キャリアコンサルティング技能士とキャリアコンサルトの違いとは?
「キャリアコンサルティング技能士」と「キャリアコンサルタント」の具体的な違いは何でしょうか?ここでは資格区分や求められるレベル、難易度など両者の違いを解説します。
名称 | キャリアコンサルタント | キャリアコンサルティング技能士 |
---|---|---|
レベル | 標準的なキャリア支援者 | 熟練〜指導レベルのキャリア支援者 |
資格区分 | 国家資格 | 国家検定 |
対象者 | キャリア支援を始める未経験者から企業の人事担当者など幅広い層 | 豊富な実務経験を持ち、さらなるスキルアップを目指す専門家 |
受験資格 | 養成講習修了、実務経験3年以上 など | 一定の実務経験が必須 |
資格内容 | 個人のキャリア相談に必要な基礎的な知識とスキル | より高度で実践的なスキルを証明する資格 |
試験実施団体 | キャリアコンサルティング協議会 (CCC) 日本キャリア開発協会 (JCDA) |
キャリアコンサルティング協議会 (CCC)のみ |
更新の有無 | あり(5年ごと) | なし |
難易度 | 中程度 | 高い |
主な役割 | 個人のキャリア相談・支援 | 熟練した相談対応、後進の指導・育成 |
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受験資格と対象者の違い
ここでは、キャリアコンサルタントとキャリアコンサルティング技能士(1級・2級)の具体的な受験資格と、それぞれの対象者について解説します。
キャリアコンサルタントの受験条件
キャリアコンサルタント試験は、キャリア支援未経験者でも挑戦できる比較的入りやすい国家資格です。厚生労働大臣が認定する養成講習の修了、またはキャリア相談に関する3年以上の実務経験など、定められた条件のいずれか一つを満たせば受験することが可能です。
【主な受験資格】
厚生労働大臣が認定する養成講習を修了している
キャリア相談に関する実務経験が3年以上ある
キャリアコンサルティング技能検定の学科または実技試験に合格している
参考 厚生労働省「キャリアコンサルタントになりたい方へ」
このように、講習の修了または実務経験があれば受験資格が得られ、未経験からでもキャリアコンサルタントを目指せます。働きながら学べる通信・通学講座も充実しており、キャリア支援に興味を持つ初学者が、最初の一歩として挑戦しやすい人気の資格です。
キャリアコンサルティング技能士(1級・2級)の受験条件
一方で、キャリアコンサルティング技能士は、高度な実務経験が前提とされる上位資格です。すでにキャリア支援で実績を持つ人材を対象としており、2級・1級ともに、以下に挙げるような実務経験年数などの厳しい受験条件を満たす必要があります。
【2級の主な受験資格】
条件 | 内容 |
---|---|
実務経験 | ・5年以上の実務経験 ・3年以上の実務経験があり、キャリアコンサルタント資格を取得 など |
【1級の主な受験資格】
条件 | 内容 |
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実務経験 | ・10年以上の実務経験 ・2級技能検定合格後、3年以上の実務経験 など |
キャリアコンサルティング技能士は、知識よりも実践力・経験値の高さが評価されます。とくに1級は、他のキャリアコンサルタントを指導する立場の実績が求められるなど、プロフェッショナルの中でも上位資格に位置付けられます。
試験内容と難易度の違い
実際の試験内容や難易度はどのような違いがあるのでしょうか?キャリアコンサルタント試験とキャリアコンサルティング技能検定(2級・1級)、それぞれの試験概要と難易度の違いについて解説します。
キャリアコンサルタント試験の概要
キャリアコンサルタント試験は、理論と実技の基礎力をバランスよく問う国家試験です。学科試験と、論述・ロールプレイングから成る実技試験で構成され、キャリア支援に必要な標準レベルの知識とスキルが問われます。未経験から挑戦する人が大半のため、養成講習で体系的に学ぶことで十分合格が目指せる内容です。
【キャリアコンサルタント試験】
区分 | 学科試験 | 実技試験 |
---|---|---|
試験内容 | 四肢択一式マークシート(50問) | 論述:記述式 面接:ロールプレイ + 口頭試問 |
配点・時間 | 100点満点 / 100分 | 150点満点 論述:50分 面接:20分(ロールプレイ15分+口頭試問5分) |
合格基準 | 70点以上の得点 | 90点以上の得点 ※論述は配点の40%以上の得点。その他評価区分ごとに満点の40%以上の得点が必要 |
受験料 | 8,900円 | 29,900円 |
【キャリアコンサルタント試験合格率】
・学科試験:68.4%
・実技試験:67.7%
(第28回キャリアコンサルタント試験結果)
参考 厚生労働省「(7)キャリアコンサルタント試験結果の概要」
関連記事 【最新28回試験結果】キャリアコンサルタント試験の難易度・合格率は?必要な勉強時間についても解説!
