キャリアコンサルタントはやめとけと言われる5つの理由
「キャリアコンサルタントはやめとけ」と言われるのは、なぜでしょうか?主な5つの理由を解説します。
資格があれば職が安定するわけではない
キャリアコンサルタントの資格は、ただ取得しただけで仕事に就きやすくなるわけではありません。キャリアコンサルタントは、士業のように独占業務を持っているわけではないので、資格保有者でなくても対応が可能です。
また、キャリアコンサルタントだけでの求人は多くなく、非正規雇用の求人が多い点が課題となっています。
労働時間がかさみ激務になりがち
キャリアコンサルタントの業務は多岐にわたり、激務になりがちです。クライアントとの面談や資料作成、企業との交渉に加え、クライアントの都合での夜間や週末の面談も多く、労働時間がどうしても長くなるからです。
そのため、プライベートの時間が削られたり、急な依頼やトラブル対応で予定が狂ったりすることもあります。
ノルマ達成がきつい
キャリアコンサルタントは、企業や個人にサービスを提供する中で、常に一定の成果を求められます。ノルマ達成は仕事の評価や報酬にも直結するため、プレッシャーを感じることが多いでしょう。
とくに転職支援や人材紹介を行う場合には、クライアントの満足度だけでなく、企業側のニーズも満たす必要があり、精神的な負担も大きくなります。
満足いく収入が得られない
キャリアコンサルタントは、一定の成果を上げなければ収入が安定しない現実があります。クライアントの人生に深く関わるため大きな責任感が求められますが、その割に報酬が見合わないと感じることもあるでしょう。
とくにフリーランスの場合、自ら案件を獲得する必要があり、収入が不安定になるリスクが高まります。
対人関係に悩むことが多い
キャリアコンサルタントの業務上、さまざまなバックグラウンドを持つクライアントとコミュニケーションをとりますが、一筋縄ではいかないこともあります。相手の期待に応えられなかった場合や意見が対立してしまう場合には、対人関係のストレスが生じるでしょう。
また、企業との交渉や調整においても、意見の食い違いや誤解が生じることもあるため、冷静に対処して円滑な関係を保つ調整力が求められます。
キャリアコンサルタントとは?
キャリアコンサルタントは、求職者に対してキャリアカウンセリングや職業情報の提供、スキル開発の支援など多岐にわたる業務を行う専門家です。国家資格として認定されており、その取得には一定の研修の修了や試験への合格が求められます。
資格取得後のキャリアコンサルタントの主な活躍場所は、企業や教育関連、公的就職支援機関(ハローワークなど)、人材派遣会社など幅広くあります。
関連記事 キャリアコンサルタントの仕事内容はこちら
キャリアコンサルタントの資格を得るメリット
キャリアコンサルタントは大変・やめとけという意見もありますが、資格を取得するメリットもたくさんあります。ここでは、キャリアコンサルタント資格の取得で得られるメリットを4つご紹介します。
専門知識やコミュニケーションスキルが習得できる
キャリアコンサルタントの資格を取得する過程で、専門知識やコミュニケーション能力を高められます。これらは、一人ひとりに合わせたキャリア支援業務を行ううえで不可欠な基礎であり、大きな力になります。
また、日常の業務遂行や私生活での円滑な人間関係構築など、人生のあらゆる場面で非常に役立つでしょう。
キャリアアップに役立つ
キャリアコンサルタントは経験が活きるため、年齢を重ねても続けやすい仕事です。資格は自身のキャリアに幅と深みを与え、新たな職務や役割に挑戦する際の強力な武器となります。
人材開発や教育関連分野では、専門知識を持つ資格保有者が重宝されることが多いため、転職の際にも大きなアピール要素になるでしょう。
関連記事 キャリアコンサルタントに年齢は関係ある?
