
歯科衛生士になるには専門学校?専門学校選びのポイントを紹介
歯科衛生士になるには、専門学校や大学などで勉強することが必要です。今回は、その中でも一般的なルートである専門学校についてご紹介します。
「専門学校ってどんなところだろう?」「どんな学校を選んだらいいんだろう?」という方へ向けて、専門学校の基本情報をまとめました。自分にぴったりの学校を探すために、ぜひ参考にしてみてください。
歯科衛生士になるには?

歯科衛生士を目指せる専門学校や大学などを卒業した後、国家試験に合格して歯科衛生士の免許を取る必要があります。
学校では、解剖学や口くう衛生学などの専門知識を勉強したり、歯科予防処置・診療補助などの実習を行ったりします。3年課程以上という決まりがあるため、資格取得まで最短でも3年かかります。
国家試験の実施は毎年3月初旬です。合格の基準は正答率6割以上で、合格率は90パーセント以上となっています。
歯科助手との違いは?
歯科衛生士と似ている職業に歯科助手があります。歯科助手の仕事は、治療器材の準備・片づけといった診療の補助と、受付・会計などの患者対応や事務作業です。
歯科助手になるには資格や学歴が必要ありません。ただし、医療行為ができないため口の中を直接触るような治療はできません。
歯科衛生士 | 歯科助手 | |
資格 | 国家資格が必要 | 特別な資格は必要ない |
仕事内容 | 歯・歯ぐきの病気を予防する処置や歯科医師の診療補助など。 歯石を取ったり薬を塗ったりと、患者の口の中を直接触る業務ができる。 |
治療器具の準備・片づけ、患者の対応など。 資格がないため、患者の口の中を直接触る業務ができない。 |
歯科衛生士の専門学校 基本情報
歯科衛生士を目指せる専門学校の基本情報をご紹介します。
期間
基本的に専門学校で学ぶ期間は3年間です。昼間部のほかに、夕方以降に授業がある夜間部を設けている学校もあります。
プライベートや仕事の両立ができるように、一部の授業をオンラインで行う学校もあります。
入試の種類
学校によって異なりますが、次のような入試の方法があります。
指定校推薦/高校推薦
指定校推薦では、専門学校が指定する高校の生徒が出願できます。
高校推薦では、高等学校調査書で基準を満たした方が出願できます。(例:5段階評定の評定平均値が3.0以上)
高校生の方は、推薦枠の募集要項を確認したり、担任や進路担当の先生に相談したりして、自分の通っている高校で推薦枠を利用できるか調べてみましょう。
AO入試
専門学校が持つ評価基準に基づいて選考する方法です。歯科衛生士としての適性や意欲を面談などによって判断されます。
社会人選考
高校を卒業した方や既に社会人として働いている方向けの選考方法です。
歯科衛生士の専門学校の入学は高校卒業者(または同等の学力を有する者)という条件があるため、最終学歴が中学卒業の場合は対象外です。尚、高卒認定試験は「同等の学力を有する者」に当てはまります。
一般入試
上記の選考以外の方法で、卒業見込みの高校生や高校既卒者向けの選考です。しかし、既卒者の場合は一般入試が受けられず、社会人選考での出願となる専門学校があります。専門学校のホームページやパンフレットなどで確認しましょう。
学習内容
解剖学、口くう衛生学といった専門分野を学ぶ座学と、学校内・学校外での実習があります。みなさんが気になる実習について簡単にご紹介します。
歯科予防処置
虫歯や歯周病などにならないよう予防のための処置を身につけます。歯石の除去やフッ化化合物などの薬を塗るといった実際の仕事で行う作業を練習します。
歯科診療補助
歯科医師の診療をサポートするスキルを身につけます。器具の消毒・準備や薬品の管理、唾液を吸い取るバキュームの操作などを訓練します。
歯科保健指導
患者さんの歯の健康を守るために必要な知識や技術を身につけます。歯磨きの仕方を指導するなど、口くうケアのアドバイスができるように練習します。保育園や小学校、介護施設などさまざまな年代の患者さんを想定して学びます。
臨地・臨床実習
実際に病院や診療所、福祉施設、学校などを訪れて、仕事を見学したり体験したりして実践的なスキルを身につけます。
