キャリアコンサルタントの難易度・合格率
国家資格キャリアコンサルタント資格の難易度
国家資格キャリアコンサルタント試験は、他の国家資格と比べて合格率が高いことから、難易度は低いようです。
厚生労働大臣の認可を受けて資格認定試験を行っている2つの団体の学科・実技同時受験者の試験結果(令和2年第14回)を参照しました。キャリアコンサルティング協議会(CCC)の受験者1,288名に対し合格者は706名、合格率は54.8%です。日本キャリア開発協会(JCDA)の試験の受験者は1,483名、合格率は827名、合格率は55.8%です。
キャリアコンサルティング協議会の学科試験は100点満点中70点以上で合格ですが、平均点は72点でした。また、実技試験は150点満点中90点以上が合格になりますが、平均点は93点でした。キャリアコンサルタント資格試験は、学科・実技どちらかが落ちたとしても次回の試験で、再チャレンジができます。どちらかというと、学科試験の合格率が低いのがこの資格の特徴のようです。
実技試験には論述と面接(ロールプレイ)が含まれます。すでにキャリアコンサルティングの実務経験がある受験者は、実技は比較的高得点です。しかし、学科試験はきちんと勉強して、過去問対策をしなければ簡単には合格できないことがわかります。キャリアコンサルタントの資格を取得するためには養成講座でしっかり学ぶことが必要です。
※実務経験者は、養成講座を受講しなくても試験を受けることが可能です。しかし、多くの方が養成講座を修了して取得しております。
国家資格キャリアコンサルタントの試験費用
国家資格キャリアコンサルタントは国家資格のなかでは、初期の試験費用が安く済むのが特徴です。学科試験は8,900円で、実技試験(論述・面接)は29,900円です。試験は、厚生労働省に認定されている特定非営利活動法人である「キャリアコンサルティング協議会(CCC)」および「JCDA(日本キャリア開発協会)」が実施しています。
国家資格キャリアコンサルタントの試験に合格すると、厚生労働省に有資格者としての登録を行う必要があります。手数料8,000円、および登録免許税9,000円がかかります。キャリアコンサルタント名簿に登録してはじめて「キャリアコンサルタント」を名乗ることができます。
資格は5年ごとに更新が必要
しかし、費用はこれだけではありません。キャリアコンサルタントは5年ごとに更新が必要な資格です。相談者の就職相談に応じるためには、最新の労働法に通じており、知識や技術をブラッシュアップしていかなければならないからです。
更新のためには、厚生労働大臣指定のキャリアコンサルタント更新講習(知識講習8時間・技能講習30時間)を受けることが義務づけられています。この費用は1単位あたり1万円~10万円です。そのため、キャリアコンサルタントの資格を維持するためには、5年ごとに最低でも30万円~50万円の費用がかかることは、あらかじめ知っておくとよいかもしれません。
しかし、この更新講習には免除条件があります。更新日(5年以内)に、キャリアコンサルタントの上位資格(国家資格)である「キャリアコンサルティング技能士」に合格すれば、更新講習は受けなくてもよいことになっています。
キャリアコンサルタント講座・スクール比較団体ごとの合格率
国家資格キャリアコンサルタント試験は『キャリアコンサルティング協議会(CCC)』『日本キャリア開発協会(JCDA)』2つの団体(登録試験機関)が実施しています。
通常は異なる団体が実施する試験であれば、それぞれで異なる資格が認定されます。しかし、キャリア・コンサルティングについては厚生労働省が標準化を進めており、CCCまたはJCDAの試験に合格すれば国家資格としてのキャリアコンサルタント技能士(標準レベル)が認められます。
CCCとJCDAが実施する試験はともに学科試験と実技試験から構成されています。学科試験は共通の問題を用いていますが、実技試験の試験内容は若干の差があります。両団体が実施する試験の合格率は以下の通りです。
学科 | 実技 | 同時合格 | |
---|---|---|---|