信頼性が向上する
キャリアコンサルタント資格は、専門知識と技能を客観的に証明するため、社会的信頼性を高められます。相談者や職場から頼りにされ、結果として職場での地位向上や新たなビジネスチャンスの獲得につながるでしょう。
信頼されるプロフェッショナルとしての地位を築くことで、長期的なキャリアの安定性を確保することも可能になります。
過去の経験を活かしてクライアントの役に立てる
キャリアコンサルタントは、自分の過去の経験を活かせる仕事でもあります。資格取得で身につける専門知識・技術だけでなく、自分が実際に過去の転職活動で悩んだ経験や実践した行動なども、求職者のサポートに活かすことが可能です。
自分の経験も踏まえてキャリアコンサルティングを提供すれば、より説得力が増し、クライアントの職業選択を後押しできるでしょう。自分の経験を活かして活躍中のキャリアコンサルタントへのインタビューは、以下をご覧ください。
関連記事 インタビュー「キャリアコンサルタント図鑑」はこちら
キャリアコンサルタントの資格を得るデメリット
キャリアコンサルタントの資格を得るうえで、注意しておきたいデメリットも存在します。ここでは、3つのデメリットについて解説します。
就職に必ずしも有利になるわけではない
キャリアコンサルタント資格は、持っていてもすべての職場で即戦力と認められるわけではありません。資格保有者は職場で優遇される場面もありますが、資格だけでなく実際の現場での経験やコミュニケーション能力が求められることが多いためです。
そのため、キャリアコンサルタントとしての実績がない場合、資格があっても就職活動が思うように進まないことがあります。
費用対効果が低い
キャリアコンサルタント資格の取得には、養成講座の受講費用や試験の受験料などで数十万円がかかり、初期投資が大きいです。しかし、資格保有者の独占業務はないため、資格を取得してもすぐに収入が増えるわけではありません。
とくにフリーランスや独立を考えている場合、初期投資に見合った収入を得るまでに時間がかかり、費用対効果を感じにくいことがあります。
資格維持のために継続的に費用や時間がかかる
キャリアコンサルタント資格は、一度取得すれば終わりではなく、資格を維持するために5年ごとの更新が必要です。更新には知識・技能の講習を受講する必要があり、受講のために費用(数万~十数万円)や時間(38時間以上の受講)がかかります。
資格の更新に必要な研修は専門性を高めるために重要ですが、費用や時間の面で負担になることもあるでしょう。
キャリアコンサルタントの将来性と可能性
変化の激しい現代において、キャリアコンサルタントの仕事に将来性はあるのでしょうか?ここでは、キャリアコンサルタントの将来性と可能性を3つの点から解説します。
AIが務めることが不可能
キャリアコンサルタントは、AI技術が進化しても奪われにくい職業として注目されています。AIはデータ分析やパターン認識に優れていますが、人間の繊細な感情や複雑な状況を理解し共感する能力はまだ限定的です。
相談者との信頼関係は、人間の経験や直感に基づかないと築かれないため、AIでの代替は難しいでしょう。AIのさらなる発展が見込まれる将来においても、活躍が期待できる仕事といえます。
労働市場の変化による需要拡大
現代の労働市場は技術革新などで急速に変化しており、多様な働き方が求められるようになっています。個々人が主体的にキャリアを築く必要があり、キャリアコンサルタントによるサポートはますます重要です。
企業側も多様な人材を活かして組織力向上を図るために、適切な人材配置を行うための専門的なコンサルティングを必要としています。
国によるキャリアコンサルタントの普及促進
厚生労働省など政府機関は、労働者の主体的なキャリア形成を促すため、キャリア支援の強化を推進しています。キャリアコンサルタントの資格取得が奨励され、「企業内人材育成推進助成金」など関連する制度も整備されてきました。
国家資格としての位置づけが強化されることで、キャリアコンサルタントの社会的な信頼性も向上しています。
関連記事 キャリアコンサルタントの将来性はこちら
キャリアコンサルタントとして成功するために必要な資質
キャリアコンサルタントとして成功するにはどのような資質が必要でしょうか?成功するための主な資質3つを解説します。
コミュニケーション力
キャリアコンサルタントとして成功するには、コミュニケーション能力の高さが不可欠です。相談者の言葉の奥にある真のニーズを正確に理解し、適切なアドバイスを提供するためには、明確で効果的なコミュニケーションが求められます。
また、言葉だけでなく表情やジェスチャー、声のトーンといった非言語的なシグナルも巧みに汲み取る必要があります。相談者の心に寄り添いながら、納得感のあるアドバイスへと導く力を身につけることが必要です。
傾聴力
クライアントが心を開いて安心して話せるように、相手の言葉にしっかりと耳を傾けて共感を示す姿勢も重要です。
クライアントが、自分の気持ちを的確に表現できるとは限りません。単に話を聞くだけでなく、相手の言葉の裏にある感情や言葉にならない想い、真の意図なども繊細に読み解く力が、深い信頼関係の構築と的確なサポートを提供する鍵です。
問題解決力
キャリアコンサルタントには、クライアントが置かれた複雑な状況を多角的な視点から深く理解し、一人ひとりのニーズに応じた具体的な解決策を提案できる能力が不可欠です。
クライアント自身が納得して主体的に最善の道筋を見つけ出し、自らの力で未来を切り拓くための気づきを促すサポートにもつながります。
継続力
キャリアコンサルタントには、変化し続ける労働市場や新たな知識・情報を常にアップデートする継続的な学習意欲が求められます。
資格取得はあくまでもスタートラインです。さまざまな相談者のニーズに応えて、実践的なサポート力を高めるためには、相談の実務経験を積み重ねたり、セミナーなどで専門性を深め続けたりする姿勢が欠かせません。
キャリアコンサルタントに向いている人は?
