心理学とはどのような学問?
心の動きの原理を研究する学問
心理学を学ぶ理由に「人の心を読めるようになりたい」ということを理由に挙げる方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら心理学を学ぶことで人の心を読み、自由自在にコントロールするといったことはできません。
心の科学
心理学とは「人の心がどのような原理で動いているか研究する学問」つまり、「心の科学」です。
科学であるからには調査や統計・実験という科学的な方法を取る必要があります。
心理学はそのアプローチ方法によってさまざまな種類があります。
その心の科学を応用することで心理カウンセラーは相談者の支援をします。
心理学にはどのような種類があるの?
心理学はそのアプローチ方法によっていろいろな種類があります。
大きく分けると「基礎心理学」と「応用心理学」の2つから成ります。
基礎心理学
調査や実験によって、みなさんが持っている心の法則を導きだそうと探求する心理学のことを指します。
応用心理学
基礎心理学で得た知見やデータを活かして、現実の生活の問題解決を図る学問のことを指します。
基礎心理学の内容を踏まえ、特定の分野で活かす心理学が応用心理学です。
【基礎心理学】:生物(生理)心理学
生物(生理)心理学とは脳波や心電図を用いて、体の状態と心の相関関係を探る学問です。
簡単には、緊張すると手に汗をかく、心拍数が早くなるなども生物(生理)心理学の範疇になります。
ウソ発見器はこのような体と心の相関関係をもとに開発されました。
【基礎心理学】:発達心理学
発達心理学は、人が成長するにしたがって、どのように心が変化するかを研究する心理学です。
「この歳の子どもはどのような心理の発達段階にあるか?」など発達段階に応じた心の働きを明らかにするために、大きな役割を担っています。
【基礎心理学】:社会心理学
社会心理学とは、社会生活における人の心理を研究する心理学です。
個人と社会の関係だけでなく、例えば群衆心理など、人が集団になった際にどのような心理が生じるかといったことも社会心理学が扱う分野になります。
【応用心理学】:臨床心理学
うつや統合失調症などの精神疾患に対するカウンセリングや心理療法を学ぶ心理学です。
臨床心理学の専門家としては臨床心理士がいます。
臨床心理士の仕事領域は精神科医と重なる部分がありますが、精神科医とは異なり、臨床心理士は薬を処方することができません。
カウンセリングによって患者さんのこころをケアするのが臨床心理士です。
【応用心理学】:スポーツ心理学
スポーツ心理学とは心理的な側面から、スポーツに関わる課題に取り組み解決しようとしていく心理学です。
科学的な知識をスポーツをおこなう人に提供することでパフォーマンスの向上を目指します。
競技の実践心理、スポーツ臨床、スポーツメンタルトレーニングがスポーツ心理学の主な分野です。
関連記事:
心理学にはいくつか種類がある!?
心理学はいろんな場面で役に立つ
心理学テクニック(1):観察法
相手の感情を理解したいときに使われるテクニックです。
文字どおり相手を観察することで、その人の本音や感情の変化などを読み取ります。
クセが出やすい6つのポイント
観察するポイントは6つ、「表情(顔)」「目の動きや視線」「声のトーンやリズム、テンポ、大きさ」「姿勢と体の動き、しぐさやクセ」「呼吸」「よく使う言葉の言い回し・感情を表現する言葉」です。
この6つにはその人のクセが出やすいと言われています。
その人が特定の感情を出したときのクセを観察し記憶することで、本音や感情の変化などを読み取れるようになるでしょう。
心理学テクニック(2):ミラーリング
相手に好印象を持ってもらうテクニックです。
人は自分と似たものや似た人を仲間と認識し、好感を抱く習性を持っています。
この心理を利用したものがミラーリングです。
ミラーリングの方法
「相手の行動、しぐさ」「言葉づかい」などを真似ることがあげられます。
たとえば、相手が飲み物を飲むのと同じタイミングで自分も飲むなどがその1つです。
同じ行動をされた側は、相手に対し無意識に安心感や親近感を抱きます。
そうすることで相手との心理的な距離が縮まるでしょう。
心理学テクニック(3):投影法(一般論法、代弁)
相手の本音を引き出すテクニックです。
自分の本音を他人に語ることを躊躇するのはよくあることです。
置き換えて語る方法
そのため、話をする立場を語り手自身ではなく、「一般的な人」に置き換えて語ってもらう方法です。
これは投影法の1つで、「一般論法」と呼ばれることもあります。
一般的な意見として語ってもらう場合でも、語り手自身の意見や感情の本音が無意識に投影されているのです。
また、身近な人を例に出し、「もし〇〇さんなら」と仮定して語ってもらう方法もあります。
これは「代弁」と呼ばれるもので、同様の効果が見込めます。
心理学テクニック(4):フット・イン・ザ・ドアとドア・イン・ザ・フェイス
人には「小さなお願い事を受け入れると、次の大きな要求も断りにくい」という心理的なメカニズムが働きます。
