キャリアコンサルティング技能士とは?
キャリアコンサルティング技能士とは、国家検定である「キャリアコンサルティング技能検定」に合格・登録して初めて名乗れる職種です。キャリアコンサルタントの上位に位置づけられ、受験には実務経験が必須です。
キャリアコンサルティング技能士には「2級(熟練レベル)」と「1級(指導レベル)」があり、キャリアコンサルタントに比べて、より高度な専門性と指導力が求められます。
キャリアコンサルタントとの違いは?
キャリアコンサルティング技能士 | キャリアコンサルタント | |
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資格の種類 | 国家検定 | 国家資格 |
試験の 実施機関 |
特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会 (CCC) | 特定非営利活動法人日本キャリア開発協会 (JCDA) 特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会 (CCC) |
目的 | キャリアコンサルタント経験者のスキルや熟練度を証明する | キャリアコンサルタントとしての一定の水準・技能を保証し、普及と質の維持・向上を図る |
受験資格 | 【2級】 3年以上の実務経験+キャリアコンサルタント試験合格 など 【1級】 2級技能検定合格+3年以上の実務経験 など |
以下のいずれかを満たす者 1.厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した者 2.キャリアコンサルティングに係る実務経験3年以上の者 3.技能検定キャリアコンサルティング職種の学科または実技の合格者 等 |
知識レベル | 【2級:熟練レベル】 個別の相談支援を的確に行える 【1級:指導レベル】 ・2級よりも個別の相談支援を的確に行える ・キャリアコンサルタントの指導や組織への働きかけができる |
キャリアコンサルティングに必要な基礎的・標準的な知識・技能を有する |
仕事内容 | 【2級・1級共通】 キャリアコンサルタント業務 【2級】 熟練者としてより複雑な相談対応 【1級】 指導者として後進育成や組織開発、より高度で広範な役割を担う |
・相談者へのキャリアコンサルティングの実施(職業選択支援、職業能力開発支援、キャリアプラン作成支援など) ・個人の適性や経験に応じたキャリア形成の支援 |
キャリアコンサルタントの資格は、厚生労働大臣が認定する養成講習を修了していれば実務経験なしで受験ができます。一方、キャリアコンサルティング技能士は、キャリアコンサルタント資格に加えて実務経験が必須の上位資格です。
また、キャリアコンサルタントは、キャリア支援の知識・技能を有することを示す国家資格です。対して、キャリアコンサルティング技能士は、キャリアコンサルタントのスキルや熟練度を証明する国家検定です。技能士には、2級(熟練レベル)と1級(指導レベル)があり、より高度な専門性で複雑な相談や後進育成、組織への働きかけといった役割を担います。
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キャリアコンサルティング技能検定の概要
実施団体 | 特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会 (CCC) |
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試験日程 | 【2級】年2回実施 学科・実技(論述)試験:前期6月頃、後期12月頃 実技(面接)試験:前期6-7月頃、後期1-3月頃 【1級】 年1回実施 学科・実技(論述)試験:12月頃 実技(面接)試験:1-2月頃 |
受験資格 | 【2級】 3年以上の実務経験+キャリアコンサルタント試験合格 など 【1級】 2級技能検定合格+3年以上の実務経験 など |
試験内容 | 【学科試験】 2級:四肢択一のマークシート方式 1級:五肢択一のマークシート方式 【実技試験】 論述試験 面接試験(ロールプレイ、口頭試問) |
受験料 | 2級:学科:11,200円 実技:29,900円 1級:学科:11,200円 実技:33,500円 |
難易度 | キャリアコンサルタント試験に比べて難易度が高い |
キャリアコンサルティング技能検定に合格すると、2級(熟練レベル)または1級(指導レベル)の「技能士」を名乗れ、高い技術が証明されます。
これは国家資格を付与するものではなく、キャリアコンサルティングのスキルと熟練度を証明する技能検定です。面接や論述など実践的な試験が実施されるため、キャリアコンサルタント試験に比べると難易度が高くなっています。
キャリアコンサルティング技能検定2級と1級の違い
キャリアコンサルティング技能士には、2級と1級があります。ここでは、2級と1級の違いを説明します。
2級 | 1級 | |
