心理学の資格は独学でも取得できるの?
心理学の主要資格は独学では取得できない!
心理学の資格は数多く、どの資格を目指すかによって資格取得の難易度は大きく異なります。
心理系の主要資格は、大学での単位取得や指定講座の受講など受験資格が厳しいものが多いですが、一方で、独学でも挑戦できる資格もあります。
まずは、自分がどの資格を目指したいか整理してみるとよいでしょう。
心理学の主要資格について
心理学の資格のなかでも知名度と人気が高いのが公認心理師、臨床心理士、認定心理士、産業カウンセラーです。
これらの資格は独学では取得できません。
とくに、公認心理師、臨床心理士、認定心理士は、基本的に大学、大学院で心理学を専攻し修了することが条件とされています。
それぞれの資格について詳細を見ていきましょう。
公認心理師について
大学での心理系科目の修得などの条件を満たし、文部科学省・厚生労働省指定の日本心理研修センターが年1回実施する国家試験に合格することで資格を取得できます。
受験資格として以下のいずれかを満たす必要があります。
- 大学および大学院で公認心理師になるための必要科目を修了する
- 大学で特定の科目を習得した上で、一定の施設での心理に関する業務に従事する
- 上記2つと同等以上の知識、技能を有することが必要
臨床心理士について
臨床心理士の資格を習得するには、日本臨床心理士資格認定協会が指定する大学院を修了しなければいけません。
全国で約170校の大学院が指定されていますが、心理学系の大学院でも指定されていないケースもあるので注意が必要です。
大学院を修了後、臨床心理士の資格試験を受験し、見事合格すると資格を習得できます。
試験は筆記試験と口述面接試験が用意されており、心理学の知識からカウンセラーに必要とされる人間性も問われることになります。
認定心理士について
認定心理士は試験などはなく、修得単位などの条件を満たし、日本心理学会に申請することで資格を取得できます。
認定条件は以下の3つです。
- 16歳以降に通算して2年以上日本に滞在した経験がある者
- 4年制大学を卒業、もしくは大学院修士課程を修了した者
- 日本心理学会が定めた認定心理士認定資格細則にある心理学系の単位の修得をしている者
以上の条件を満たしたうえで審査申し込みをしましょう。
関連記事 認定心理士になるには?資格の取り方や活かし方をご紹介!
産業カウンセラーについて
産業カウンセラー養成講座を修了するか、大学・大学院で指定科目・専攻を修了して卒業するなど、受験資格を満たしたうえで社団法人日本産業カウンセラー協会が実施する産業カウンセラー試験に合格することで資格を取得できます。
関連記事 産業カウンセラーの資格取得
参考 心理学とは?意味や定義、資格の取得方法、身近な活用例を解説
参考 【これで完璧】心理学の種類まとめ|わかりやすく分野を一覧で紹介
民間資格のなかには独学でも取得できる資格あり!?
試験合格で資格取得できるものもある!
心理学の主要4資格については、独学で取得を目指すのは難しいのが現状です。
しかし、民間資格のなかには独学で資格取得できるものもあります。
「学校に通う余裕がない」「時間がないので独学で習得したい」方はこうした資格に目を向けてみるとよいでしょう。
たとえば心理学検定とメンタルヘルス・マネジメント検定試験は、独学でも合格が可能です。
なおかつ、人気が高く、求められる知識も実践的な内容であるため、有用な資格といわれています。
心理学検定
どなたでも受験が可能です。
試験は心理学に関する10科目の知識が問われ、約6割の正答率を目安に合否が決められています。
関連記事 心理学検定とは?合格するメリットや勉強方法、難易度を解説
メンタルヘルス・マネジメント検定試験
こちらの検定試験も受検資格はなく、どなたでも受検が可能です。
Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種に分かれている試験から、自身が希望する区分を選択して受験します。
独学で心理学の資格を取得するメリット・デメリット
独学のメリット
- 自分のペースで勉強できる
- 費用が抑えられる
自分のペースで勉強できる
独学の最大のメリットは、時間に縛られず自分のペースで学習できる点です。
社会人や主婦は自由な時間が限られているので、学習時間の確保は容易ではないでしょう。
専門学校や講座、地域の講習会に参加する場合は、講義時間だけでなく移動時間や準備も必要です。
また、講師と他の学生のペースに合わせなければいけないので、自由に学習したい方は独学がおすすめといえます。
費用が抑えられる
費用を抑えられるという点でも独学は非常に魅力的です。
大学の心理学部などに通う場合は、卒業までに400万円近くかかることもあるといわれています。
