図書館司書の給料・年収は?
月給17万〜18万円位、年収だと300万円前後が平均!
図書館司書の平均的な給与は月給で17万〜18万円程度とされています。
年収ベースでは300万円前後となると考えられます。
給料は契約形態や雇用主によっても大きく異なりますが、参考までに東京都の正規職員として司書に採用された場合の初任給を確認すると約22万円~24万円程度となっています。
現在の求人から見る給与状況
求人サイトの情報(2025年5月現在)では、図書館司書の初任給はおおよそ17万〜23万円程度となっています。
アルバイト・パートや派遣社員といった非正規職員の募集も多く、時給1,000円~1,500円の求人が多いようです。
働き方によっても異なりますが、手取りで換算すると月収10万円台前半になる方もいるようです。
給与は高いとはいえない
図書館司書として働いている方たちの声を見てみると、本が好きで司書になった方が大多数で、仕事自体には満足しているようです。
しかし、給与の低さには不満の声もあり、なかには20年近く昇給がないというケースや、キャリアを積んでも新しく入ってきた司書と同等の給料のままで待遇が改善されないという例もあるようです。
他職業との比較
国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の給与所得者の平均年収は約460万円となっています。
この数字と比較すると、司書の給与水準は平均よりもやや低めであることがわかります。
ただし、勤務先の種類や雇用形態によって収入には差があります。採用枠が限られていますが、公立図書館などで正規職員として勤務する場合は、賞与や各種手当を含めて安定した収入が見込めるケースもあります。
働く場所による給料・年収の違い
図書館といっても、学生が利用する学校図書館と、市区町村で運営している公共図書館で種類が異なり、図書館司書の扱いも変わってきます。
公共図書館で働く場合の給料・年収
市区町村が運営する公共図書館においては、図書館司書は地方公務員(正規職員)としての採用か、パートなどの非正規職員としての採用かに分かれます。
地方公務員として採用される場合は、一般行政職として基本給が定められており平均給与は41万円程度(「令和6年地方公務員給与実態調査」より)です。
公務員ですので、ボーナスも支給され、年収にすると平均650万円近くになります。昇給も定期的におこなわれる場合が多いようです。
地方公務員となれば、図書館司書の平均給与を上回る好待遇を期待できます。
ただし、地方公務員として図書館に勤務するには、一般行政職として採用されてから図書館に配属されるか、司書を専門職として募集しているごく一部の採用試験に合格する必要があり、いずれも狭き門となっています。
最近は図書館業務の外部委託も多いので、委託先の会社に就職して公共図書館で働くというルートもあります。
給与は、司書資格がある場合で初任給17万円~22万円ほどです。
この場合は地方公務員ではなく民間企業の社員としての雇用になるため、給与や待遇は各企業の規定によります。
学校図書館で働く場合の給料・年収
学校図書館に関わる職種には、教員として読書指導などを行う司書教諭と、図書館の管理や運営を担う学校司書があります。
司書教諭として働く場合
司書教諭は地方公務員である教師としての採用になるので、給与も一般的な教師と同等の水準となります。
勤続年数にもよりますが、教師の平均月収は40万円程度。
司書教諭として働くためには、図書館司書の資格と別に教員免許も取得する必要があります。
関連記事 司書教諭とは?
学校司書として働く場合
学校司書は司書教諭とは異なり、教師としてではなく学校の一般職員として採用されることになります。
非常勤として採用されることが多く、2025年5月現在、求人サイトなどで学校司書の求人を確認すると、時給1,000円~1,500円程度の募集が多いようです。
学校司書として働くのに特別な資格は必要ありません。しかし、実際の求人では司書資格を持つ人を求めることが多くあります。
学校司書を目指す場合も、司書の資格を持っている方が採用で有利になるでしょう。
雇用形態による給料・年収の違い
地方公務員(正規職員)として採用された場合と、その他の非正規職員として採用された場合とでは給与面で大きな差があり、大多数の図書館司書は非正規職員であるのが現状です。
正規職員の給料
図書館司書が地方公務員として採用された場合は、平均月収40万円ほどになります。
初任給は20万円前後となる自治体が多いようですが、ボーナスや定期的な昇給で比較的安定した年収を得られるでしょう。
ただし、地方公務員として図書館で働くには、一般行政職として採用されたうえで図書館に配属されるか、司書を専門職として採用している一部の自治体の試験に合格する必要があり、いずれも狭き門となっています。
非正規職員の給料
非正規職員としての採用の場合は時給にして1,000円から1,500円程度、月収12万円から17万円程度が多いといわれています。勤務時間が短いと、そのぶん月収・年収は下がってしまいます。
非正規職員は、正規職員と異なりボーナスが出ることはほとんどありません。また、大きな昇給も望むことは難しいのが現状です。
そのため、年収で見ると正規職員と比較して大きな差が出てしまうのです。
厳しい現状
雇用形態により給与で大きな差が生まれる図書館司書ですが、業務内容は正規職員も非正規も大差ありません。
司書は専門性の高い仕事であるのにもかかわらず、給与面や雇用の安定性など待遇の厳しさがたびたび取り上げられています。
図書館業務は予算削減のために人員を減らされることもあり、業務量に対して職員数が足りず、1人ひとりの司書に大きな負担がかかっているといった声もよく聞かれます。
非正規職員の場合はシフト制がとられているところも多くありますが、司書の人数が少ないためまとまった休みを取りづらかったり、公立図書館勤務の場合は土日祝に休みを取るのが難しかったりといった問題もあるようです。
そもそも図書館司書とは?