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受験資格 | 以下いずれかを満たす者 ・5年以上の実務経験がある ・4年以上の実務経験+大学で検定職種に関する科目を20単位以上修得して卒業している ・4年以上の実務経験+キャリアコンサルタント試験の受験要件を満たすものとして厚生労働大臣認定の講習(同等以上の講習)を修了している ・3年以上の実務経験+大学院で検定職種に関する科目を8単位以上修得して修了している ・3年以上の実務経験+キャリアコンサルタント試験に合格(またはキャリアコンサルタントである) |
以下いずれかを満たす者 ・10年以上の実務経験がある ・9年以上の実務経験+大学で検定職種に関する科目を20単位以上修得して卒業している ・9年以上の実務経験+キャリアコンサルタント試験の受験要件を満たすものとして厚生労働大臣認定の講習(同等以上の講習)を修了している ・8年以上の実務経験+大学院で検定職種に関する科目を8単位以上修得して修了している ・8年以上の実務経験+キャリアコンサルタント試験に合格(またはキャリアコンサルタントである) ・2級技能検定に合格+3年以上の実務経験がある |
試験内容 | 【学科試験】 四肢一択のマークシート方式 全50問 【実技試験】 論述試験(1ケース) 面接試験(ロールプレイ、口頭試問) |
【学科試験】 五肢一択のマークシート方式 全50問 【実技試験】 論述試験(1ケース) 面接試験(ロールプレイ、口頭試問) |
知識レベル | 熟練レベル | 指導レベル |
合格率 | 学科試験50~75%程度 実技試験20%以下 |
学科試験30~60%程度 実技試験10%以下 |
受験資格
2級 | 1級 | |
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受験資格 | 以下いずれかを満たす者 ・5年以上の実務経験がある ・4年以上の実務経験+大学で検定職種に関する科目を20単位以上修得して卒業している ・4年以上の実務経験+キャリアコンサルタント試験の受験要件を満たすものとして厚生労働大臣認定の講習(同等以上の講習)を修了している ・3年以上の実務経験+大学院で検定職種に関する科目を8単位以上修得して修了している ・3年以上の実務経験+キャリアコンサルタント試験に合格(またはキャリアコンサルタントである) |
以下いずれかを満たす者 ・10年以上の実務経験がある ・9年以上の実務経験+大学で検定職種に関する科目を20単位以上修得して卒業している ・9年以上の実務経験+キャリアコンサルタント試験の受験要件を満たすものとして厚生労働大臣認定の講習(同等以上の講習)を修了している ・8年以上の実務経験+大学院で検定職種に関する科目を8単位以上修得して修了している ・8年以上の実務経験+キャリアコンサルタント試験に合格(またはキャリアコンサルタントである) ・2級技能検定に合格+3年以上の実務経験がある |
キャリアコンサルティング技能士の受験資格は、2級・1級とも実務経験が必須です。2級の場合、最短でも「実務経験3年以上+キャリアコンサルタント試験合格」の要件が求められます。
1級の場合は、「技能士2級+3年以上の実務経験」の要件を満たしていると、最短で受験資格を得られます。1級は2級よりもさらに上位の検定であるため、長い実務経験が必要です。
試験内容
2級 | 1級 |
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【学科試験】 四肢一択のマークシート方式 全50問 【実技試験】 論述試験(1ケース) 面接試験(ロールプレイ、口頭試問) |
【学科試験】 五肢一択のマークシート方式 全50問 【実技試験】 論述試験(1ケース) 面接試験(ロールプレイ、口頭試問) |
キャリアコンサルティング技能士の試験は、2級・1級ともに学科と実技(論述、面接)に分かれています。2級は個別相談の的確な実施能力を問います。
1級は2級の内容に加えて、学科では組織への働きかけや後進育成、実技ではキャリアコンサルタントへの指導や組織への働きかけなど、指導者としての能力が重視され、より高度で広範な専門知識と実践力が試されます。
知識レベル
2級 | 1級 |
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熟練レベル | 指導レベル |
キャリアコンサルティング技能士の知識レベルは、2級が「熟練レベル」、1級が「指導レベル」と位置付けられています。
2級は個別の相談支援を的確に行い、後進に助言できる専門性が必要です。1級はそれに加え、他のキャリアコンサルタントを育てるための指導力や組織開発など、より高度かつ幅広い専門性が求められます。
合格率
2級 | 1級 |
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学科試験50~75%程度 実技試験20%以下 |
学科試験30~60%程度 実技試験10%以下 |