資格講座でも、半年間の講習で10数万円かかるものもあり、お金に余裕がない方にとっては難しい選択となります。
市販の書籍だけであれば、1万円以内でも十分勉強が可能です。
最近では書籍の内容も充実しているほか、インターネットでの情報収集も容易になりました。
工夫を凝らすことで、費用を抑えて自分のペースで勉強できるのが独学の利点だといえるでしょう。
独学のデメリット
- 独学では取得できない資格がある
- 自己管理能力が必要
独学では取得できない資格がある
独学では、大学で心理学を学ぶ必要がある公認心理師や臨床心理士といった資格は取得できません。
心理カウンセラーは必ずしも資格が必要ではありませんが、難易度の高い資格を持っている方が評価されやすい傾向があります。
実際に仕事で信頼を得たり、勤務先での評価を上げたりするためには、資格取得が有効です。
独学でも取得できる資格はありますが、比較的簡単に取得できるものは、評価の面で限界がある場合もあります。
自己管理能力が必要
大学やセミナーでは心理学の講義を専門の講師から受けられる強みもあります。
カリキュラムにそって効率的に学習を進められるのもメリットです。
一方で、独学の場合は、自分で学習内容や勉強の進め方を決める必要があります。
場合によっては、得意分野・不得意分野の差が大きく出てしまうこともあるでしょう。
独学ではすべて自分次第になり、自己管理能力が大きく求められる点もデメリットのひとつといえるでしょう。
独学での心理学の資格取得が向いている人の特徴
独学で心理学の資格取得が向いている人の特徴をまとめました。
自分で学習計画を立てられる人
独学はカリキュラムが用意されていないため、学習の進め方やスケジュールをすべて自分で決める必要があります。
計画的に勉強を進められる人や、コツコツ継続できる人は独学に向いています。自己管理が得意な人ほど、効率的に学習を進められるでしょう。
コストを抑えて資格を取りたい人
通信講座や大学での学習と比べ、独学は参考書や問題集など必要最低限の費用で取り組めるのが大きな魅力です。
できるだけ費用を抑えながら学びたい人や、必要なポイントだけを効率的に勉強したい人には独学が合っています。
自分のペースで勉強したい人
社会人や主婦など、自由に使える時間が限られている人にとって、独学は柔軟に学習時間を調整できるのがメリットです。
まとまった時間が取りにくくても、スキマ時間をうまく活用できる人は、自分のペースで無理なく資格取得を目指せるでしょう。
独学での心理学の資格取得が向いてない人の特徴
独学での心理学の資格取得が向いていない人の特徴をまとめました。
自己管理が苦手な人
自己管理が苦手な人は独学での資格取得に向いていない可能性が高いです。
心理学以外にも当てはまることですが、独学は自分で学習計画を立て、さまざまな誘惑に耐えながらも勉強を進めていく必要があります。
自己管理が苦手だと、日常に潜む誘惑に負けてしまいます。勉強の優先度が低くなり、挫折につながってしまうでしょう。
効率よく学習したい人
独学は学習範囲の取捨選択や理解度の確認をすべて自分で行う必要があるため、どうしても遠回りになりやすい面があります。
効率的に資格取得を目指したい人にとっては、独学は不向きと言えるでしょう。
講座や専門スクールであれば、重要なポイントを押さえながら体系的に学習でき、短期間で成果を出したい人にはそちらの方が適しています。
【資格別】独学で心理学の資格取得を目指す際の勉強方法
ここでは心理学検定とメンタルヘルス・マネジメント検定試験について、独学で合格を目指す方法をご紹介します。
参考 【社会人向け】心理学の勉強法を目的別で解説【働きながらでも実践できる】
心理学検定
心理学検定の公式ホームページでは、「問題集」「基本キーワード」など試験主催団体編集の公式書籍が紹介されています。
さらに、団体が出版している書籍以外にも、試験の領域・科目別に推薦書籍が紹介されているコーナーがあります。
試験では幅広い心理学の知識が問われますが、解答はマークシート方式なので、単語を一字一句正確に覚える必要はありません。
大切なのは、全体の流れを理解し、正しい知識を身につけることです。
参考 心理学検定とは?資格取得のメリットや勉強方法、難易度を解説
【おすすめテキスト】
心理学検定 公式問題集 2025年版
編集 一般社団法人日本心理学諸学会連合 心理学検定局
試験実施団体が編集する公式問題集。
実際に出題された最新の試験問題から計450問を抜粋、詳しい解説とともにまとめられています。
心理学検定の受検を考えている方はもちろん、これから心理学を身につけたいと考えている方にもおすすめです。
メンタルヘルス・マネジメント検定試験
メンタルヘルス・マネジメント検定試験にも、公式テキストが用意されています。