国家資格を持ち、図書館業務をおこなう専門職
図書館司書とは、図書館における専門職で、文部科学省の定めた資格「司書」を有することが求められる職種です。
図書館にあるすべての本や資料を管理し、利用者への読書案内のほか、目的に応じた資料の選定や貸出・返却など、図書館でのすべての業務を担当します。
2種類の資格がある
図書館司書の資格は、司書と司書補の2種類があり、どちらも国家資格に定められています。
司書補はその名が示すとおり、司書の補助的な役割を担います。
図書館司書の役割
司書は、図書館を利用する人と本をつなぐ役割を担う専門職です。
本や資料に関する知識を活かし、読書活動や学習・研究をサポートしています。
主な職務内容は以下のとおりです。
- 図書館資料の選択、発注及び受け入れ
- 受け入れ図書館資料の分類及び蔵書目録の作成
- 目録からの検索、図書館資料の貸出及び返却
- 図書館資料についてのレファレンスサービス、読書案内
- 読書活動推進のための各種主催事業の企画、立案と実施
- 自動車文庫による巡回等の館外奉仕活動の展開など
参考 文部科学省|司書について
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図書館司書の仕事内容
司書の仕事は、単に本の貸出や返却を行うだけではありません。図書館内外で多岐にわたる業務を担っています。
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図書館司書の主な業務内容
資料の選定・管理
図書館で取り扱う本や資料は、司書が内容や利用者ニーズを考慮して選定し、発注・受け入れ・保管まで一貫して行います。
受け入れた資料は、細かい分野ごとに分類され、目録を作成することで検索性と管理のしやすさを高めています。
利用者対応・図書館運営
貸出・返却の対応はもちろん、戻ってきた資料の整理や破損対応、館内システムの説明など、利用者が快適に図書館を利用できるようサポートします。
また、館内の展示や装飾、コピー機などの設備管理など、施設運営に関わる業務も行っています。
読書活動の推進・イベント対応
地域の読書活動を支える役割も担っており、ブックフェアや読書会などのイベント企画・広報活動にも携わります。
視覚障害のある方へのレファレンスサービスなど、利用者一人ひとりに応じたきめ細やかな対応も重要な業務です。
館外業務・地域連携
図書館外でも、移動図書館による巡回や地域行事への参加、学校との連携による図書貸出やブックトークなど、読書の楽しさを広げる活動を行っています。
給料・年収アップを目指すなら
非正規職員の雇用と待遇について
非正規職員として働く場合、契約更新のたびに雇用が継続されるとは限らず、安定性に不安が残るのが実情です。給与水準も正規職員と比べて低めで、昇給やボーナスがほとんど期待できないケースも少なくありません。
また、現場での評価が高くても、契約更新の可否は管理職の判断に左右されることが多いため、評価がそのまま雇用の継続につながるとは限らないのが現状です。
正規職員を目指す選択肢
安定した雇用や収入の向上を目指す場合は、正規職員としての採用試験にチャレンジすることが有効です。
ただし、図書館の数自体が限られているため、正規職員の採用枠も多くはなく、競争倍率が高くなる傾向があります。とはいえ、非正規職員との待遇差は大きく、安定した働き方が実現しやすくなります。
司書資格の必要性
図書館スタッフとして勤務するだけであれば、司書資格が必須でない場合もあります。
しかし、正規職員として採用されるには、図書館司書の資格が求められることが多く、資格を取得することで就職の選択肢が広がります。長期的なキャリア形成を見据えるなら、資格取得を検討してみるのも良いでしょう。
勤務先の選択肢を広げる
勤務先としては、自治体の公共図書館だけでなく、大学図書館、国立の図書館、企業や法人が運営する施設なども候補に入れると良いでしょう。公共図書館は予算が限られているため人員配置も厳しい場合がありますが、大学や民間施設では比較的採用枠が広く設けられている場合もあります。
また、自治体の職員を目指す際も、自分の住む地域だけでなく、近隣自治体の求人も視野に入れることで、より多くのチャンスを得られるでしょう。