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リカレント教育コラム

文部科学省が進めるリカレント教育事業とは?教育モデル構築に向けての取り組みと推進事業を始めた理由をまとめて解説!

文部科学省が進めるリカレント教育事業とは?教育モデル構築に向けての取り組みと推進事業を始めた理由をまとめて解説!

現在、国は総力を挙げてリカレント教育事業を推進中。その中心を担うのが文部科学省の推進事業です。なぜ国はリカレント教育事業に力をいれているのでしょうか?文部科学省が展開する事業と推進理由をまとめて解説します!

公開:2022-10-00 09:00 (最終更新:2023-07-24 09:00)

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文部科学省によるリカレント教育の推進事業とは?

文部科学省によるリカレント教育の推進事業とは?

日本がリカレント教育に注力し始めたのは、将来の経済が危機的な状況にあるからといえるでしょう。

政府は2017年、「人づくり革命」として、経済を成長させていくためには、社会人が生産性向上に供与できる学び直しを恒久的におこない、労働力と労働の質を上げていくことが必要不可欠であるという方針を表明しました。
2021年には、DX推進のためのリカレント教育の強化という方針も打ち出しています。

現在、文部科学省・厚生労働省・経済産業省が中心となり、リカレント教育政策を展開。
その中で、実践的な教育プログラムのモデル構築や開発を担当しているのが文部科学省です。

リカレント教育で最も重要といえる、これからの社会人が学ぶべき内容の方向性を考えている文部科学省の事業について、以下詳しく解説します。

出典 内閣府/経済財政運営と改革の基本方針2017経済財政運営と改革の基本方針2021

これからの時代に役立つ資格を見る

就職・転職支援のための大学リカレント教育推進事業(令和3年度)

就職・転職支援のための大学リカレント教育推進事業(令和3年度)

新型コロナウイルス感染症拡大以降、社会や経済、雇用構造などに大きな変化が見られました。

特に失業者や非正規労働者はコロナ禍の影響を強く受ける傾向にあり、新たなスキルを身につけ、自身でキャリア形成を考えていく必要性が出てきたといえるでしょう。

そこで、文部科学省は令和3(2021)年度に、就職・転職支援のための大学リカレント教育推進事業を実施。
企業・経済団体・ハローワークなどとも連携し、全国の大学で就職・転職につながる教育プログラムを、無料で受講できるという取り組みをおこないました。

教育プログラムは、社会的関心が高まっている以下の分野で展開されたことが特徴です。

  • DX関連(AI・IoTなど)
  • 医療、介護
  • 地方創生
  • 女性活躍

なお、プログラム修了時に実施した受講生アンケートでは、無職の方の比率が下がり、正社員・非正社員で働く方の比率が上がったという結果が出ました。

プログラム修了後の就業状態

※文部科学省「就職・転職支援のための大学リカレント教育推進事業報告書」を基にBrushUP学び作成

学び直しを機に新たに就業できた方が一定数いたことは、当該事業の有益性やリカレント教育の有効性を表しているといえるでしょう。

出典 文部科学省/就職・転職支援のための大学リカレント教育推進事業

通信制大学の教育プログラムを詳しく見る

社会人の学びの情報アクセス改善に向けた実践研究

社会人の学びの情報アクセス改善に向けた実践研究

学び直しのポータルサイト開発・運用(令和2年度~)

文部科学省は令和2(2020)年度より、社会人の学び直し情報発信ポータルサイトである「マナパス」の運用を開始しています。

マナパスは、

  • 大学を中心とした社会人向けの講座
  • 講座が開講されているエリア
  • 通学・通信講座

など各種条件を絞り込み、自分が学びたい教育プログラムを気軽に検索できることが特徴です。
また、講座検索のほか、「就職氷河期」や「女性の学び」など、社会課題と学びをかけ合わせた情報の提供などもおこなっています。

なお、講座は無料講座と有料講座に分かれます。
業務スキルに役立つ講座は有料の場合多い傾向にあります。
教育訓練給付金などが活用できる学びを選択すると費用の負担を軽減できるでしょう。

出典 文部科学省/「キャリア形成促進プログラム」の文部科学大臣認定制度

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DX等成長分野を中心とした就職・転職支援のためのリカレント教育推進事業(令和3年度~)

DX等成長分野を中心とした就職・転職支援のためのリカレント教育推進事業(令和3年度~)

DX関連の領域など、イノベーション創出が期待される成長分野への求職者就業支援のため、必要スキルを習得する教育プログラムを提供する事業です。
令和3(2021)年度に採択された、進行中の事業となります。