公式ホームページを確認すると、試験では「公式テキストの内容とそれを理解した上での応用力」が問われると記載されています。
合格を目指すうえで、公式テキストは欠かせない教材といえるでしょう。
テキストをしっかり読み込み、過去問演習で実践力を高める勉強法がおすすめです。
【おすすめテキスト】
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験公式テキスト Ⅲ種 セルフケアコース
編集 大阪商工会議所
メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅲ種の公式テキストです。試験主催団体である大阪商工会議所が編集しています。
メンタルヘルス・マネジメント®検定の入口となるⅢ種は独学でも合格を目指しやすい試験です。Ⅱ種資格の取得を目指す方も、まずはここから目指してみてもよいでしょう。
【おすすめ】初心者でも気軽に目指せる心理学の資格3選
心理学資格のなかには、通信講座を受講し、自宅試験やレポートの提出で資格を取得できるものもあります。
参考 【心理学資格】社会人におすすめランキング!すべて取得した資格ソムリエ林さんと比較
メンタルケアカウンセラー
指定の通信講座を受講し、提出課題を一定のレベルでクリアすると資格認定されます。
心理学の基礎知識とコミュニケーション能力が問われる資格となっており、心理学の入門におすすめです。
メンタルケア心理士
こちらも指定の通信講座を受講することで取得できる資格です。
提出課題や修了認定テストを一定の成績でクリアし、こころ検定®2級に合格すれば、資格登録の申請を行うことができます。
医療・福祉・公共サービス等で心理カウンセラーとして活躍することを想定した資格であり、心理カウンセリングの技法や臨床心理学の基礎知識を学びます。
こころ検定®2級はCBT方式で、試験会場でコンピュータを使用して受検します。
在宅受験はできませんが、試験は全国約200会場なのでお近くの会場で受験が可能です。
メンタルケアカウンセラー、メンタルケア心理士を目指せるスクール:
ヒューマンアカデミー / 通信講座(スクールホームページ)
メンタル心理カウンセラー
心理学やカウンセリングに関する基礎知識が問われる資格です。
指定の通信講座を受講し、全カリキュラムを修了すると、自宅で試験を受けられます。
初心者の方も目指しやすい資格です。
資料請求はこちら メンタル心理カウンセラー 資格取得講座
心理学の資格を目指せるおすすめスクール
心理学の資格取得を目指せるおすすめのスクールをまとめました。
参考 【おすすめ】心理学の資格が取れる通信講座(オンライン)を一覧で比較!
ヒューマンアカデミー / 通信講座(通信)
心理系講座が21講座!あなたに合った講座が見つかる
スクールホームページ:
ヒューマンアカデミー / 通信講座
TERADA医療福祉カレッジ/通信(通信)
基礎から上級まで目的に合わせてコースが選べる!
スクールホームページ:
TERADA医療福祉カレッジ/通信
ヒューマンアカデミー 心理学講座(通学/全国)
カウンセラーとして必要なスキルを総合的に学べる!
スクールホームページ:
ヒューマンアカデミー 心理学講座
一般社団法人 Cocoloラーニングアカデミー(通学/全国)
少人数制でアットホーム。ビジネスや生活で使えるNLPを学ぶ!
スクールホームページ:
一般社団法人 Cocoloラーニングアカデミー
APC付属心理教育学院(通学/東京)
関東心理クリニックが母体だから、即戦力が身につく!
スクールホームページ:
APC付属心理教育学院(通学/東京)
リカレントメンタルヘルススクール(通学/全国)
メンタルヘルス対策のプロを育成する
スクールホームページ:
リカレントメンタルヘルススクール
TKN心理サロン(通学/大阪)
「心のドアを優しくノックできる」カウンセラーになろう!
スクールホームページ:
TKN心理サロン
まとめ
心理学は独学からでも学びをスタートでき、独学で合格を目指せる検定や、通信講座による自宅学習を通じて取得できる資格もあります。
一方で、公認心理師や臨床心理士のように大学や専門課程での学習が必須となる資格も存在します。
大切なのは、自分の目的に合った学び方を選ぶこと。
独学をうまく活用しながら、心理カウンセラーへの一歩を踏み出してみましょう。
監修者プロフィール
心理カウンセラー。カウンセリングルーム「京都ファミリーメンタルケア」を運営。
【保有資格】
公認心理師、臨床発達心理士、シニア産業カウンセラー、心理学修士
【所属学会】
日本心理学会
【主な経歴】
不登校適応指導教室、公立小学校、専門学校のスクールカウンセラー、心療内科併設カウンセリングセンター等でカウンセリングに従事。
現在は主に働く人を対象とした電話相談やオンラインカウンセラーとして活動中。