社会保険労務士(社労士)試験合格後は「全国社会保険労務士連合会」に登録をする必要がある
社会保険労務士(社労士)の試験に合格された後は「全国社会保険労務士連合会」への登録が必要です。
この組織は、厚生労働大臣の認可を受けた法定団体です。
社労士の仕事は国の法律・法令に基づいた様々な手続きに関与しているため、自由に書類を作成するということはできません。
そこで、一定の基準に沿った仕事を行うため、個々の社会保険労務士に向けて連絡や指導をおこなう機関が必要となります。
その仕事を行うのが全国社会保険労務士連合会です。
各都道府県の社会保険労務士会の連合組織であり、社会保険労務士の品位の保持、資質向上、業務の改善進歩を図るという目的を掲げています。
その一環として、社会保険労務士試験の実施であったり、実施後の社労士の登録業務などがあります。
この組織に所属している会員がわからなければ、適切な指導や連絡を取ることもできません。
以上のようなことから、全国社会保険労務士への登録が必要になる理由をご理解いただけると思います。
社労士の登録は合格者なら全員が対象というわけではなく、合格者でありかつ2年以上の実務経験が必要な方が対象となります。
この実務経験が2年に満たない場合は、社労士の事務指定講習の受講が必須となります。
この講習に関する業務も全国社会保険労務士連合会がおこなっています。
2年以上の実務経験がない場合「労働社会保険諸法令関係事務指定講習」の受講が義務付けられる
先の項でも触れましたが、社会保険労務士(社労士)の登録を行う際、2年以上の実務経験がない場合は「労働社会保険諸法令関係事務指定講習」の受講が必須となります。
受講には申し込みが必要で、例年11月中旬から12月上旬が申し込み期間です。
社労士試験に合格後、すぐに手続きするかたちです。
内容はその名称どおり、労働社会保険諸法令に関するもので具体的には労働基準法、雇用保険法、健康保険法、国民年金法などの法令そのものに対する理解とそれらにかかわる申請書類、手続き関連書類の作成に関するものでこれから仕事をしようとする実務に即したものとなっています。
講習には通信指導によるものと面接指導によるものの二種類があります。
前者は2月初旬~5月末ごろ、後者は7月~9月の間に全国の指定会場で4日間の日程でおこなわれます。
通信指導の方は一般的な通信教育のイメージです。
教材が自宅に送られ、それに沿って自己学習を行い、課題を提出するというかたちになっています。
課題提出は3回あり、課題に不備等があれば再提出を求められることもあります。
面接指導は東京・愛知・大阪・福岡の全国4会場で実施されます。
1日9:30~16:30で関連法令の授業が組まれており、それを4日間にわたって参加しなければなりません。
社会保険労務士(社労士)の登録には費用がかかる
社会保険労務士(社労士)の登録にはいろいろな費用がかかります。
もし、前項で述べた講習会が必要な方は講習会だけで70,000円円となります。
そのほか、登録自体に必要なものをみていくと、
●登録免許税:30,000円(収入印紙)
●手数料:30,000円
上記の費用も発生します。
また、勤務地か居住地の各都道府県の社会保険労務士会にも入会することになりますので、その入会金も必要です。
こちらに関しては、金額が一律ではないため参考となりますが、
東京都社会保険労務士会の場合
【開業会員の場合】
入会金:50,000円
年会費:96,000円
【勤務等会員の場合】
入会金:30,000円
年会費:42,000円
上記のようになっています。
様々な費用がかかるので、どの程度の費用が必要になるのかについても事前に理解しておくとよいでしょう。
社会保険労務士(社労士)登録に必要な書類は?
社会保険労務士登録申請書(正本1枚、副本2枚の3枚複写)、社会保険労務士(社労士)試験合格証の写しが必要となります。
次に労働社会保険諸法令関係事務従事期間証明書というのがあります。これは先に述べた実務経験2年以上を証明するための書類で、これに該当しない場合は事務指定講習修了証の写しが必要です。
そのほか、住民票1通(交付3か月以内、マイナンバー記載なし)、顔写真1枚(縦3㎝×横2.5㎝)が必要です。
また、これまでに述べた証明書類の氏名と社労士登録時の氏名が異なる場合は戸籍抄本1通(交付3か月以内、マイナンバー記載なし)が必要です。

社会保険労務士(社労士)の登録には3パターンある
(1)開業型
社会保険労務士(社労士)の登録には「型」があり、登録後の働き方によって決まります。
開業型は文字通り、自分自身で社会保険労務士事務所を開く場合のことを指します。
企業内に社労士を置かない民間の中小企業を顧客先として顧問契約を結び、労務相談や手続き・申請関係の書類作成をするなどの仕事が中心です。
一人で事務所を開く場合以外に社会保険労務士法人として既に先輩社労士が開業している事務所に所属し、雇用されるというケースもあるかもしれません。
雇用されていても、社労士として名乗り仕事をする場合はこの開業型になります。
自分の実力次第で収入を増やすことができる点は開業型の魅力です。
収入が多くなることが見込めるからこそ、登録料が高めに設定されているわけです。
(2)勤務型
勤務型は、社会保険労務士(社労士)事務所以外の一般の企業に所属し、労務士の仕事をするケースです。
医療保険や年金保険などの商品を扱う金融機関や保険会社といった企業で働いているイメージが強いかもしれません。
実際は、業種を問わず、従業員数の多い企業では人事部、総務部、法務部などに所属する企業内の社会保険労務士を置くケースがあります。
従業員が多ければ、健康保険法の加入、喪失、傷病手当金などの申請書類や労災関連の申請書類なども数多く処理していく必要があるためです。
また企業が何かの助成金を申請するケースなどもあり、大企業では特に必要とされます。
企業の給与規定に沿った収入のため、こちらは登録型よりも費用が低めに設定されています。
(3)その他
ここでご紹介する「その他」とは既に説明した「開業型」「勤務型」に該当しない方を指します。
社会保険労務士(社労士)試験には合格したが、それを仕事としないという場合は自宅を届け出ることで登録することができます。
法改正に対する情報などを得ることができるため、社労士の登録のメリットが全くないわけではありませんが、登録には勤務型の方とほぼ同じくらいの費用がかかります。
なかには、将来的に社労士の仕事をするかもしれないという考えから、登録を選ぶ方もいらっしゃると思いますが、先に述べた費用の部分も参考にしつつ、メリット・デメリットをよく考えたうえで登録されることをおすすめします。

まとめ
社会保険労務士(社労士)として働くためには、全国社会保険労務士連合会への登録や、登録に関わる費用などが必要になること、必要となる書類、登録のパターンなどについて説明をいたしました。
ご紹介のとおり、試験に合格後も登録、講習などが必要となるのは、国家資格として資格保持者の特別な仕事ができることの証であり、それに見合った報酬につながるものです。
とはいえ、まず必要なのは社労士の試験に合格することです。
試験の範囲の広さもあり、独学では難易度が高いです。
社労士の講座を開講しているスクールは全国にあるため、スクールに通うのもひとつの方法です。
お近くにスクールがない方は、通信講座の受講もおすすめです。
まずは複数のスクールから資料を取り寄せて、比較検討されることをおすすめいたします。

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