿記1級を目指すためには、まずテキスト選びの段階から自分で情報を集め、挑戦することになるのです。

つまずくポイントが多い

簿記1級はその膨大な出題範囲の中に、計算問題や理解が難しい論点に関する問題が多数出題されます。4択形式や感覚的な解き方で解答できるものではないため、全体をきちんと理解することが必要となりますが、実務で経理をしている人が見ても難しいと言われるこれらを学んでいく過程の中で、一人ではどうしても理解しづらいことが出てきます。そこが理解できないために先に進めないということになると、まだ学ぶべきことを多数残したまま行き詰ってしまう可能性も大きくなるのです。

受験までに必要となる勉強時間がとても多い

これまでお話しした通り、「それぞれの論点の難易度が大幅に上がっている」「膨大な範囲の知識を定着させるための時間が必要」な上、多少問題を変えられても対応できるようになるために「理論の暗記を確実なものにするだけの時間と根気が必要」になるのが簿記1級です。これを一人でやろうとする場合、つまずいても質問をする相手もおらず、励まし合える仲間もいないため、1年から数年間と長期化しやすい学習期間、休まず学び続けるというモチベーションの維持だけでも大変なことになります。これができなければ合格以前、試験会場にたどり着く以前の、申し込みをする段階で挫折することになってしまうのです。

試験の時間配分が難しい

このように2級と比較して試験科目が格段に増えるのにも関わらず、試験時間が180分しかありません。2級試験が120分ですので、それに比べると1.5倍の試験時間で長く感じるかも知れませんが、出題範囲と難易度、合格の条件を考えると180分は決して長くはないのです。ただひたすら問題を解いていくだけでは時間が足りないということも十分にありえます。どこを素早く解き、どこにどれだけの時間をかけるのがベストなのかを知り、それを体で覚えるための要領を身に着けることも合格するために必要になります。

足切り制度が存在する

更に簿記1級には「足切り制度」というものが存在します。先ほどの合格の条件というのがこれに当たります。 2級では商業簿記、工業簿記の点数の内訳がどうであっても合計が70点あれば合格になりますが、1級の場合は科目それぞれに必要な最低点数が設定されています。これが足切り制度、足切りラインと呼ばれるもので、4科目のうち1科目でも40%(10点)に満たない場合は、合計点が70点を超えていても不合格になってしまうのです。そのため未学習・苦手論点があるだけで合格は遠のき、得意科目のみで点数を稼ごうという学習方法では決して合格を目指せない試験なのです。

相対評価で合否が決まる

聞きなれない言葉かも知れませんが、共に試験に用いられる採点基準のことです。簿記試験は100点満点中70点取れば合格となる試験ですが、日商簿記1級は相対評価となっていると言われます。受験者のレベルが高いのに、それでも合格率が10%前後にしかならない理由がこれだと言われています。 2級までの採点基準は絶対評価とされ、あらかじめ問題ごとに決められた配点の合計が70点に達した時点で合格となります。しかし、相対評価では問題ごとに配点を決められてはいても、いくつかの解答サンプルが用意されており、あまりに平均点が低かったり高かったりする場合は、配点そのものが変更されてしまいます。つまり、結果的に上位10%程度の合格率になる仕組みだと言われているのです。 この配点調整はみんなができた問題の点数を上げ、みんなができなかった問題の点数を下げるため、難しい問題を解けた人が合格となるというわけではありません。反対に基本的な問題を正解できないと高い配点の問題を取り逃すことになるため、合格が遠退いてしまうことになります。ですから、少しでも点数を取りたいと思って努力しても、他の人が解けない難しい問題ばかりに力を入れていては逆に合格の可能性が下がることもあるのです。

簿記1級が難しい理由は多々ありますが、やはり一貫して問題になるのは「的確なテキスト選びが困難」「長期間のモチベーションの維持が難しい」「つまずいた時に質問ができない環境」「理論の正確な理解が難しい」「実際の試験を時間通り解くための要領を掴みにくい」などです。どれも一人では解決が難しい問題であり、日商簿記1級に関して独学を勧められない理由となります。

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簿記1級を獲得するメリットは?