キャリアコンサルティング技能士の合格率は、2級の実技試験が概ね20%以下であるのに対し、1級は10%以下とより低い傾向です。
指導レベルが問われる1級は、2級と比較して難易度が格段に高く、合格へのハードルは非常に高いといえます。これらの数値は年度や回により変動するため、あくまで目安として捉えておきましょう。
キャリアコンサルティング技能検定の合格率
直近で行われた「キャリアコンサルティング技能検定2級試験(第33回)」の合格率は、実技が17.73%であり、過去の合格率(15~20%程度)と同水準です。1級試験(第14回)の実技の合格率も6.55%で、過去の水準と同程度といえます。
国家資格キャリアコンサルタントの実技試験と比較すると、2級・1級ともに難易度が格段に高くなっています。
キャリアコンサルティング技能士の活躍できる場所
キャリアコンサルティング技能士の持つ知識と実践力は、さまざまな場面で求められています。具体的にどのような場所で活躍できるのか、主な4つのフィールドを解説します。
企業内のキャリアコンサルティング
企業の中においては、社員が自身のキャリアパスを明確にし、目標を達成できるようにサポートします。個々の社員との面談を通じて適切なアドバイスを提供し、組織全体のパフォーマンス向上に寄与することが目的です。
さらに、社員のスキル向上を促進するための研修プログラムの企画や運営にも関与し、多角的な人材育成を支援します。
教育機関でのキャリア支援
教育機関においては、学生が将来のキャリアを考える上で欠かせないサポートを行います。学生が自分の適性や興味、価値観を深く理解し、将来像につながる適切な進路選択を行えるように、個別相談やガイダンスを通じて丁寧に支援します。
また、インターンシップの機会を提供・支援し、学生が実際の職場を経験することで社会とのギャップを埋め、スムーズに社会人生活をスタートできるよう準備を後押しします。
ハローワークや民間の人材紹介会社における人材コンサル
ハローワークや民間の人材紹介会社では、キャリアコンサルタントが求職者と企業との重要な橋渡し役を担います。求職者に対しては、これまでのスキルや経験、希望を丁寧にヒアリング・分析し、最適な職場を見つけるための具体的なアドバイスを行います。
一方、企業側に対しても、求める人物像や事業戦略を深く理解したうえで、合致する適切な人材を紹介することで、組織のニーズに合った採用をサポートします。
他のキャリアコンサルタントの指導
キャリアコンサルティング技能士は、国家資格キャリアコンサルタントの上位資格です。個人のキャリア相談に直接応じるだけでなく、他のキャリアコンサルタントに対する指導者としての役割も担っています。
質の高いキャリアコンサルティングが社会全体で提供されるように、研修などを通じて専門性の向上を支援し、業界全体のレベルアップに貢献することが期待されています。
キャリアコンサルティング技能士に関するよくある質問
キャリアコンサルティング技能士の資格取得や試験について、疑問や不安をお持ちではありませんか?よくある質問とその回答をわかりやすくまとめました。
Q.キャリアコンサルティング技能士の資格を得るメリットは?
A.キャリアコンサルタントの上位資格であり、企業内や他のキャリアコンサルタントの指導など、活躍の場が広がります。
キャリアコンサルティング技能士の資格は、国家資格キャリアコンサルタントの上位資格であり、高度な専門性と実践力を証明できます。
クライアントや組織からの信頼が増し、企業内でのキャリア開発支援や他のコンサルタントの指導など、より専門的な分野での活躍が期待できるでしょう。
Q.キャリアコンサルティング技能士は独学でも目指せる?
A.実技試験は高度な面談スキルが求められるので、専門の講座受講が一般的です。
キャリアコンサルティング技能士の受験には実務経験などが必須です。学科は独学でも対策可能ですが、実技は高度な面談スキルが求められます。ロールプレイング練習など独学では対策が困難な部分が多いため、専門の講座を受講するのがよいでしょう。
Q.キャリアコンサルティング技能検定の合格率が低いのはなぜ?
A.国家資格キャリアコンサルタントの上位資格で、実技試験での難易度が高いためです。
キャリアコンサルティング技能検定は国家資格キャリアコンサルタントの上位資格で、熟練レベルや指導レベルのより高度な実践力が求められます。
とくに実技試験では、実際の面談における深い傾聴力や展開力、問題把握力などが厳しく評価されるため、合格率が低くなる傾向です。
受験資格を満たしてキャリアコンサルティング技能検定に挑戦しよう
キャリアコンサルティング技能士は、国家資格キャリアコンサルタントよりも専門性の高い上位資格です。実技試験では熟練した対応や指導力が問われるため難易度は高めですが、企業や学校など活躍の場は多彩です。多様な働き方が広がる今、高度な知識とスキルで的確に支援できる技能士のニーズは上昇中。実務経験が必須なので、受験資格を確認して挑戦しましょう。
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