キャリアコンサルティング技能検定(2級・1級)の概要
キャリアコンサルティング技能検定は、職業能力開発促進法に基づく技能検定の一環で、実務スキルの高さを評価する熟練者・指導者向けの資格です。1級・2級の等級に分かれており、それぞれ求められるレベルが異なります。
試験内容も実務寄りのため、理論だけでなく豊富な現場経験が不可欠です。特に面接試験は合格基準が非常に厳しく、採点もシビアなことから、難易度が格段に高いことで知られています。
【キャリアコンサルティング技能検定】
区分 | 学科試験 | 実技試験 |
---|---|---|
試験内容 | 【2級】 四肢択一式マークシート(50問) 【1級】 五肢択一式マークシート(50問) |
【2級1級共通】 論述試験 (記述式) 面接 (ロールプレイ+口頭試問) |
配点・時間 | 【2級1級共通】 100点満点 / 100分 |
【2級】 100点満点 論述:60分 面接:ロールプレイ20分+口頭試問7分 【1級】 100点満点 論述:80分 面接:ロールプレイ30分+口頭試問9分 |
合格基準 | 【2級1級共通】 70点以上 |
【2級1級共通】 論述・面接の各得点が60点以上 ※評価区分ごとに満点の60%以上の得点が必要 |
受験料 | 【2級】11,200円(非課税) 【1級】11,200円(非課税) |
【2級】29,900円(非課税) 【1級】33,500円(非課税)※ |
※「厚生労働大臣が定める手数料の額」について省令が改正され、令和7年2月以降は改正後の受検手数料が適用されます。
【キャリアコンサルティング技能検定合格率】
【2級】
・学科試験:55.29%
・実技試験:17.73%
(第33回試験結果)
【1級】
・学科試験:61.56%
・実技試験:6.55%
(第14回試験結果)
活躍できるフィールドと役割の違い
資格取得後に活躍できるフィールドや求められる役割には違いがあります。ここでは、それぞれの主な活躍シーンと役割の違いについて紹介します。
キャリアコンサルタントが活躍するシーン
活動場所 | 主な業務内容 |
---|---|
ハローワーク・自治体 | 求職者への職業相談、就職・転職支援、再就職支援 |
大学・専門学校 | キャリアセンターなどでの就職相談、就職支援、就職セミナーの企画・運営 |
一般企業 | 社員のキャリア研修、ワークバランス調整、メンタルヘルスの相談 |
人材紹介会社 | 転職希望者との面談、求人企業の紹介、選考プロセスのサポート |
フリーランス | 個人向けのキャリアカウンセリング、セミナーや研修の講師 |
キャリアコンサルタントは、キャリア支援の入り口に立つ資格者として、個人の職業選択やスキルアップ支援の役割を担います。その国家資格としての信頼性が評価され、ハローワークなどの公的機関や大学のキャリアセンターで、求職者や学生といった幅広い層への相談対応が期待されます。
その他、企業内での社員面談、人材紹介会社での転職サポート、フリーランスとして個人カウンセリングを行うなど、活躍のフィールドは非常に多彩です。
キャリアコンサルティング技能士が活躍するシーン
活動場所 | 主な業務内容 |
企業の人事・研修部門 | 社内キャリアコンサルタントの指導・育成(スーパービジョン)、キャリア開発制度の設計 |
教育機関・専門学校 | キャリアコンサルタント養成講習の講師、キャリアセンターの運営指導 |
官公庁・自治体のプロジェクト | キャリア支援事業の企画・運営、専門家としての助言(スーパーバイザー) |
コンサルティング会社 | 企業・組織に対するキャリア開発コンサルティング、研修プログラムの開発 |
