キャリアコンサルタントとは?
キャリアコンサルタントとは、主に新卒者や転職者の職業選択にまつわる進路相談を行う相談員の資格です。とはいえ、単に仕事を紹介するだけではありません。就職相談をきっかけとして、本人の仕事への意欲や課題を導き出し、相談者の適性や経験を棚卸して、本人も気がついていない才能を開花させることもやりがいのある業務のひとつです。
昨今、学校や職場の人間関係は希薄になり、就職という人生の一大イベントに関して気軽に相談できる関係は消えつつあります。
キャリアコンサルタントとして、相談者に寄り添い将来への展望を一緒に考えて助言(アドバイス)を行う専門職は、時代に特に求められている資格と言えるでしょう。
人の人生に深く関わり影響を与える
キャリアコンサルタントは、相談者が経験する人生の節目に立ち会い、就労を支援する仕事のため、援助される人の人生に深く関わり影響を与えます。
終身雇用制度が崩壊している時代のなかで、転職を繰り返す人は少なくありません。自分の人生と仕事について考える人が多くなっているため「信頼できるアドバイザー」として、相談者の悩みに真に寄り添える人材が求められています。
キャリアコンサルタントはどんな人に向いている?
人に興味を持ち、人の役に立ちたいと考えている方であれば天職のような仕事になるでしょう。
また、どちらかといえば順風満帆の社会人生活を送ってきた人よりも、就職や転職の挫折や失敗を経験している人や、悩みを抱えつつ乗り越えてきた経験を持つ人が向いている仕事でもあります。
相談者は、就職という「壁」の前で自信をなくし、混乱しています。リストラを経験した人など、相談者の立場はさまざまですが、
いずれも「キャリアコンサルタントに分かってもらえた」という感覚を持っていただくことが大切です。
そのような感覚を持っていただくためにも、話される悩みにしっかり寄り添い、キャリアコンサルタントとして相談者の信頼を得られるかがポイントになります。
キャリアコンサルタントに求められること
キャリアコンサルタントの主な業務は、就職相談で相談者と一対一で面談を行うことです。そのため、この資格を志す人には、心理職のカウンセラーと同様の資質が求められます。実際、産業カウンセラーやメンタルヘルスカウンセラー資格などを併せ持っているキャリアコンサルタントも少なくありません。
また、キャリアコンサルタントの国家資格は受験に合格し登録された後も5年ごとに更新があります。そのため、新たな分野の知識を学び、絶えず自分の知識やスキルを進歩向上させようとする人が特に求められています。
キャリアコンサルタントはどんな場で活躍できる?
キャリアコンサルタントの活躍の場は、主に就職を斡旋する場所です。公的な職業紹介施設であるハローワークやジョブカフェ、職業訓練校などに勤務する人がいます。
また、新卒者の就職支援のために大学・大学院・専門学校のなどの教育施設に勤めるキャリアコンサルタントも少なくありません。他に企業内カウンセラーとして活躍している方もいます。
働き方と収入
派遣やパートタイマーとしてキャリアコンサルタントを行っている人も多く、年収はそれほど高くありません。ハローワークなどの相談員の仕事も非常勤が多いため、月収で15万~25万となります。
また、企業内で働くキャリアコンサルタントの場合は、その企業からの給与をもらうため、平均的なサラリーマンと同等の年収であると考えられます。
2018年に発表された労働政策所研究所の調査では「年収200万~400万円未満」と答えたキャリアコンサルタントがもっとも多かったようです。これは、民間の給与所得と大きく変わりません。
参考
転職エージェント企業(正社員):440万円~1000万円以上
学校のキャリアコンサルタント(フル勤務):370万円~560万円
キャリアコンサルタント講師(フル勤務):340万円~430万円
フリーランスのキャリアコンサルタント:250万円~380万円
独立できるの?
キャリアコンサルタントの資格のみで独立するのは簡単ではありません。独立している方は、同時に社労士などの他の資格を持ち営業していることが多いようです。
そのため、キャリアコンサルタントとして独立を目指す場合、単に収入をあげたいとか、自分自身のキャリアアップのみを考える人には向かないかもしれません。
就職相談を通じて、相談者の人生を手助けする仕事にやりがいを見いだし、ライフワークとして追求したい仕事として選びたい方に特におすすめの資格と言えそうです。
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キャリアコンサルタントの仕事内容とは?
キャリアコンサルタントになるために、国家資格を受けよう!
国家資格キャリアコンサルタントは、相談や面談などを行う同等の心理職系国家資格と比べると非常に取得しやすいと言えます。比較されることが多い「公認心理士」の場合は、受験資格を得るために大学・大学院・実務経験が求められておりハードルは非常に高いからです。
キャリアコンサルタントが国家資格になった背景
キャリアコンサルタントが国家資格になった背景には、キャリアコンサルティングの重要性を周知し、企業内におけるキャリアコンサルタントの活用を進めていきたいとした狙いがあります。
平成14年7月、厚生労働省から「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」報告書が出され、個人のキャリア支援を行っていくためには、専門的なキャリア・コンサルティングが必要であると提唱し、こうした人材の基本となる能力要件の基準を策定しました。
名称については、心理学的な面が強調されることを避けるため、キャリア・コンサルタントと呼ぶこととし、策定した基準に基づき、今後、官民合わせて、5年間で5万人程度養成することを目指したことがはじまりです。
キャリアコンサルタント10万人を養成
平成27年3月17日「第189回国会(常会)提出法律案」において、勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律案が出されます。
ここでは、国は企業を取り巻く環境の変化する中で、働き手が自らのキャリアについて主体的に考える習慣を身に付ける環境を整備することが重要であり、そのためには、定期的なキャリアコンサルティングの機会を提供することが重要であるとしました。
企業内での活用を前提として10万人まで増やす計画です。
キャリアコンサルタントを名称独占資格として位置づけ、更新制度を通じた資質の確保を図りつつ、計画的な養成をスタート。また、キャリアコンサルタントを活用したキャリア形成の仕組みを導入・実施した事業主に対する助成も創設しています。
国家資格キャリアコンサルタント取得の流れ
キャリアコンサルタントになるためには、厚生労働大臣が認定した講習を150時間受ければ、誰でも受験資格を得られます。キャリアコンサルタントの認定講習は、JDCA(日本キャリア開発協会)やキャリアコンサルティング協議会など複数の団体で行われている「キャリアコンサルタント養成講座」などの講習を受講し、修了証が受理されれば受験資格を得ることができます。
また、学科試験・実技試験(論述・面接)などに合格した後、厚生労働省のキャリアコンサルタント名簿に登録(※)することにより、キャリアコンサルタントを名乗ることができるようになります。
初心者から目指す方は「認定講習の受講・修了」が最短です!