これが「フット・イン・ザ・ドア」と呼ばれるテクニックです。
大きな要求をしたいときには、まず小さなお願い事から始めると成功する確率が上がるでしょう。
真逆の要求をする方法もある
反対に、最初に大きな要求をしてみる「ドア・イン・ザ・フェイス」というテクニックもあります。
この大きな要求は断られることを前提としますが、相手が一度断ってしまったと罪悪感を持つため、次のお願い事は比較的承諾しやすくなる傾向があります。
心理学を学ぶには?大学に通おう
大学への通学が一般的
心理学を学ぶには本を読んだり、インターネットで心理学の情報を調べることもできますが、学問として学ぶためには大学に通うのが一般的です。
全国に約270校
心理学を学べる大学は国公立・私立合わせて、約270校ほどあります。
心理学の分野で有名な大学・ユニークな取り組みをしている大学をいくつか紹介します
上智大学 総合人間科学部 心理学科(私立)
心理学部・学科を目指す方の中でとても関心の高い大学です。
世界的に高名な教授が数多くいることも上智大学が心理学で有名な理由です。
関西大学 社会学部 社会学科 心理学専攻(私立)
一般的な大学では心理学と言えば、「基礎心理学・応用心理学」のことを指しますが、関西大学ではこれらの心理学を学べることはもちろんのこと、この他に5つの実践的なプログラムが用意されています。
充実した心理系プログラム
心理学の調査設計や情報解析について学ぶ「心理学データ解析実践学習プログラム」、心理テストについて深く学ぶ「心理テスト実践学習プログラム」、キャリアの支援と実践について学ぶ「キャリア教育実践学習プログラム」、その他にも「産業カウンセリングプログラム」「実践臨床心理学プログラム」があります。
関連記事:
心理学が学べる大学を厳選して紹介!
心理学を学べる通信制大学は?
心理学を学べる通信制大学は全国に約20校
仕事や家事もあるため大学に通うには難しいという方には、通信制大学がおすすめです。
通信制大学ならスクーリングが週1回、もしくはスクーリングしなくてもよい大学もあるため、お忙しい方でも学びやすいでしょう。
※『通信制大学』については心理学が学べる通信制大学は?でも詳しく紹介しています。
また、下記の「心理学講座・スクール比較ボタン」から無料で資料請求することもできるので、まずは資料を請求して比較検討されてみてはいかがでしょうか。
心理学の資格が取れる通信講座は?
資格を取得できる通信講座はさまざま
心理学を学べる民間スクールの通信講座を受講することで、取得できる資格はさまざまあります。
通信講座を受講修了することで資格を取得できるものもあれば、通信講座を受講した後、試験を受け合格することで取得できる資格もあります。
民間資格にはたくさんの種類がありますが、中でもおすすめなのが、「メンタルケア心理士」と「メンタル心理カウンセラー」です。
メンタルケア心理士
「ヒューマンアカデミー/通信講座」のメンタルケア心理士®講座、もしくは「LEC東京リーガルマインド」の文部科学省後援こころ検定®2級対応 メンタルケア心理士講座を受講し、検定に合格することで資格取得できます。
メンタルケア心理士講座では、カウンセリングの技法や主な精神疾患について学ぶことができます。
メンタル心理カウンセラー
資格のキャリカレのメンタル心理カウンセラー資格取得講座を受講し、その後、自宅で試験を受け合格することで資格取得できます。
初学者の方に向けた資格のため心理学を初めて学ぶという方に最適な講座いえるでしょう。
関連記事:
心理学の資格が取れる通信講座はある?
心理学の資格・検定は独学で取得できる?
民間資格のなかには独学で取得できるものもある。
心理学の資格として人気の高い「臨床心理士・公認心理師・認定心理士・産業カウンセラー」は大学の卒業や講座の受講が条件になっているため、独学での取得はできません。
しかしながら、民間の心理学資格のなかには、試験に合格すれば資格取得できるものもあり、独学での取得することができます。
試験合格で資格取得できるものを下記に記載します。
心理学検定
心理学検定は、日本心理学諸学会連合が実施している試験です。
この検定は、大学レベルの心理学の基礎知識を認定するもので、心理学の基礎資格として活用されることを目的として作られました。
受験資格がないため、心理学に興味のある方であればどなたでも受験可能です。
関連記事:
心理学検定とは?資格取得のメリットと勉強方法も紹介!
メンタルヘルス・マネジメント検定
メンタルヘルス・マネジメント検定は、大阪商工会議所、施行商工会議所が主催している検定です。
この検定は、職場内で必要なメンタルヘルスケアに関する知識や対処方法に関する知識を認定する試験です。
受験資格がないため、心理学に興味のある方であればどなたでも受験可能です。
3つに分かれている
メンタルヘルス・マネジメント検定はⅠ種(人事労務管理スタッフ・経営幹部対象)、Ⅱ種(管理監督者対象)、Ⅲ種(一般社員対象)の3つに分かれています。
関連記事:
独学で心理学の資格を取得するには
心理学を学ぶ際のポイントは?