大学などの高等教育機関が、労働局・企業業界団体などと連携し、教育プログラムと就業支援を実施する予定です。

なお、2022年10月記事執筆現在、教育プログラムを提供する機関とプログラム内容が採択され、実施に向けた動きが進んでいます。

<採択された教育プログラム例>

筑波大学
プログラム女性のためのオフィスワークDX推進プログラム【DX(ビジュアライゼーション)×女性活躍】
概要ITスキルを中心としたオフィスワークスキルを習得し、女性のキャリアを創造していくプログラム
早稲田大学
プログラムスマートエスイーDXコース
概要DXによるビジネスの企画・立案・推進を担うことができる、DX中核人材を育成するプログラム
神戸大学
プログラムSociety 5.0と地方創生を加速させる次世代DXリーダー育成プログラム
概要キャリアアップにつなげるため、AIなどの応用基礎的なDX分野の能力を育成するプログラム

※開講スケジュールやプログラムの詳細・申込方法は、各教育機関のホームページなどをご確認ください。

出典 
文部科学省/DX等成長分野を中心とした就職・転職支援のためのリカレント教育推進事業
筑波大学
早稲田大学
神戸大学

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大学等におけるリカレント講座の持続可能な運営モデル構築事業(令和2年度~)

大学等におけるリカレント講座の持続可能な運営モデル構築事業(令和2年度~)

リカレント教育の重要性はますます高まる様相を見せており、今後も継続的なリカレント教育講座の開発・提供が期待されます。

文部科学省は当該事業展開のため、令和2(2020)年度より大学などへのヒアリングやガイドライン骨子の作成に着手。
令和4(2022)年度、リカレント教育推進のためのガイドライン完成計画を策定しました。
現在、ガイドラインの完成に向け、効果的なリカレント教育の追加実証や情報収集を進めています。

ガイドラインが完成されると、リカレント教育の進め方や方向性が定まるため、大学をはじめとするあらゆる高等教育機関において教育プログラムが提供できるようになるでしょう。
全国各地においてリカレント教育が豊富に展開できると、社会人全体のスキルの底上げにつながるかもしれません。

出典 文部科学省/大学等におけるリカレント講座の持続可能な運営モデル構築事業について

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その他省庁のリカレント教育施策

その他省庁のリカレント教育施策

厚生労働省による施策

厚生労働省と経済産業省によるリカレント教育施策についても紹介しておきましょう。

厚生労働省は、給付金や助成金制度を中心とした労働者や企業への学び直し支援を実施しています。

労働者への支援施策

労働者が金銭的な支援を受けながら学び直しをおこない、就職・転職を目指せる施策

  • 教育訓練給付金、高等職業訓練促進給付金
  • 公的職業訓練(ハロートレーニング)の実施
  • キャリアコンサルティング

企業への支援施策

企業の人材開発を助成金や専門家によるアドバイスで支援する施策

  • 「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」の策定
  • 人材開発支援助成金
  • 生産性向上支援訓練
  • 企業内キャリアコンサルティング(セルフ・キャリアドック)導入支援

出典 厚生労働省/リカレント教育

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経済産業省による施策

経済産業省は、企業の新規事業創出に向けた人材を育成するリカレント教育施策を担当しています。

<主な施策>

創造性人材の育成支援
(大企業等人材による新規事業創造促進事業)

新規事業創出に必要となる創造的思考を強化するための創造性リカレント教育プログラムを実施

産学官連携施策

産業界・大学・官庁が連携し、理工系人材の育成や、大学の研究開発技術によるベンチャーをおこなう取り組み

出典 
経済産業省/創造性人材の育成支援
産学官連携

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国がリカレント教育推進事業を始めた4つの理由

国がリカレント教育推進事業を始めた4つの理由

①日本の少子高齢化が想定を上回るスピードで進んでいるため

日本は1990年代以降に経済成長率が鈍化。マイナス成長だった年も少なくありません。
経済成長指標の1つである実質GDP(国内総生産)は、1990年以降下落傾向が続いており、少子高齢化による労働力不足がさらなる追い打ちをかける可能性があります。

実質GDP対前年度増加率

※国内総生産(支出側)実質(連鎖方式)を基にBrushUP学び作成
1981(昭和56)~1994(平成6)年度分出典データ:2009年度国民経済計算(2000年基準・93SNA)
1995(平成7)~2020(令和2)年度分出典データ:2020年度国民経済計算(2015年基準・2008SNA)
2021(令和3)~2022(令和4)年度の出典データは内閣府発表のものを使用(令和4年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(閣議決定)概要)

少子化は、5年ごとに実施されている国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」の予想を超えるスピードで進んでいます。
さらに日本はすでに超高齢社会(※)に突入しており、高齢者の割合はこれからも増加していく見込みです。

