キャリアコンサルタントとしての副業は可能?
結論から言えば、キャリアコンサルタントとしての副業は可能です。詳細については後述しますが、キャリアコンサルタントとして副業を行う場合には、各種マッチングサービスやスキルシェアサービス、人材派遣会社に登録して仕事を受けたり、キャリアコンサルタントの養成講座を開いているスクールで勤務をしたり、自らブログなどで情報発信をして収益化をしたりといった、いくつかの方法が存在します。
尚、厚生労働省では、2024年度(令和6年度)の末までに「キャリアコンサルタントを10万人にまで増やす」という数値目標を掲げ、養成計画を策定しています。キャリアコンサルタントの資格やその副業は、注目度・将来性ともに期待がもてるといえるでしょう。
キャリアコンサルタントとは
キャリアコンサルタントとは、仕事を求める人の就職相談にのったり、職業上の能力を向上・開発するにはどのようにすればよいのかといったアドバイスを行ったりする、「キャリアコンサルティング」の専門家です。
キャリアコンサルタントは名称独占の国家資格です。「キャリアコンサルタント」と名乗って副業を行うためは、国家試験である「キャリアコンサルタント試験」に合格し、所定の名簿への登録を済ませておく必要があります。
資格をもっていないにも関わらずキャリアコンサルタントやそれと紛らわしい名称(キャリアコンサルやキャリア・コンサルタントなど)を名乗ることは法律で禁じられており、違反した場合には30万円以下の罰金が命じられるため注意が必要です。
キャリアコンサルタントとして副業をする方法
キャリコンサーチで情報を公開し仕事を受ける
キャリアコンサルタントとして副業を行う方法の1つが、「キャリコンサーチ(キャリアコンサルタント検索システム)」に自分の情報を登録して仕事を受けるという方法です。
キャリコンサーチとは、厚生労働省が運営する検索システム。キャリアコンサルタント資格を持つ人と、キャリアコンサルタントにコンサルティングを依頼したい企業や個人を結びつけてくれるサービスです。仕事の日程や時間帯などを依頼者と調整すれば、副業でもキャリアコンサルタントとして働くことが可能でしょう。
仕事の依頼者側は、キャリアコンサルタントを各自の対応可能業務や領域・得意分野などからも探せるため、自分の条件や強みとマッチした依頼が期待できるというメリットもあります。
キャリアコンサルタント試験に合格し、「キャリアコンサルタント登録センター」にて登録を済ませると、キャリコンサーチ上でキャリアコンサルタントとしての自分の情報を公開できます。
各種マッチングサービスに登録して仕事を受ける
キャリアコンサルタントとして副業を行うには、キャリアコンサルタントのマッチングサービスに登録するという方法もあります。
キャリアコンサルタントのマッチングサービスでは、「Kakedas(カケダス)」や「キャリアコンサルタントクエスト(略称:キャリクエ)」などが知られています。
Kakedasは、キャリアコンサルタントと企業内でのコンサルティングを依頼したい人を結びつけるサービスです。2022年9月時点で、1,945人のキャリアコンサルタントが登録していると公表されています。
一方でキャリクエは、社会人だけではなく学生の就職相談などもOKという特徴があります。相談料は登録者の経歴などによってさまざま。あくまでも一例ですが、キャリア相談やキャリアデザインの仕事で「面談1時間で2,000円」や、キャリアデザインや応募書類の作成アドバイスなどで「オンライン面談1時間で5,000円」などと提示されているキャリアコンサルタントの方がみられました。オンライン面談によるコンサルティングであれば、在宅で副業をしたいという方も取り組みやすいのではないでしょうか。
スキルシェアサービスに登録して仕事を受ける
スキルシェアサービスに登録して、キャリアコンサルタントとして副業を行うという方法もあります。スキルシェアサービスとは、自分の専門的な能力をネット上で販売できるサービスです。
キャリア相談に特化したスキルシェアサービスには、「coachee」があります。相談料は1,000円から、相談内容や時間なども自由に設定できるので、キャリアコンサルタントの副業として行いやすいというメリットがあります。
キャリア相談限定ではありませんが、「Lancers(ランサーズ)」や「Crowd Works(クラウドワークス)」、「ココナラ」なども、スキルシェアサービスのサイトとして有名です。これらのサイトでは、自分のプロフィールを公開して仕事の依頼を待つ方法の他、募集されている仕事に応募もできます。例えば、エンジニア・デザイナーに特化したキャリア相談の案件で、1時間程度の相談・1回あたり2,000~3,000円の報酬という募集がみられました。中には、キャリアコンサルティングの仕事だけではなく、キャリアコンサルタントの経験を活かしたライター業務などの募集も行われています。一例としては、キャリアコンサルタントを対象とした人事系の記事作成の仕事で、1文字につき1.5円の報酬が発生する仕事もみられました。
人材派遣会社に登録して仕事を行う
キャリアコンサルタントとして副業を行うには、「テンプスタッフ」や「リクルートスタッフィング」、「マイナビスタッフ」、「マンパワーグループ」などといった人材派遣会社へ登録して働くという方法もあります。人材派遣会社では、自分が働ける曜日や時間帯などをコーディネーターに細かく相談できるため、希望に適した求人を探しやすいでしょう。
