トリマーに向いている人は?
動物好きで勉強熱心
犬や猫などの手入れをするトリマーは、動物好きな人に向いている仕事です。毎日、さまざまな犬や猫と関わるため、動物好きであることは大切です。時には、気性の激しい犬のトリミングを行うこともあるでしょう。吠えられたり噛みつかれたりする可能性もあるため、落ち着いて犬の様子を観察したり、犬の気持ちを考えたりすることが求められます。
また、トリマーは毛をカットする以外にも、健康状態を確認したり、爪切りや耳掃除などの手入れも行うため、基本的な動物の知識が必要になります。さらに、カットには流行があるため、最新の流行をチェックすることも欠かせません。
新しい情報をアップデートするためには、動物に興味があることが大切です。そのため、動物が好きで、動物と向き合おうと努力できる人はトリマーの仕事に向いていると言えます。
細かい作業が好き
動物の手入れには細かい作業があります。毛をカットする際には、ペット用のバリカンやハサミ、プラッキングナイフ(毛を抜く道具)といった道具を使って行います。作業ごとに道具を使い分け、イメージ通りにカットしていきます。
カットの方法もさまざまで、プードルのカットだけでも300種類もの方法があります。飼い主の要望やこだわりに応えるためには、細かなカットも妥協できません。
また、爪切りや耳掃除なども行うため、手先の器用さが求められます。トリミングが苦手な犬もいれば、突然暴れてしまう犬もいるでしょう。手入れをする際は傷つけないよう細心の注意が必要なため、細かい作業が好きで集中力がある人は向いています。
体力に自信がある
トリマーの仕事は体力も必要です。犬をシャンプーして、ドライヤーで乾かし、カットする、という一連の仕事は立ったまま行うため、仕事中は立ちっぱなしなことが多いです。
また、小型犬の場合は一人でトリミングできますが、大型犬になると身体が大きく、体重もあるため複数人で行うこともあります。成犬になると、小型犬のチワワは約1キログラムから3キログラムですが、超大型犬のセント・バーナードになると約54キログラムから91キログラムもあります。40代の成人男性の平均体重が72.8キログラムですので、成人男性以上の犬を手入れすることもあります。
シャンプー台へ移動するために犬の身体を持ち上げたり、テンションが高く動き回る犬が台から降りてしまわないように押さえたりと、体力勝負な面もあります。
美的センスに自信がある
トリマーには美的センスも大切です。犬の健康管理や手入れだけでなく、犬の美容師としての役割もあるからです。カットの仕方によって、幼い感じや凛々しい感じ、ゴージャスやナチュラルなど印象が変わります。飼い主のイメージを再現したり、犬に合ったカットを施したりと、美的センスが求められます。
人間の髪と同じように、犬にも毛量や毛質の違い、くせがあります。場合によってはおすすめできないカットスタイルもあるため、トリマーは似合うカットを提案したり、飼い主と相談したりします。
また、カットスタイルにも流行があるため、今人気のカットは何か、しっかりと情報をアップデートすることが大切です。犬種ごとに人気のカットは異なるため、情報のアンテナを張ってセンスを磨きましょう。
トリマーに向いていない人は?
人と話すことが苦手
トリマーは動物と関わる仕事のイメージですが、人と関わることも多い仕事です。飼い主からカットスタイルの相談や要望を聞いたり、似合うスタイルの提案を行ったりと、人と話をする機会が多いです。
例えば、飼い主のカットイメージとトリマーのイメージが異なると、完成スタイルが食い違ってしまいます。そうならないためには、しっかりとコミュニケーションをとってイメージを共有することが大切です。飼い主が「短いスタイルにしたい」とオーダーした際に、どれくらいの長さをイメージしているのか、話を聞いたり参考画像を確認したりしてすり合わせていきます。
また、トリミングの受付や、手入れが終わった犬のお迎えのときに、飼い主の待ち時間が発生することもあります。その際には、飼い主と話をすることもあると思います。飼い主と関わる機会も多いため、基本的な接客スキルが求められます。
イメージすることが苦手
飼い主の要望通りにカットしていくには、完成イメージが具体的であることが重要です。飼い主の「顔の周りは丸くしたい」というオーダーに対して、毛の長さやボリューム、シルエットなど細かいところまでイメージしないと作業ができません。
イメージが不十分なままカットをしてしまうと、完成後に飼い主のイメージと違ってしまうことやバランスが悪くなってしまうこともあります。飼い主自身もはっきりとイメージできていないこともあるため、その場合は、トリマーが飼い主の要望をくみ取って仕上がりイメージを説明します。