フリーランス | キャリアコンサルタント業、研修講師 |
キャリアコンサルティング技能士は、実践力に優れた専門家として、より高度な支援を必要とする現場や組織で活躍します。主な役割は、企業内でキャリア開発制度を設計したり、他のキャリアコンサルタントを指導・育成(スーパービジョン)したりすることです。
とくに1級技能士は、組織運営の中核を担うこともあります。個人の相談に広く関わるキャリアコンサルタントに対し、技能士は組織全体へ深く専門的に関与する指導者としての立場として位置づけられます。
キャリアコンサルティング技能士へのステップアップがおすすめ
キャリアコンサルタントとして一定の経験を積むと、次のステップとして2級技能検定の受験が可能です。2級合格は、キャリア支援の専門家として一人前と認められる目安となり、企業や行政機関などでも高く評価されます。
キャリア支援の現場では、キャリアコンサルタントから技能検定への段階的なスキルアップが推奨されており、自身の市場価値を高める手段の一つです。
キャリアコンサルタント&キャリアコンサルティング技能士に関するよくある質問
キャリアコンサルタントとキャリアコンサルティング技能士、どちらを目指すべきか迷う方も多いはずです。こうした疑問にQ&A形式でお答えします。
Q.キャリアコンサルタントの上位資格は?
A.国家検定「キャリアコンサルティング技能士」です。
キャリアコンサルタントの上位資格は、国家検定である「キャリアコンサルティング技能士」です。キャリアコンサルタントが標準レベル、技能士2級が熟練レベル、最上位の1級が指導者レベルと明確に位置付けられています。実務経験を積んだキャリアコンサルタントが、より高度な専門性を証明するために目指すステップアップ資格です。
Q.キャリアコンサルティング技能士は国家資格ですか?
A. キャリアコンサルティング技能士は「国家検定」であり「国家資格」ではありません。
キャリアコンサルティング技能士は、職業能力開発促進法に基づく技能検定制度の一つで、国が個人の技能レベルを証明する公的な資格です。どちらも国の基準に基づいた信頼性の高い資格と言えます。
Q.キャリアコンサルタントとキャリアコンサルティング技能士どちらを目指せばいい?
A.これからキャリア支援を始めるなら、まず国家資格「キャリアコンサルタント」を目指しましょう。
これからキャリア支援を始めるなら、まず国家資格「キャリアコンサルタント」を目指しましょう。その後、数年間の実務経験を積み、より高度な専門家として活躍したい段階で、上位資格である「キャリアコンサルティング技能士」の取得を検討するのが王道のキャリアパスです。
Q.2級キャリアコンサルティング技能士を取得するメリットは?
A.「熟練レベル」のキャリア支援スキルを公的に証明できることです。
最大のメリットは「熟練レベル」のキャリア支援スキルを公的に証明できる点です。これにより、クライアントや組織からの信頼が増し、後進指導(スーパービジョン)など役割が拡大します。また、企業内での評価向上や資格手当、転職時のアピールにも繋がり、自身の専門家としての市場価値を大きく高めます。
自身のレベルに合わせてキャリア支援の資格取得を目指そう
キャリアコンサルタントは未経験から目指せる国家資格です。一方、キャリアコンサルティング技能士は実務経験が必須の上位資格(国家検定)で、2級は熟練、1級は指導レベルと位置付けられています。技能士は特に実技試験の難易度が非常に高く、役割も後進指導や組織への働きかけなど高度になります。自身のレベルやライフスタイルに合わせて資格取得を目指しましょう。
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