CCC第14回 | 65.1% | 66.6% | 54.8% |
JCDA第14回 | 69.1% | 65.3% | 55.8% |
CCC第13回 | 71.7% | 58.0% | 50.6% |
JCDA第13回 | 70.4% | 65.4% | 58.1% |
CCC第12回 | 75.5% | 62.4% | 56.7% |
JCDA第12回 | 75.5% | 68.7% | 60.3% |
CCC第11回 | 62.5% | 75.3% | 56.4% |
JCDA第11回 | 62.7% | 74.1% | 58.3% |
CCC第10回 | 65.4% | 73.3% | 55.9% |
JCDA第10回 | 62.9% | 65.7% | 53.3% |
(資料)CCC・JCDAのホームページより作成
上記の表からも確認できるように、どちらかが常に難しく、どちらかが常に合格しやすいということはありません。受験者はどちらか一方の試験を選択して受験しますので、それぞれの試験は受験する人が異なります。合格率の差は「受験者の違い」であり、両試験に決定的な難易度の差があるとは言えません。
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キャリアコンサルタント講座・スクール比較団体ごとの採点基準
学科試験の内容と採点基準
CCCもJCDAも学科試験の難易度は同一です。なぜならそれは同じ試験問題を用いて、同一日・同一条件で行うためです。また、合格基準も共通です。1問2点の問題(四肢択一のマークシート)が合計50問出題され、100点満点中70点以上得点すれば合格です。
試験の出題範囲は5つの分野から構成されています。
・キャリアコンサルティングの社会的意義
(社会経済動向の変化やコンサルティングの意義など)
・キャリアコンサルティングの理論
(キャリア開発やコンサルティングの基礎理論など)
・職業能力開発促進法・その他関係法令
(労働市場、学校教育制度、メンタルヘルスなどに関する知識を含む)
・キャリアコンサルティングの実務
(相談の基本的フローを遂行できるかどうか)
・キャリアコンサルタントの倫理と行動
各年度の問題を見ると5つの分野のいずれかに出題が偏ることもありますが、概ねまんべんなく5分野から出題されます。どの分野から出題されても正確に答えられるよう、偏りなく学習することが合格への近道と言えるでしょう。
実技試験の内容と採点基準
CCC・JDCAともに実技試験は「論述試験」と「面接試験」から構成されています。
CCCの論述試験は「事例記録を読み、設問に解答する」、JDCAの論述試験は「逐語記録を読み、設問に解答する」と微妙に試験要項の表現は異なります。しかし、どちらも相談記録を読み設問に解答するという意味で同じ形式の試験です。試験時間はともに「50分」ですが、与えられる事例(記録)の数に差があります。CCCは1事例であるのに対し、JCDAは1事例もしくは2事例が与えられます。
面接試験は受験者がキャリアコンサルタント役を演じ、試験官が演じる相談者の模擬的な相談をコンサルティングする15分間の「ロールプレイ」と、実演したキャリアコンサルティングについて試験官からの質問に答える5分間の「口頭試問」で構成されています。この構成はCCCとJCDAの両試験に共通しています。
実技試験の合格基準が「150点満点中90点」であること、論述試験と面接試験の4つの評価軸(採点する際の視点)において最低4割以上の点数を得なければならないことも両試験に共通しています。
差があるのは実技試験の「評価軸」
差があるのは実技試験の「評価軸」です。CCCの評価軸は「態度」「展開」「自己評価」があるのに対し、JCDAの評価軸は「主訴・問題の把握」「具体的展開」「傾聴」です。「態度」と「傾聴」、「展開」と「具体的展開」は同一の評価軸ですので、CCCは「自己評価」に、JCDAは「主訴・問題の把握」に独自性があります。