出生数・出生率と高齢者数の比較

※千単位以下四捨五入
※厚生労働省/人口動態統計,総務省/統計からみた我が国の高齢者,総務省統計局/人口推計を基にBrushUP学び作成

また、労働力をカバーするために、外国人労働者の受け入れもおこなわれています。
しかし、新型コロナウイルスと円安の影響で、外国人の入国が思うように進んでいません。

以下のグラフのとおり、主に経済を支えている生産年齢人口は、1995年をピークに減少の一途をたどっています。

生産年齢人口(15~64歳)

※千単位以下四捨五入
※総務省統計局/人口推計(総人口)を基にBrushUP学び作成

このままでは、労働力は減少する一方であり、日本の経済が回らなくなる恐れがあります。

育児に専念していた女性や企業を退職したシニア世代など、仕事にブランクがある人も今の時代の仕事に必要な知識を習得し、社会復帰することが強く望まれます。

※超高齢社会:全人口に対し、65歳以上の割合が21%以上の状態。日本は2007年に超高齢社会に入った。

出典 
内閣府/統計表(国民経済計算年次推計)
令和4年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(閣議決定)概要
総務省/統計からみた我が国の高齢者
総務省統計局/高齢者の人口
人口推計
厚生労働省/人口動態調査

参考 
国立社会保障・人口問題研究所/将来推計人口・世帯数
厚生労働省/「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和3年10月末現在)

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②従来の学校教育が今の社会に適応していないため

戦後の高度経済成長期から1990年代初頭のバブル期にかけて、日本は学校教育と企業によるOJTを中心とした社員教育で労働力の質を上げてきました。

しかし、今の時代に必要な仕事のスキルや能力は、

  • DX関連(新しいデジタル技術への対応)
  • 語学力(グローバルへの進出)
  • マーケティング(業界市場の分析)

など、新しい領域への対応力と、さまざまな視点を組み合わせ、多角的に考えられる思考力といえます。

学校教育で学んできた知識だけでは、今の社会に適応することは難しいかもしれません。
自分で新たな能力を開発していくことが望ましい状況にあります。

参考 文部科学省/教育課程をめぐる現状と課題

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③社員の自己啓発支援に力を入れる企業が少ないため

外部教育機関での研修など、業務とは別途に社員の自己啓発やOff-JTに費用をかける企業は、ここ15年ほど増えていないという現状があります。
厚生労働省による令和3(2021)年度能力開発基本調査では、自己啓発やOff-JTに全く費用を出していない企業が約半数あるという結果が出ました。

OFF-JT・自己啓発への費用支出状況(2021年度)

※厚生労働省/令和3年度能力開発基本調査を基にBrushUP学び作成

企業における学習機会が増えない状況は、働く人々のスキルアップへの意欲や興味を妨げている一因といえるかもしれません。

今後の企業における人材育成やキャリア形成は、事業戦略に沿った「リスキリング」へとシフトしていく見込みです。

企業の方針によって習得すべき業務スキルが定められるリスキリングは、自分の意志ではなく、企業がキャリアを決めるという側面があります。
つまり、必ずしも自分が希望する形での学び直しやキャリア形成ではないという可能性が出てくるかもしれません。

自身が納得できるキャリア形成をおこないたい場合は、個人が率先してリカレント教育を受けていくという意識が必要です。

出典 厚生労働省/能力開発基本調査:結果の概要

参考文献 独立行政法人労働政策研究・研修機構/田中茉莉子(武蔵野大学准教授)「リカレント教育の経済への影響」日本労働研究雑誌 2020年8月号(No.721)

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④「Society 5.0」時代に備えた人材を育成するため

Society 5.0とは、仮想空間と現実空間を融合したシステムにより、経済成長と社会問題の解決を図る社会のことです。

政府はこれまで人間が築いてきた社会を以下のように定義しました。

  • 狩猟社会(Society 1.0)
  • 農耕社会(Society 2.0)
  • 工業社会(Society 3.0)
  • 情報社会(Society 4.0)

Society 5.0は、これからの新しい社会として提唱されています。

新たな社会「Society 5」

※内閣府ホームページより引用

Society 5.0では、人工知能(AI)などのデジタル技術を用いてビッグデータを解析し、あらゆる知識や情報が人々に共有されることを想定しています。

Society 5.0イメージ

※内閣府/Society 5.0を基にBrushUP学び作成

Society 5.0を実現するためには、企業のビジネスも最新のデジタル技術を活かした内容に変革(DX化)していく必要があるといえるでしょう。

社会の変革にしたがって、仕事の内容や求められるスキルも変わっていくことが見込まれます。
その仕事の変化に対応していくために、リカレント教育が重要視され、デジタル人材の育成が急務となっているのです。

出典 
内閣府/Society 5.0
経済産業省 産業技術環境局/イノベーション創出のためのリカレント教育

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