キャリアコンサルタントの仕事には、傾聴力や相手の感情に対する共感力などが求められます。実際にどのような人に向いているのか、特徴を3つご紹介します。
人に興味を持ち話を聞くのが好きな人
キャリアコンサルタントには、相談者の話をじっくりと聞ける人が向いています。相手の話を聞くことは、相談者のニーズや悩みを理解する重要なステップであるためです。
さらに、人に深い興味を持ち、その背景や状況を理解しようと努めることで、相手の立場に立った温かいアドバイスができるでしょう。
共感性のある人
キャリアコンサルタントには、クライアントの感情に寄り添う共感性が求められます。共感することでクライアントは安心感を得られ、心を開いてより深い相談ができます。
共感力を高めることでクライアントからの信頼を得ることができ、長期的な関係を築けるでしょう。
自己成長のために意欲的になれる人
キャリアコンサルタントには、常に新しい情報やトレンドにアンテナを張り巡らせ、自己研鑽を怠らない姿勢が求められます。
めまぐるしく変化する社会や多様なニーズに対応し、相談者にとってより価値の高い、最適なアドバイスを提供することが重要です。
実際にキャリアコンサルタントとして働く人の声
キャリアコンサルタントは、年齢や性別を問わず経験を活かして活動できる国家資格です。実際にキャリアコンサルタントとして働く方の体験談を紹介します。
体験談①:Lively Career Design ハピネス代表 リー寿美子さん
Lively Career Design ハピネス代表のリー寿美子さんは、19年におよぶ自身の介護と子育ての「ダブルケア」経験を活かすキャリアコンサルタントです。介護が理由で仕事を辞めてしまう人を減らしたいと、介護者本人と企業の双方に働きかけています。
「介護の悩みは見えにくく、一人で抱え込みがち」という問題意識から、相談しやすい環境づくりや制度の活用を伝え、離職防止を支援。あるダブルケアラーが「今の仕事を続けたい」と前向きになったことに大きな手応えを感じました。この実体験と強い志を胸に、今後は医療や介護の現場にも活動を広げたいと考えています。
体験談②:キャリアコンサルタント 今井誉文さん
キャリアコンサルタントの今井誉文さんは、スキルを持つシニアを企業に紹介する「顧問百科」を運営しています。クライアントの信頼を勝ち取るためにもと、キャリアコンサルタント資格を取得しました。
「シニアがセカンドキャリアを活かすには、過去の実績に固執せず、若い世代など現代社会と融合して働くことが重要。自身の弱点を理解し、適した仕事を選択する手助けしたい」と語ります。キャリアコンサルタント養成講座の講師など、新たな挑戦にも意欲的です。
関連記事 インタビュー「キャリアコンサルタント図鑑」はこちら
キャリアコンサルタントは自分の経験を活かせる仕事!
「キャリアコンサルタントはやめとけ」と言われるのは、収入や資格の活かしにくさなどが理由です。しかし、資格取得は自分のキャリアに役立ち、専門性やコミュニケーションスキルを高め、クライアントの信頼を勝ち取ることにつながります。自分の経験を活かせる仕事でもあるため、メリットとデメリットをしっかり理解し、自分に合うかどうか見極めることが大切です。
「BrushUP学び」では、キャリアコンサルタントや介護、ITなど多彩な資格・講座情報を掲載しています。複数の通信・通学講座の資料を無料で一括請求でき、じっくり比較検討できます。キャリアコンサルタントを目指したい方や、講座選びにお悩みの方は、ぜひお気軽に資料請求をしてください。