講習カリキュラム
科目 | 時間数 |
---|---|
1.キャリアコンサルティングの社会的意義 | 2時間 |
2.キャリアコンサルティングを行うために必要な知識 | 35時間 |
3.キャリアコンサルティングを行うために必要な技能 | 76時間 |
4.キャリアコンサルタントの倫理と行動 | 27時間 |
5.その他キャリアコンサルティングに関する科目 | 10時間 |
合計 | 150時間 |
(※)【参考】キャリアコンサルタントWebサイト|厚生労働省
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キャリアコンサルタントの難易度・合格率は?おすすめ勉強方法についても解説
国家資格キャリアコンサルタント試験に合格するためには?
キャリアコンサルタントになるためには、厚生労働省に認定されている養成講座を受講する必要があります。試験のなかでも、学科試験は独学でもある程度対策ができますが、実技の論述や面接は養成スクールでの指導が必要です。
3ヶ月程度の通信講座で理論や基礎を学び、10日間程度のスクーリングを活用しながら面談のロールプレイなどを習得していきます。
初心者から目指す方は「認定講習の受講・修了」が最短です!
キャリアコンサルタント資格取得のための講座を開いているスクールは比較的柔軟な通い方ができるため、働きながらでも資格取得を目指すことが可能です。これだけ、取得しやすい国家資格も希ですので、興味がある方は各団体が実施している「キャリアコンサルタント養成講座」について調べてみることをおすすめします。
>> キャリアコンサルタントの通信講座を探す
>> キャリアコンサルタントのスクール・通学講座を探す (埼玉/東京/神奈川/愛知/大阪)
>> その他のエリアで探す
監修者プロフィール
2015年(平成27年)日本キャリア開発協会CDA、キャリアコンサルタント技能士2級を取得
同年、合同会社オフィスエスステップを設立
現在は大手金融機関・通信会社の新人研修や管理職研修に携わりながら、大学生向けの合同説明会講師やカウンセリング、高校生の進路ガイダンス(進学・就職講演、面接指導など)を行う。
また専門学校にてキャリアデザイン授業、個人向けに個別カウンセリング・登壇講師養成講座も開講。
【保有資格】
国家資格キャリアコンサルタント、日本キャリア開発協会CDA、女性労働協会認定講師、HA(ヒューマンアセスメント)アセッサー、ファイナンシャルプランナー2級、栄養睡眠改善アドバイザー、ランニングアドバイザ―
試験データ
項目 | 内容 |
---|---|
資格・試験名 | キャリアコンサルタント国家試験 |
試験日 |
【第15回試験(学科・論述試験)】 【第15回試験(実技面接試験)】 【第16回試験(学科・論述試験)】 【第16回試験(実技面接試験)】 【第17回試験(学科・論述試験)】 【第17回試験(実技面接試験)】 【第18回試験(学科・論述試験)】 【第18回試験(実技面接試験)】 【第19回試験(学科・論述試験)】 【第19回試験(実技面接試験)】 |
試験区分 | 国家資格 |
主催団体 | 厚生労働省 |
受験資格 | (1)厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した方 (2)労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験を有する方 ※実務経験について、受験資格として認められるかは個別判断となる (3)技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格した方 (4)平成28年3月までに実施されていたキャリア・コンサルタント能力評価試験の受験資格である養成講座を修了した方 |
合格率 | 学科:62.7% 実技:74.1% 同時受験:58.3% (2019年2月・第11回) |
出題内容・形式 | 【学科試験】 ・出題形式:筆記試験(四肢択一のマークシート方式) 【実技試験】 ▽論述試験 ・出題形式:記述式(逐語記録を読み、設問に解答する) ▽面接試験 ・出題形式: 1 ロールプレイ:実際のキャリアコンサルティング場面を想定して、面談開始から最初の15分間という設定で行う。キャリアコンサルタントとして相談者を尊重する態度や姿勢(身だしなみを含む)で、相談者との関係を築き、問題を捉え、面談を通じて相談者が自分に気づき、成長するような応答、プロセスを心がける 受験者がキャリアコンサルタント役となり、キャリアコンサルティングを行う 2 口頭試問:自らのキャリアコンサルティングについて試験官からの質問に答える [試験科目] ・職業能力開発促進法その他関係法令に関する科目 ・キャリアコンサルティングの理論に関する科目 ・キャリアコンサルティングの実務に関する科目 ・キャリアコンサルティングの社会的意義に関する科目 ・キャリアコンサルタントの倫理と行動に関する科目 |
検定料 | 学科試験:8,900円(税込) 実技試験:29,900円(税込) |
問い合わせ先 |
日本キャリア開発協会 キャリアコンサルタント試験 受験サポートセンター TEL:03-5209-0553 受付時間:10:00~17:00(土日祝を除く) |