人材派遣会社が取り扱う仕事にはフルタイムの仕事も多いものですが、週に数日、短時間でも可能なキャリアコンサルティング業務など、求職と募集のタイミングが合えば副業として行える仕事もあります。一例としてマンパワーグループでは、1日4時間、時給1,700円から、週3日勤務の大学でのキャリア支援業務という募集がみられました。
コンサルタント養成機関で講師やサポーター業務を行う
キャリアコンサルタントとしての副業には、キャリアコンサルタントの養成機関で働くという方法もあります。
キャリアコンサルタントの養成講座を開いているスクールでは、養成講座の講師や講師のアシスタント、受講生のサポート業務などを募集していることがあります。こうした求人に応募して副業をするのも方法の1つです。
過去にキャリアコンサルタントの養成講座を受講した経験があるという方は、自分の出身スクールで募集が行われていないか問い合わせてみるのもよいでしょう。
ブログやYouTubeで情報を発信して収益化する
キャリアコンサルタントとしての資格や経験を活かしてブログやYouTubeチャンネルを運営し、広告収入を得るというのも、副業の方法の1つです。
キャリアコンサルタントの資格を持っている方であれば当然、キャリアコンサルタント試験を突破しているはずです。自らの受験経験から、ブログやYouTubeを通じて受験生たちにアドバイスをするのもよいでしょう。YouTube上では、キャリアコンサルタント試験の中でも独学が難しいといわれるロールプレイや口頭試問のコツを発信している方も多くみられます。
ブログやYouTubeチャンネルの運営は、副業として稼げるようになるまで時間がかかるかもしれません。しかし、他の副業方法と組み合わせることで自分の宣伝にもなり、後の仕事につながる可能性もあります。
キャリアコンサルタントとして副業する上での注意点
現在の勤務先が副業を許可しているかを確認する
キャリアコンサルタントを名乗り副業を行う上での大前提として、あなたの現在の勤め先が副業を許可しているかを確認しておくことは大切です。「就業規則では副業は禁止だけど、内緒で働いてしまおう」などと隠れて副業を行っても、勤務先に分かってしまうことも多いもの。副業によって所得が増えると住民税の所得割の額が多くなるため、副業に気付かれやすくなるのです。
また、就業規則で副業は禁止されていないものの、副業をする場合には届出が必要なケースもあります。このような場合にも、決められた方法できちんと届け出るようにしましょう。
対応しきれない量の業務を引き受けない
キャリアコンサルタントとして副業を行う上でのもう1つの注意点は、自分が対応できなくなるほどの量の仕事を引き受けないことです。自分のキャパシティーを超えた業務量は、本業にもコンサルタント業務にも支障をきたしかねません。あなたを信頼して相談しているクライアントにも迷惑がかかってしまいます。
「副業だから適当でいいや」と考えずに、本業とのバランスを取りながら、休息の時間も考慮して仕事を入れるようにしましょう。
キャリアコンサルタントとして副業を開始するためには
キャリアコンサルタント試験の合格が必要
ここからは、「キャリアコンサルタントとして副業を始めたいけど、まだ資格を取得していない」という方に向けて解説していきます。
上でも少し触れましたが、キャリアコンサルタントを名乗って副業を始めるためには、国家試験であるキャリアコンサルタント試験に合格しなければなりません。
キャリアコンサルタント試験には受験資格があります。厚生労働省では、キャリアコンサルタント試験の受験資格を以下のように規定しています。
・厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した者(講習カリキュラムは別表に記載)
・労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験(4を参照)を有する者
・技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格した者
・上記の項目と同等以上の能力を有する者
上記の条件のうち、いずれか1つ以上を満たすことで、キャリアコンサルタント試験の受験資格が得られます。
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キャリアコンサルタントの養成講習が受けられるスクール
キャリアコンサルタント試験を受けられる多くの方は、厚生労働大臣認定の講習を受けて受験資格を得ています。この講習は一般的に、「キャリアコンサルタント養成講習(講座)」などと呼ばれています。
多くのスクールの養成講習は「専門実践教育訓練給付制度」の指定講座となっており、一定の条件を満たす人は給付金支給の対象となります。
合格後は名簿への登録を忘れずに
キャリアコンサルタント試験を受けて合格したら、それで終わりではありません。試験合格後には、キャリアコンサルタント名簿への登録が必要です。登録センター宛てに登録申請書や合格証明書などを提出し、登録手数料の納付を行うことで名簿に登録されます。ここまできて初めて、キャリアコンサルタントを名乗って副業ができるようになるのです。また、キャリアコンサルタントを名乗り続けるためには、5年ごとの資格更新も必要です。
まとめ
キャリアコンサルタントとして副業を行うには、さまざまな方法があります。自分に合った方法を選び、無理のない範囲で副業を始めてみてはいかがでしょうか。