独学でキャリアコンサルタント試験を受けるための条件とは?
独学で受験するためには実務経験が必要
キャリアコンサルタント試験を独学で受験するためには、キャリアコンサルティングの実務経験が3年以上必要です。まずは、厚生労働省が定めるキャリアコンサルタント試験の受験資格をご確認ください。
・厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した者(講習カリキュラムは別表に記載)
・労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験(4を参照)を有する者
・技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格した者
・上記の項目と同等以上の能力を有する者
上記のいずれかの条件を満たすことで、キャリアコンサルタント試験の受験が可能となります。
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この条件の中で独学での受験が可能な方は、2番目から4番目に該当する方となります。2番目の、「労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験を有する者」というのは、企業や大学などで3年以上、キャリアコンサルティングに携わった実務経験を持つ方、という意味です。
3番目の「技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格した者」とは、国家検定であるキャリアコンサルティング技能検定に合格した方という意味であり、この検定を受験するためにも3年以上の実務経験が必要です。
独学で受験する人は少ない
独学でキャリアコンサルタント試験を受験する方は非常に少なく、受験者の1割程度です。
2023年3月実施の第22回キャリアコンサルタント試験(学科試験)では、独学での受験である実務経験をもって受験資格を得た人の割合は7.48%でした。
学科試験の受験資格別 受験者数割合
受験資格 | 受験者数 | 受験者数割合 |
---|---|---|
養成講習修了者 | 4,393 | 92.49% |
実務経験者 | 402 | 7.48% |
技能検定の合格者 | 2 | 0.03% |
出典 第22回キャリアコンサルタント試験の概要(pdf)|厚生労働省
また、同試験の実技試験では、独学での受験である実務経験をもって受験資格を得た人の割合は6.07%でした。
実技試験の受験資格別 受験者数割合
受験資格 | 受験者数 | 受験者数割合 |
---|---|---|
養成講習修了者 | 4,674 | 93.44% |
実務経験者 | 399 | 6.07% |
技能検定の合格者 | 28 | 0.49% |
このことから、キャリアコンサルタント試験を受験する方のほとんどが、養成講習を受けてきていることが分かります。
キャリアコンサルタント試験を独学で受ける場合の合格率
独学でキャリアコンサルタント試験に合格することは可能です。しかし、独学で受験する方の合格率は、養成講習を修了した方の合格率よりも低い傾向があります。
厚生労働省が公表している2023年3月実施の第22回キャリアコンサルタント試験のデータからは、以下のような数字が読みとれます。
第22回 キャリアコンサルタント学科試験データ
受験資格 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
養成講習修了者 | 4,393人 | 3,647人 | 83.02% |
実務経験者 | 402人 | 295人 | 73.38% |
第22回 キャリアコンサルタント実技試験データ
受験資格 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
養成講習修了者 | 4,674人 | 3,079人 | 65.88% |
実務経験者 | 399人 | 200人 | 50.13% |
学科試験、実技試験ともに、独学者(実務経験者)の合格率は養成講習修了者よりも下回っていることが分かります。
独学者の合格率はなぜ低い?考えられる理由
独学では実技試験対策が難しい
養成講習修了者に比べて独学者の合格率が低い理由のひとつに、実技試験への対策が難しいという点が挙げられます。キャリアコンサルタント試験には学科試験と実技試験(面接試験と論述試験)があり、独学での対応が難しいといわれるのは、実技試験の面接試験です。