また、カットスタイルの参考画像がある場合も、犬ごとに毛質の違いや くせがあるため、その犬に合わせてカットしていかなければいけません。作業を始める前に、頭の中で完成イメージを描くことが必要になります。
時間にルーズ
トリミングの作業は限られた時間で行わなければいけません。どんなに素晴らしい仕上がりでも、時間がかかりすぎてしまうと支障が生じてしまいます。
例えば、最初に所要時間を伝えている場合は、時間が過ぎてしまうと飼い主を待たせてしまうことになります。また、トリミングサロンでは、1匹だけを手入れするのではありません。1日に何匹も対応するため、時間をかけすぎると、次の予約に間に合わなくなり他の業務に遅れが発生してしまいます。
犬が動き回ってしまい作業がしにくいなど、時間がかかることもありますが、「いつまでにこの作業をして、次はこれをやる」と段どりを考えることが必要です。
妥協してしまう
カットをする際に、ある程度形になったからといって、妥協したり手を抜いてしまうと、良い仕上がりになりません。限られた時間で細かい作業を行う仕事ですが、飼い主はプロのトリマーとして代金を支払って依頼しています。妥協せずに最後まで仕事をやりぬくことが大切です。また、トリミングの際は、犬の様子や体調を確認するため、細かなところまで気を配ることが求められます。
さらに、トリマーとしての知識や技術に対しても向上心が必要です。飼い主からの相談に応じたり、オーダー通りのカットを行ったりするためには、動物やペットについて勉強し、練習することが重要です。自分の技術に妥協するのではなく、新しいことを勉強しようという意欲があると、技術を向上させられます。
トリマーになるには?
養成機関での勉強がおすすめ!
トリマーとして働く際に、必要な学歴や資格は特にありません。しかし、動物に関する知識や技術が必要な仕事なため、一般的には、トリマー養成コースがある専門学校などで勉強してから就職する人が多いです。
専門学校などの養成機関に通うメリットとして次のことが挙げられます。
基本の知識を身につけられる
トリマーの仕事には、さまざまな知識が必要です。犬のカットや手入れを安全に行うために、犬の生態や健康、行動学に関する知識が基礎となります。養成機関では、トリマーに必要な知識を身につけられるようにカリキュラムが整えられています。
実践演習がある
実践演習がある養成機関では、実際に犬のトリミングを練習できます。カットや手入れのスキルは、知識として理解するだけでなく、実践して練習しないと身につきません。
トリマーとして働く際は、さまざまな犬と関わることになります。同じ犬種でも個体ごとに毛のくせや性格などが異なりますし、犬種や年齢によっても対応が変わってきます。また、生物と関わる仕事であるため、予期せぬ動きや不測の事態に遭遇することもあるでしょう。トリマーのスキルを磨くためには、さまざまな種類の犬に出会い、たくさんの練習を積むことが必要です。
養成機関では、練習のモデルとなる犬がいますし、設備も整っているため実践スキルを身につけられます。
卒業までに資格を取れる
トリマーに関する資格取得を必須にしている学校もあるため、卒業までに効率よく資格を取れます。トリマーになるために資格取得は必須ではないものの、客観的なスキルの証明になります。また、動物やペットに関する幅広い知識を身につけていると、トリマーとして働く際に、飼い主からの相談にのったり、アドバイスをしたりする際に役立ちます。
トリマーの資格は独学で取得が可能?
独学でも資格の取得は可能!
トリマーになるために必須の資格はありませんが、学校に通わなくても取得できる資格はあります。
例えば、通信教育では次のような資格を目指せます。
トリマーライセンス
日本ペット技能検定協会が認定する民間資格です。トリマー2級では、ペット美容サロンでグルーミングサービス業務を行うのに必要な技術を学べます。さらにトリマー1級では、ペット美容サロンでリーダー的役割をはたせる技術者を認定します。
動物健康管理士
日本ペット技能検定協会が認定する民間資格で、動物病院やペット販売などの現場での疾病予防に関する活動や助言について学べます。
通信教育は、費用を抑えて在宅で学習できるというメリットがあります。ただし、実技スキルの練習がしにくいという懸念があります。
通信講座によっては、講座終了後にトリミングの実技研修を行うところもあるため、実践スキルを学びたい方は活用してみてはいかがでしょうか。また、アルバイトやボランティア活動などに参加して経験を積むことも1つの手です。
トリマーとはどんな仕事?
