
専門学校と大学の違いとは?進路選びに役立つポイントを解説
進学を考えるとき、「大学」と「専門学校」のどちらかで迷う人は少なくありません。どちらを選ぶかによって、学びの目的・内容やかかる費用はもちろん、在学中の生活や卒業後の進路も異なります。
この記事では、大学と専門学校の違いや比較ポイント、メリット・デメリットを詳しく解説し、進路選びに役立つ情報を紹介します。
専門学校と大学の違いとは?

専門学校と大学は同じ「高等教育機関」として位置付けられている教育機関です。文部科学省によると、2024年度時点で専門学校は全国に2676校、大学は813校あります(文部科学省『学校基本調査(令和6年度)』より)
専門学校は専門的な技術を身につけるための職業教育が行われており、就職に直結した学びが中心です。一方、大学は幅広い教養と専門知識を段階的に学び、将来の選択肢を広げることを目的としています。たとえば、専門学校では2年間で特定分野の技術を集中して習得するのに対し、大学では4年間かけて理論と応用の両面を深く学びます。
それぞれの特性を理解した上で、自分の目標や適性に合った進路を選ぶことが大切です。
社会人におすすめ!専門学校を見る専門学校と大学を比較しよう
専門学校と大学には、それぞれ異なる学び方の特徴があります。
進学先を決めるには、教育内容や学びのスタイルを比較することが重要です。ここでは具体的な違いを整理していきます。
学びの目的と教育内容
専門学校
専門学校は実践的な職業教育を行い、その分野のプロフェッショナルを育てることを目的としています。そのため、職業に直結したスキルを身につけるための実習や演習中心のカリキュラムが組まれています。企業と連携した実習などが行われていることも特徴的です。
美容師や調理師、自動車整備士など、資格と職業が直結する分野は専門学校が進学先として選ばれることが多いでしょう。
大学
大学では、教養と専門知識をバランスよく学びながら思考力や探究心を養い、知的・道徳的および応用的能力を持つ人材を育成することを目的としています。専門学校と比べて学術的な要素が強く、教育内容も一般教養科目が必修単位として指定されているなど、専門分野以外の学問を広く学ぶように設計されています。
修業年限
専門学校
専門学校の修業年限は1年〜4年の間で、学校が定めることができます。多くは2年制ですが、最近では3〜4年制の学科も増えてきており、以前の短期間で集中的に専門を学ぶスタイルに加えて、プラスαの専門領域をじっくりと学ぶ学科も増えてきています。
大学
大学の修業年限は通常4年間で、教養課程から専門課程へと段階的に進んでいきます。医学部・歯学部・獣医学部・薬学部(薬剤師養成課程)は6年間です。
学部によってはさらに大学院への進学を目指すこともあります。
学費
専門学校
専門学校の入学金を含めた専門学校の初年度納入金の平均総額は、約128万円といわれています(『東京都専修学校各種学校協会」より)
学科や地域によっても大きく異なりますが、多くの学校では修業年限が2年と大学より短いため、総合的な学費は大学よりも安いと言われています。
大学
文部科学省によると、私立大学の初年度納入金は約150万円です。(文部科学省『令和5年度初年度学生納付金の調査結果』より)
それに比べて国立大学は80万円強で、専門学校同様、大学の分野や国公立・私立によっても学費は大きく異なります。卒業までに最短4年間かかりますので、トータルの費用を考えることが大切です。
入試
専門学校
専門学校の入試は面接や小論文を中心とした入試が一般的で、学力試験を課さないことが多く、比較的受験しやすい傾向があります。ただ分野や学校によっては学科試験が課されることもあるため、事前に入試要項を確認しましょう。
大学
大学の入試には一般選抜、総合型選抜、学校推薦型選抜があります。
一般選抜は大学入学共通テストや個別試験の結果で合否が判定される一般的な試験です。総合型選抜はアドミッションポリシー(大学が求める入学生像)に合っているかを基準に置いた試験で、面接や小論文などが中心になります。最後に学校型推薦選抜は、主に「指定校制の推薦入試」と「公募制の推薦入試」の二つに分かれ、学校長の推薦に加えて、内申点や小論文、面接など多面的な評価により合否が決まる入試です。
課外活動
専門学校
専門学校は就職に直結した学びが中心であり、短期間で集中的に学ぶため、大学と比べると余暇の時間が少なく、課外活動の幅は限られている傾向にあります。
ただし中には部活動が充実していたり、3〜4年制の学科では比較的ゆるやかにカリキュラムが組まれていたりする学校もあります。気になる方は、時間割や課外活動について受験前に確認してみると良いでしょう。
大学
大学では部活動やサークル、ボランティア活動、留学など課外活動の選択肢が豊富です。学科にもよりますが、大学は自身でカリキュラムを組むことが多く、比較的余暇の時間も作りやすい傾向にあります。課外活動は、学生一人ひとりの興味を広げたり、人間関係を築いたりする場としても、大きな役割を果たしているといえるでしょう。
卒業後の進路
専門学校
専門学校では就職を前提とした進路が中心となります。元々就職を目的とした学びを行っているため、大学に比べると就職はスムーズです。専門学校の多くは卒業生以上の求人を持っており、就職先に困るということはほとんどありません。ただし、専門外の就職には厳しいので、入学時にじっくりと考えることが大切です。