面接試験は、受験者がキャリアコンサルタント役となり、クライアントのキャリア相談にのる「ロールプレイ」と、ロールプレイの内容について問われる「口頭試問」とに分かれます。特にロールプレイは、クライアントとの接し方はもちろんのこと、どのような相談を持ち掛けられたとしても、クライアントに寄り添った臨機応変な対応が求められます。テキストの勉強が主体の独学では、面接試験の練習をしてフィードバックを受ける機会が少ないため、何が正解か分からなくなるという可能性があるのです。
「キャリア相談の経験は豊富なので自信がある」という実務経験者もいらっしゃるかもしれません。しかし日頃の業務は、常に講師がチェックをして、悪い部分を指摘してくれるという環境にはないはずです。気がつかないうちに、自分なりの「良くないクセ」が身についてしまっている可能性もあるでしょう。
また、キャリアコンサルタント試験の面接試験では、態度や受け答えの姿勢がキャリアコンサルタントの理論に基づいているかという点が重要なポイントになります。
試験の実地団体によっても採点基準が異なるため、評価基準を理解した上でキャリアコンサルタント理論に基づいた対策を行う必要があります。
参考記事 キャリアコンサルタント試験実施団体ごとの試験内容、採点基準の違い
経験や知識が偏っているケースも
独学での受験を希望する実務経験者の方の中には、それまでの実務で得た経験や知識が偏っているケースも考えられます。キャリアコンサルタント試験の学科試験は理論や実務、法令など、非常に幅広い範囲から出題されるため、自らの経験や知識だけでは歯が立たないこともあり得るのです。
一方、養成講習では試験範囲を体系的に満遍なく学習するため、試験に十分対応できる力が養える傾向があります。
独学のメリット
資格取得にかかる費用が節約できる
独学には上で述べたようなデメリットもありますが、もちろんメリットも存在します。その1つが、資格取得にかかる費用が節約できることです。
キャリアコンサルタントの養成講習を受講するとなると、受講料だけでも30万円から40万円程度の費用が必要となります。
一方、独学であれば、テキスト代や受験費用(学科:8,900円、実技:29,900円)、名簿への登録料(登録免許税:9,000円、登録手数料:8,000円)だけで済むため、費用がグッと抑えられるでしょう。
勉強する時間や場所の制約がない
独学のもう一つのメリットが、時間や場所を問わず勉強できる点です。独学を希望する方の中には仕事で忙しく、養成講習に通う時間がないという方も多いでしょう。独学であれば、スクールのように時間で拘束されることがないため、休日や深夜など、都合のよい時間に勉強に取り組めます。また、通勤電車の中やカフェ、図書館など、自分の集中しやすい環境で勉強することも自由です。
独学におすすめのテキスト
独学でキャリアコンサルタント試験を受けるためには、テキスト選びも大切です。ここでは、独学におすすめのテキストを4冊紹介します。
木村周・下村英雄 『キャリアコンサルティング理論と実際』
キャリアコンサルタント試験を独学で受けるのならまず読むべきと紹介される、バイブル的な一冊です。特に学科試験への対策として読み込むことをおすすめします。2023年3月現在、6訂版が発売されています。
渡辺三枝子『新版 キャリアの心理学』
キャリアコンサルタント試験の問題がこの本の内容から出題されることも多く、受験生必携の書といわれています。2023年3月現在、第2版が発売されています。
柴田郁夫『国家資格キャリアコンサルタント 学科試験 要点テキスト&一問一答問題集』
キャリアコンサルタント試験で過去に出題された問題を徹底分析して作られています。要点をまとめたテキストを読み、一問一答に取り組むことで理解が深まるでしょう。2023年3月現在、2023年版が発売されています。
資料請求 著者 柴田郁夫氏が主催のスクールはこちら
宮城まり子『キャリアカウンセリング』
キャリア理論やカウンセリング手法が分かりやすく解説されています。初心者でも手に取りやすい一冊です。
小澤 浩一『2023年版 国家資格キャリアコンサルタント・2級技能士 合格のトリセツ 学科試験 速習テキスト&問題集』
キャリアコンサルタント試験の学科試験に対応したテキストと問題集がセットになった1冊です。合格に向けて効率的な学習ができるように配慮された構成になっています。初心者でも分かりやすい書籍です。2級技能士の試験にも対応しています。
資料請求 著者 小澤浩一氏が主催のスクールはこちら
独学にかかる勉強時間の目安
勉強時間の目安は150時間
独学でキャリアコンサルタント試験を受験するために必要な勉強時間の目安は、150時間程度といわれています。ただし、苦手分野を克服したり自信をもって試験に臨んだりする場合には、さらに時間をかける必要もあるでしょう。