総合型選抜(AO入試)や推薦以外の入試で、卒業見込みの高校生や既卒者を対象にした方法です。
学費
地域や専門学校によって異なりますが、3年間で約250万円から約400万円の学費がかかります。中には、夜間部を開校している学校もあり、昼間部よりも学費が安くなる傾向です。
学費の支援制度
学費や生活費を支援する制度があります。金銭的な不安がある方はぜひ検討してみてください。
奨学金
日本学生支援機構や、東京都育英資金のような都道府県の奨学金制度などがあります。基準を満たせば、利息がないものや返還不要の奨学金を利用できるところもあります。
教育ローン
国の教育ローンとして日本政策金融公庫があります。日本学生支援機構の奨学金(貸与型)と併用ができます。
教育訓練給付金制度
すでに社会人として働いている方にも学費の支援制度があります。教育訓練給付金制度を使うと学費の一部が給付(返還不要)されます。雇用保険の加入期間などの条件を満たせば利用できます。
学校の制度
早期出願による入学金の割引やAO入試による選考料免除、授業料の分納制度、成績優秀者への一部授業料免除など支援制度がある学校もあります。
専門学校のメリット・デメリット
専門学校で学ぶことのメリット・デメリットをまとめました。短期大学や大学と迷っている方は参考にしてみてください。
メリット
期間・学費
歯科衛生士になるには、大学や専門学校などで3年間以上勉強しなければいけません。4年制の大学に比べて、専門学校の場合は3年間の修学期間で卒業できるため、最短ルートで国家試験を受験できます。また、一般的に専門学校の学費は大学よりも安い傾向があります。
早く働きたい方や学費を安く抑えたい方にとって3年制の専門学校はおすすめです。
実践的な学習
歯科衛生士のカリキュラムには実習が必須です。一般的に専門学校では豊富な実習がカリキュラムに組まれているため、効率よく実践的なスキルを学べる場となっています。
実習室として実際の歯科医院で使う設備を整えている学校も多く、技術を学びやすい環境となっています。また、学校内だけではなく病院や診療所などの現場で実習する機会もあります。
現場で即戦力として働きたい方にとっておすすめです。
デメリット
ジョブチェンジが難しい
歯科衛生士に特化した学校のため、それ以外の職業への就業が難しくなる可能性があります。まったく違う職種を目指すとなると、学んだことがあまり生かせません。また、歯科衛生士の専門学校では就職のサポートも行われていますが、歯科医院やクリニックなどへの実績がほとんどです。
歯科衛生士以外の仕事も気になっている場合は、今後の進路選択についてあらためて考えてみましょう。
実習が多くて多忙
専門学校の特性上、実習の期間・回数が多い傾向があります。そのため、スケジュールがハードと感じる方もいるかもしれません。
実習先には、病院や診療所などの医療現場のほかにも保健センターや学校などにも行きます。慣れない場所で緊張するかもしれませんが、実習の機会が多い分、自分のスキルを磨くチャンスになります。
専門学校以外の方法
歯科衛生士になるには、専門学校のほかに大学や短期大学に通うルートもあります。それぞれの学校の違いをまとめました。進路選択の参考にしてください。
専門学校 | 短期大学 | 大学 | |
期間 | 3年 | 3年 | 4年 |
学費 | 比較的安い―――――――――――――――――――比較的高い | ||
特徴 | 歯科衛生士に必要な能力を学ぶ。 | 一般教養を学びつつ専門分野を研究する。 |
「将来は歯科衛生士として働くつもり」「学費を抑えたい」という方は専門学校、「他の職業も検討している」「専門分野を研究したい」という方は短期大学や大学がおすすめです。
歯科衛生士が目指せる専門学校を見る専門学校を選ぶポイント
「たくさん専門学校があって、どこに進学していいか分からない」という方に向けて、学校選びのポイントをまとめました。
学校説明会やオープンキャンパスの際にチェックしてみると、進学のイメージが具体的になると思います。ご自身の希望に合った学校を選べるよう、参考にしてみてください。
どれくらい学費が必要?