心理学はとても守備範囲の広い学問です。
心理学を学ぶのであれば、まずは自分が心理学のどのようなことに興味を持ち、何を学びたいと思うのかを明確にする必要があります。
まだそれがよくわからない方は、心理学にまつわるおもしろい話が数多く掲載されている「日本心理学会」のWebページ『心理学ミュージアム』を閲覧してみるのも良いでしょう。
以下で心理学の学問における6つの分野をご紹介します。
(1)発達心理学について
どのように人間の心理は発達するのか、幼児期や青年期など成長段階ごとの心理はどのように異なるかを学びます。
人間心理を「発達」という観点で研究する分野です。
乳幼児と大人の知覚の違いや、思春期の子どもの心理に起こっていることなどをテーマとしています。
(2)教育心理学について
学校や家庭における教育効果を高める方法を研究します。
教育心理学の知見を得ることで子どもの心理を理解し、上手に教えたり、コミュニケーションをとれるようになるでしょう。
(3)社会心理学について
社会において個人はどのような影響を受けるのかを研究する心理学です。
国や企業といった大きな枠組みだけでなく、家庭や友人関係、学校など身近な社会も含みます。
(4)認知心理学について
認知心理学では、人間の心を形成する「感情」「知識」「意志」のなかの、「知識」部分のアプローチにより人間心理を研究します。
文字の認識、音や言語の識別などを対象とする分野です。
(5)犯罪心理学について
犯罪者の心理、そして動機などについて研究する心理学です。
犯罪心理学の研究で得る知見は、犯罪の予防や、罪を犯した方の更生などに役立てることができるでしょう。
(6)臨床心理学について
クライアントが持つ精神的な面での問題を解決する方法を研究する心理学です。
これはクライアントに対して「治療」をおこなうことを目的としているため、実践的な面が強い分野であるといえるでしょう。
他にも種類がある
紹介した(1)~(6)の分野以外にも、さまざまな種類があります。 興味があるもの、学びたいと思う分野から選ばれてみてはいかがでしょうか。
心理学の資格が活かせる仕事は?給料も紹介
カウンセラー業務全般で心理学の資格を活かすことができる
心理学を学ぶことで、自分の人生にプラスになるのはもちろんのこと、仕事に活かすこともできます。
人の心を動かす芸術や文学、もしくは人の関心を引く広告業界、子どもを導く教師の仕事など心理学の知識を活かす仕事は数多くあります。
その中でも『カウンセラー』の仕事が直結して心理学の知識を活かすことができます。
心理学の知識が求められる
具体例をあげると、スクールカウンセラーは、さまざまな原因から心の負担を抱える児童への対応が求められます。
このようなケースでは発達心理学という年齢を重ねていく上での変化を専門とした知識を活用することになります。
また、企業内カウンセラーの場合はうつ病など精神的な問題を抱えた患者への対応が多くなり、臨床心理学の知識が求められます。
自身の経験に照らし合わせてアドバイスするだけでなく、専門的な知識によって人をサポートするのがカウンセラーという仕事です。
年収は約300万円~400万円前後
心理学を学びたいとお考えの方のなかには、心理学に関係する仕事への就職を検討されているという方もいらっしゃるかもしれません。
その場合に気になるものの一つは、「給料面」ではないでしょうか。
仕事内容や職場によって給料は異なりますが、給料の目安としてはおおむね年収300万円~400万円前後でしょう。ここでは代表的な心理学の仕事を紹介します。
スクールカウンセラーの給料
学校で生徒たちが抱える精神的な悩みを解決する仕事です。
平均年収は約380万円ですが、職場によってバラツキがあり、約220万円から500万円の範囲内の年収と言われています。
働く場所により異なる
働く学校や雇用形態によっても年収は変わり、非常勤カウンセラーの場合は約200万円前後でしょう。
私立学校での常勤カウンセラーになると約400万円と待遇が上がります。
産業カウンセラー
主に会社内で社員の心の健康を保つことを目的としたカウンセラー業務になります。
産業カウンセラーの給料は月収約25万円と言われ、年収にすると約300万円から400万円と言われています。
産業カウンセラーは非常勤契約になる事が多く、複数の企業をかけ持ちするといったケースがよく見られます。
ストレスチェックの義務化
2015年から、従業員が50人以上の会社ではストレスチェックが義務付けられました。
その影響から産業カウンセラーの需要は高まりつつあります。
心理学の仕事の給料・需要について
心理学の仕事は現時点での給料は上に挙げたように高いとは言えない状態にあります。
需要が高まっている
しかしながら、心理学の資格として初の国家資格『公認心理師』も誕生し、注目が集まっています。
また、欧米では企業経営者などから需要の多いカウンセラーの仕事は社会的な地位も高く、収入の面でも大手企業並みの給料を得ている方もいらっしゃるようです。
このような事情から、日本においても今後、カウンセラーの給料面は現在と比べ、改善されることが予想されます。
まずはスクールの比較がおすすめ
心理学を学び、カウンセラーとして人の心の悩みに向かい合う仕事はとてもやりがいのあるものです。
カウンセラーとして活躍するために、まずは最初の一歩として、いくつかのスクールの資料を請求することからはじめてみてはいかがでしょうか。
関連記事:
心理学を活かせる仕事は?職業別で仕事内容も紹介!