この150時間という数字は、各スクールで行われているキャリアコンサルタント養成講習の平均的な学習時間から導き出されました。例えばJAICOの養成講習の学習時間は153時間、LEC 東京リーガルマインドは155時間、資格の大原は160時間などと設定されています。
実技試験対策には単科講座の受講も視野に入れて
独学では対応が難しい実技試験対策には、各スクールで実施されている単科講座の受講も検討してみるとよいでしょう。キャリアコンサルタント試験の養成講座を開いているスクールの中には、ロールプレイなどの実技試験のみに対応した単科講座を設けているところもあります。
またYouTube上には、キャリアコンサルタントの方がアップした「ロールプレイのコツ」といった動画も多くみられるため、学習に取り入れてみるのもおすすめです。
独学での受験資格がない場合は
上で述べた通り、3年以上の実務経験がない人は、キャリアコンサルタント試験を独学で受けることはできません。独学での受験資格がない場合には、厚生労働大臣が認定する講習を受けて受験資格を得る必要があります。この講座は、「キャリアコンサルタント養成講習(講座)」などと呼ばれます。
キャリアコンサルタント養成講習の費用や学習期間はスクールによって違いがみられますが、費用は30万円から40万円前後、期間は三ヶ月から五ヶ月程度が一般的です。
養成講習を受講するメリット
勉強に集中できる
キャリアコンサルタントの養成講習を受講するメリットのひとつに、勉強に集中できることが挙げられます。独学では、勉強する時間や環境などをすべて自分で管理しなければなりません。疲れているときや気分が乗らないときには、ついつい勉強をさぼってしまうということもあるのではないでしょうか。
一方、養成講習であれば、定期的に通塾したり、オンライン講座を受講したりと、勉強のスケジュールにリズムが生まれます。また、スクールでの学習は、スマホやテレビ、睡眠などに誘惑されず、勉強だけに集中できる環境が得られるでしょう。
仲間ができる
養成講習を受講すると、キャリアコンサルタント試験の合格を共に目指す仲間と知り合えるというメリットもあります。独学では常に一人で勉強しなければなりませんが、仲間ができることによって、勉強に張り合いが出るという方も多いのではないでしょうか。
勉強仲間を作れば、独学では学習が難しいとされるロールプレイの練習を互いに行い、アドバイスしあうことも可能です。また、キャリアコンサルタント試験や勉強方法などに関する情報交換をして、試験勉強に役立てることもできるでしょう。
勉強上の疑問をすぐに解消できる
キャリアコンサルタントの養成講習を受講すれば、勉強上の疑問をすぐに解消することも可能です。独学で勉強をしていると、分からないところが出てきた時に、調べるのに手間取って時間を無駄にしてしまったり、よく理解できないまま先に進まなくてはならなかったり、ということも起こりえます。
しかし養成講習では、講師に理解できるまで質問できます。疑問をそのままにせず、スッキリと解消してから次の勉強に進めるため、勉強の効率もアップするでしょう。
キャリアコンサルタントを目指せるおすすめスクール
リカレント/LIVE通信(通信)
厚生労働大臣認定講習&教育訓練給付制度対象!
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公益財団法人関西カウンセリングセンター(通学/関西)
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キャリアカウンセリング協会/GCDF-Japanオンライン(通信)
日本で唯一のキャリアコンサルタント養成の専業機関、CCA
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特定非営利活動法人 日本カウンセリングカレッジ(通学/東京)
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特定非営利活動法人 日本カウンセリングカレッジ
東海道シグマ キャリアコンサルタント養成講習(通学/静岡)
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東海道シグマ キャリアコンサルタント養成講習
まとめ
キャリアコンサルタント試験を独学で受験するには、メリット・デメリット両方が存在します。両方を把握しながら自分の環境や性格に合った勉強方法を見極めて合格を目指しましょう。