このように学習期間が長く、その内容も難しい上に、合格率の低い簿記1級ですが、もちろん苦労してでも取得することに意味はあります。

まず、第一に就職・転職が有利になります。
簿記1級は「大企業の経理」が務まるレベルの知識を有するものとされます。専門性の高い知識と技能であるため、経理・財務関係や、税理士事務所、公認会計士などの仕事を希望する時にはもちろん、企画部門でも能力を発揮できると見込まれることで、大企業への就職の可能性が高まります。同時期に複数人が就職試験に挑むことになっても、やはり日商簿記1級の資格保有者は高く評価されるでしょう。

現時点で企業経理や会計事務所員などの会計職に就いている人は、簿記1級を取得することで資格手当などを得られることがあるだけでなく、早期昇進に繋がる可能性があります。会計に携わる仕事をする人は税法や会計などに関して常に知識を更新し、学び続けることが必要となります。難関と言われる簿記1級を取得するだけの知識と技能、そしてそれを学ぶ姿勢は更に上位職への就任に繋がる可能性があるのです。

また、進学においてもこの資格は有効です。大学などの推薦入学の際、2級より更に上の資格は高い評価を得られます。

次に、先ほども少し触れましたが、日商簿記1級を取得することで、税理士試験の受験資格が得られます。税理士試験受験資格で設定された学識や職歴がなくても受験ができるということです。税理士、公認会計士などの国家試験の登竜門と言われるのはこのためです。

起業をする、フリーランスになるなどの進路を選んだ場合でも、確実に経理処理が可能で、帳簿の管理が万全になり、経営上の不安が減ることが予想されます。

更に、自分自身の資産形成にも役立ちます。
簿記の資格取得で得た知識と技能があれば、経済に関するニュースや書籍の理解度が格段に上がります。また、決算書などから投資先の経営状態を読み取ることができるようになるため、株式や不動産投資などの投資先を選ぶ際にも大きな力になります。社会の動きや経済情勢を知り、お金の流れを正しく把握し、管理することで自らの資産を大きくすることができるのです。

最後にもうひとつ、努力の末にこの難関試験を突破し、専門の知識と技能を手に入れたという事実は自分の大きな自信になります。自らの力できわめて高度なレベルを求められる専門分野でのスペシャリストになるということです。

簿記講座・スクール比較

簿記1級を取得するためには通信講座や予備校に通うのがおすすめ!

このように取得することで様々なメリットを得られる日商簿記1級ですが、その前にもお話ししたようにこの資格試験は難関で、独学では合格が難しいというのが現実です。

どうしても独学でないと勉強できない理由があるのでなければ、資格取得のためのスクールや通信講座を利用するのがおすすめです。市販のテキストや問題集が悪いというわけではありませんが、常に目に見える結果を出す必要のあるスクールや通信教育校は、たくさんのライバルがいる中で、休むことなくブラッシュアップを続けています。受講生の意見や疑問を吸い上げてテキストのクオリティを上げ、直近の試験の出題傾向を調べ、把握して、一層合格率を上げるための講義や対策問題集を作り上げているのです。この資格に関しての勉強のプロが、独学よりもかなり短い期間で、効率的な勉強方法と要領を教えてくれるだけでなく、目指す試験日に向けて確実な学習計画を組んでくれるだけでも勉強はぐっと楽になります。

その上、分からないことがあれば専門の講師に質問ができるというのは、この難しい資格を目指す上での大きな強みです。また、常に講師や一緒に頑張る仲間がいたり、合格者の体験記などを提供してくれたりすることは長期間のモチベーション維持にとても役に立ちます。

また、多くのスクールや通信教育校は、教育訓練給付金制度対象の講座を持っているため、支払った授業料の20%を取り戻すことができる場合があります。
これらの理由から独学よりも高い費用がかかるとしても、それに見合うだけのメリットがあると言えるのです。

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まとめ

ここまで簿記1級に関しての難易度や合格率、合格に向けて長期での取り組みになることをはじめ、勉強をする上で問題になることや、メリットなどをお話してきました。ご覧の通り、簿記1級は決して簡単な資格試験ではありません。しかし、誰でも簡単に手にできる資格ではないからこそ取得する意味は大きく、実際に取得すれば、間違いなく今よりも社会情勢や経済が把握できるようになります。そして、自分自身の仕事だけでなく、収入面や生活においても大きな力になり、それをやり遂げたという自信になるのです。

勉強するからには確実に合格を目指すことが大切です。努力することは大切ですが、始めるのならやみくもに方向も定まらないまま突き進むのではなく、効率的に無駄のない形での努力を続けましょう。一歩を踏み出すために、情報を集め、自分に適した道を選ぶことも大切です。

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