専門学校は大学に通うよりも学費が安いとはいえ、学校によって3年間の学費は200万円代から400万円代と幅があります。そのため、気になる学校がいくつかある場合は、ホームページやパンフレットなどで比較してみましょう。
学費のほかにも教科書や器具材料費など別途お金がかかる場合があります。必要経費や通学費、一人暮らしをする方は生活費も必要になるため、総額でいくらかかるのか確認することで、金銭面の計画が立てやすくなります。
奨学金などを活用する場合は、返済計画についても考えましょう。自身の状況や卒業後のキャリアプラン、ライフプランを考慮しつつ、無理のない返済スケジュールを作ることで将来の見通しを立てましょう。
カリキュラムや設備は?
ハイレベルなスキルを身につけられるよう、学校のカリキュラムや設備に注目してみましょう。
例えば、
- ホワイトニングや歯科矯正などの専攻がある学校
- 保健指導に役立つ資格を取得できる学校
- 海外研修で最新情報を学べる学校
など学校ごとに力を入れている独自のカリキュラムがあります。カリキュラムを比較してみると、気になる学校が見えてくるかもしれません。
また、実践的なスキルを身につけるには実習環境が大切です。最先端の医療器具を導入している学校や一人一台の実習用マネキンが準備されている学校、自主練習のための実習用材料が使い放題な学校など設備の充実さも学校選びの重要なポイントです。
国家試験対策や就活のサポートは?
歯科衛生士は学校を卒業すればなれるものではありません。国家試験に合格する必要があります。学校ごとに独自の試験対策やサポート制度があり、卒業生の国家試験合格率を発表している学校もあります。
また、卒業後の就職先についても考えましょう。ホームページやパンフレットなどで就職先の実績や求人数などを公開している学校があります。専門学校卒業後の進路をイメージしやすいためチェックしてみましょう。
入試に向けて準備をしよう
行きたい学校が決まったら、入試に向けて準備を進めましょう。
スケジュールの確認
まずはスケジュールの確認です。AO入試、一般入試など入試方法はたくさんありますが、同じ学校でも入試方法によって願書の受付期間や入試日が異なります。
AO入試のエントリーは早く、6月頃から始まる学校が多いです。出願時期を過ぎてしまわないように、スケジュールを確認することが大切です。
また、オープンキャンパスへの参加などを出願の条件に設けていたり、エントリーシートを学校説明会などで配布する学校もあります。出願時に慌てないよう、あらかじめ情報をチェックしましょう。
出願の準備
出願方法を決めたら準備をしましょう。入試方法によって提出書類が異なります。何が必要か確認しましょう。
また、高校の調査書が必要な場合は、担任の先生や事務など学校に申請することになります。発行までに時間がかかるため「明日までに2通欲しいです」と言っても間に合いません。余裕を持って申請しましょう。
試験対策
学校や出願方法によって選考の内容が異なります。面接、適性検査、小論文などの試験がある場合、事前に準備をしましょう。
面接を実施する学校は多いですが、慣れていないと緊張して上手に話せない方も多いと思います。自己紹介や志望動機など面接で聞かれやすい質問は、事前に何を話すか準備しておくと安心です。
出願・入試
出願の際は、提出期限と必要書類を確認して、不備がないようにしましょう。Webでエントリーができる学校もありますが、郵送・対面のみ受けつけの学校もあります。期日内に出願できるよう注意が必要です。
当日は時間に余裕をもって試験に臨みましょう。練習した成果を発揮できるよう落ち着いて取り組むことが大切です。
まとめ

専門学校は実践的なスキルを学べるため、早く現場で働きたい方にとっておすすめです。
豊富な実習カリキュラムや充実した施設・設備など魅力的な専門学校はたくさんあります。学校説明会やオープンキャンパスで見学したり、今回ご紹介した情報を参考にしたりして、自分にぴったりな学校を見つけてください。