トリマーの仕事は、主にトリミングサロンで、飼い主からの予約を受けつけて、来店した飼い主からオーダーを聞き、作業を行います。まずは毛を洗ったり、耳や爪、肛門をきれいに手入れしたりします。清潔に手入れすることは、ペットの病気を予防することにつながります。
毛をカットする「トリミング」の意味から、ペットの手入れ全般を行う人を日本では「トリマー」と呼んでいます。人間が美容室に通うように、ペットも手入れをしてもらうためにトリミングサロンを活用します。
そして、美容や健康の面から、伸びた毛のカットを行います。さらにトリマーは、ペットを手入れをする際に、皮膚の様子や腫れている箇所の有無など健康面のチェックを行い病気の早期発見につなげます。尚、ペットホテルを設けているところでは、食事やトイレなどの動物の世話も行います。
ペットホテルも併設しているサロンでの1日の流れのイメージをご紹介します。
- 9:00
- 連絡や注意事項をスタッフ間で共有します。
- 9:15
- ペットホテルで預かっている犬の散歩や食事のお世話をします。
飼い主への報告のために写真撮影も行います。 - 10:00
- トリミングの予約をしている飼い主から要望を確認します。
シャンプーとカットを行い、きれいになった姿を写真撮影します。 - 12:30
- 昼休憩。スタッフルームで昼食をとります。
- 13:30
- 午後のトリミング予約に対応します。
- 16:00
- 予約が落ち着いたら、顧客のカルテを整理したり、ペットホテルを利用中のお客さまへ報告メールを作成したりと事務作業をします。
- 17:00
- 預かっている犬の散歩や食事のお世話などをします。
店内で使った器具を消毒して清掃します。 - 18:30
- 遅番や夜勤スタッフに引継ぎをして、1日の仕事が終了です。
トリマーに必要なスキルは?
トリミングのスキル
トリマーに必要なスキルとして、まずはトリミングや手入れの技術が挙げられます。主な作業は次のとおりです。
ブラッシング
身体についている抜け毛やほこりなどを取りのぞきます。ブラッシング専用のブラシやコームを使って、力加減に注意しながら丁寧にブラッシングをします。
シャンプー
皮膚の状態に合わせてシャンプー剤を選びます。必要に応じてコンディショナーで被毛をサラサラに仕上げます。
肛門腺絞りや耳掃除、爪切り
肛門腺絞りとは、溜まった分泌物を出す作業です。炎症が起きるのを防ぎます。犬の状態を見ながら、耳や爪のケアをします。
カット
犬の大きさや毛質に応じて、道具を使い分けながらカットします。犬の毛は人間と異なるため、専用の道具を使います。トリミング専用のハサミや、ペットの毛を切り落とすクリッパー(トリミング用のバリカン)、毛を抜くためのプラッキングナイフなどがあります。
カットスタイルもさまざまです。例えば、トイプードルのカットスタイルとして、テディベアカット、マッシュルームカット、サマーカット、アフロカット、モヒカンカット…とさまざまな種類があります。それぞれのカット方法を修得して、飼い主のオーダーに応じられるようにします。
トリマーに必要な知識
トリマーは、犬の手入れをするだけでなく、健康面のチェックを行い、病気を早期発見する役割もあります。様子をよく観察して、気になることがあれば飼い主に伝えるため、動物の健康に関する知識や動物の状態を把握する能力を身につけることが大切です。
目や鼻、皮膚や体温、呼吸、毛の状態など、異変がないか細かくチェックするため、動物の生態をよく理解していることが求められます。また、カットをする際も、犬の骨格や毛量によって似合うカットが変わるため、身体の造りを理解していることが基本となります。
他にも手入れをする際の犬の押さえ方やペット業界の動向、ペット商品の知識など、動物に関連する知識が必要になります。
コミュニケーションスキル
トリマーは飼い主と接する機会が多いため、基本的な接客スキルが必要です。飼い主のイメージ通りのカットを行うためにも、「どんなイメージか」「手入れがしやすいカットがよいか」「犬の健康状態はどうか」など、しっかりと話を聞くことが大切です。また、カットスタイルを提案する際には、飼い主がイメージしやすいように分かりやすく伝えることが求められます。
他にも、飼い主からペットの健康や日々の手入れなど相談を受けることもあるため、丁寧に受け応えることは、仕事をする上での基本となります。
まとめ
トリマーに向いている人・向いていない人の特徴をご紹介しました。「向いている人」の特徴に当てはまらなかった、「向いていない人」の特徴に当てはまってしまった、という人も安心してください。現在の自分に足りない点があったとしても、これから勉強したり練習したりして身につけることはできます。
専門学校や通信講座では、トリマーになりたい方向けのカリキュラムが整っているため、気になる方はぜひ調べてみてください。