専門学校の卒業時には2年制では「専門士」が、4年制では「高度専門士」の学位がそれぞれ得られます。
大学
大学を卒業すると「学士」の称号が得られ、進学・就職・資格取得など幅広い進路が選べます。企業に就職する場合は大卒が求人条件となっていることも少なくありません。将来やりたい職業が明確な場合は専門学校、将来の選択肢を広げたい場合は大学、という選び方も一つの基準です。
社会人におすすめ!専門学校を見る大学のメリットとデメリット
大学進学には、学びの広さや将来の可能性といった魅力がありますが、その分、学費や進路選択の難しさなど注意点も存在します。ここでは、大学に進学する際の代表的なメリット・デメリットを整理して紹介します。
幅広い教養と専門知識を段階的に学べる
大学では、1年次に教養を、2年次以降に専門分野を学ぶカリキュラムが一般的です。
幅広く学ぶことで、自分の興味や適性を見極めていくことができます。将来の可能性を広げながら知的好奇心を満たせる点は、大学ならではの大きな魅力です。
将来的な選択肢が広がる
大学卒業後には、就職だけでなく大学院進学や公務員試験など、進路の幅が広がります。さらに、企業の中には「大卒以上」を採用条件とする場合も多く、長期的に見て有利になることがあります。また教員免許や行政職など、一部の資格は大学での単位取得が必要です。
就職活動時の企業の選択肢が多い傾向にある
大学生は、新卒採用市場の主な対象とされており、多くの企業が大卒向けの採用枠を設けています。企業説明会やインターンなどの就活イベントも充実しており、情報収集の機会が豊富です。
幅広い企業へのアプローチが可能になるのは大学生の強みでしょう。
学費・生活費の負担が大きい
デメリットとして考えられるのは、学費・生活費の負担が大きくなることでしょう。
大学は4年間通うため、学費だけでなく、生活費も含めると経済的負担が大きくなります。特に私立大学では年間100万円を超えることもあり、アルバイトや奨学金を利用する学生も少なくありません。
進学前に費用をしっかり把握して、計画的に準備することが求められます。
就職に直結しないため、進路に迷う可能性がある
学部にもよりますが、大学では実践よりも理論を中心に学ぶことが多く、明確な職業スキルが身につきにくい場合もあります。そのため、「やりたいことが見つからないまま卒業してしまう」という不安を抱える学生もいます。 自由度が高い一方で、主体的に将来を考える姿勢が必要です。
社会人におすすめ!専門学校を見る専門学校のメリットとデメリット
専門学校は、短期間で実践的なスキルを身につけられることから、職業に直結した進路を目指す人にとって魅力的な選択肢です。その一方で、進路変更のしにくさや学歴の制限といった注意点もあります。ここでは、代表的なメリット・デメリットを紹介します。
実践的なスキルを短期間で集中して学べる
専門学校は即戦力の育成を目的としており、業界のニーズに沿ったカリキュラムが組まれています。座学よりも実習や演習が中心で、現場に近い形で学ぶことができるのが魅力です。
限られた期間で専門力を高めたい人にとっては、必要のない学問を学ぶ必要がなく、理想的な環境といえるでしょう。
即戦力としての就職に強く、内定率も高い
専門学校では企業との連携が強く、就職活動も手厚くサポートされます。
実習やインターンを通して現場経験を積み、卒業時には即戦力としての評価を得やすいです。また専門学校は専門職種の就職率が非常に高く、学んだことがそのまま仕事に直結します。早く社会で活躍したい人にとって、専門学校卒は大きな武器になります。
学費・生活費の負担が比較的少ない
専門学校は2年制が主流で、通学期間が短い分、トータルの学費や生活費を抑えることができます。大学のように4年間通う必要がないため、早く社会人になって収入を得たい人には経済的なメリットがあります。
資格取得を目指しやすい
専門学校では、国家資格や業界認定資格など、就職に有利な資格の取得をカリキュラムに組み込んでいる学校が多いです。
たとえば、医療事務、調理師、美容師、介護福祉士などの分野では、卒業と同時に資格取得が可能になるケースもあります。また専門分野に隣接した資格を取れる環境も整っているため、卒業時には複数資格を取得出来るケースも数多くあります。
途中で進路変更が難しい
デメリットとして考えられるのは、専門学校は特定分野に特化した学びを行うため、入学後に他分野への変更が難しいことです。
「やりたいこと」が明確でないまま進学すると、途中で合わなくなり中退してしまうというリスクもあります。進学前に業界や職種についてよく調べ、自分の適性を確認しておくことが重要です。
大学卒に比べて条件が限られる場合もある
企業によっては、大卒を応募条件にしているところもあり、専門卒では応募できない求人があるのも事実です。 また、学歴として「専門士」は「学士」よりも扱いが限定される場面もあります。たとえば、海外留学や大学院進学を希望する場合、再度大学への編入を考える必要が出てきます。
社会人におすすめ!専門学校を見る違いを知って、後悔しない進路選びをしよう

大学と専門学校にはそれぞれに強みと弱みがあり、「どちらが正解」ではなく、「自分に合っているかどうか」が大切な視点です。
何を学び、どんな働き方をしたいのかを具体的にイメージして進路を選び、充実した学生生活を目指してください。