別の言葉で言い換えれば、コンサルティングの最終局面で相談者が自らのキャリアについて客観的に評価できるよう導けるかどうかをCCCの試験が重視しているのに対して、JCDAは相談開始時点でコンサルタントが本質的問題を把握できるかどうかを重視しています。
こうした面接試験における評価軸の違いを把握した上で、ロールプレイや口頭試問に臨むことが合格を目指す上で重要だと言えるでしょう。
キャリアコンサルタント講座・スクール比較キャリアコンサルタント合格までの勉強時間・学習スケジュール
勉強時間
国家資格キャリアコンサルタントになるための勉強は、主に厚生労働大臣認可の「キャリアコンサルタント養成講座」のカリキュラムをしっかりこなすことです。
3ヶ月の通信講座、10日間のスクーリングとあわせて150時間の講習を受けなければなりません。スクーリングは土日などの週末にまとめて受けることもできるため、現役のビジネスパーソンも多く講習を受けています。
※1クラスの人数の上限が20名と決められているため、振替授業を希望しても振替ができない場合もあります。(出席率は養成講座修了要件に関係してきます)
実技(論述・面接)は、しっかりキャリアコンサルタント養成講座に参加していれば合格できるようになるでしょう。しかし学科試験は、自分で努力して勉強をしなければなりません。学科試験の勉強時間の目安は100~200時間です。
特に試験の直前には過去問を解く時間をとりましょう。5回~6回と過去問を繰り返し解いていくと、自分の苦手分野がわかりますので、試験直前には繰り返し間違いやすいポイントを復習するようにしましょう。
また、学科試験の傾向を踏まえた模擬試験を受けると実力を確認することができます。
国家資格キャリアコンサルタントの取得を目指す場合、最低でも3ヶ月は勉強の時間を確保しましょう。週中は自宅で通信講座を使って2~3時間は学科を勉強し、土・日などの週末はスクーリング(1日8時間)で実技を習得します。
学習スケジュール
キャリアコンサルタントの国家資格試験は年に3~4回行われます。通常、2月・5月・8月・11月の4回行われますが、近年は5月に行われないこともあります。仕事の繁忙期などを外して、自分が資格試験を受けたい月を決め逆算をして、4~5ヶ月前から「キャリアコンサルタント養成講座」に申し込むとよいでしょう。
もし、夏の時期(7月~8月)に行われる試験を受けたいとすれば、2月~3月に講習を受け始めて学科をコツコツ勉強し、5月~6月にスクーリングで一気に実技対策を仕上げるように予定を組むことができます。
一度、講習を受けてしまうと受験資格が付与されるので、もし仮に決めた月に試験を受けられなくても、1年のなかで都合のよい月に受けることができるのは助かりますね。
最短で国家資格キャリアコンサルタントに合格するには?
国家資格キャリアコンサルタント試験に最短で合格するには「キャリアコンサルタント養成講座」をしっかり受講することです。現在では、20近い養成講座実施機関が厚生労働大臣の認可を受けて講座を開催しています。
キャリアコンサルタント資格は、今後さらに講習時間が増えていくことが計画されています。注目する人が増えるにつれて、難易度も上がっていくことでしょう。早いうちに、キャリアコンサルタントを取得するためにチャレンジを始めたいですね!
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監修者プロフィール
2015年(平成27年)日本キャリア開発協会CDA、キャリアコンサルタント技能士2級を取得
同年、合同会社オフィスエスステップを設立
現在は大手金融機関・通信会社の新人研修や管理職研修に携わりながら、大学生向けの合同説明会講師やカウンセリング、高校生の進路ガイダンス(進学・就職講演、面接指導など)を行う。
また専門学校にてキャリアデザイン授業、個人向けに個別カウンセリング・登壇講師養成講座も開講。
【保有資格】
国家資格キャリアコンサルタント、日本キャリア開発協会CDA、女性労働協会認定講師、HA(ヒューマンアセスメント)アセッサー、ファイナンシャルプランナー2級、栄養睡眠改善アドバイザー、ランニングアドバイザ―