食育の主な資格
食生活アドバイザー®
食生活アドバイザー®とは「一般社団法人FLAネットワーク協会」が主催する食育に関する民間資格です。
食生活アドバイザーは「食生活全般のスペシャリスト」。
人が健康な生活を送るための食生活を広い視野に立ってトータルに提案していきます。
食育アドバイザー
食育アドバイザーは「一般財団法人日本能力開発推進協会」が主催する食育に関する民間資格です。
「食育」に関する正しい基礎知識を備え、人々に健全な食生活を送るための食のアドバイスをします。
食育インストラクター
食育インストラクターは「NPO日本食育インストラクター協会」主催の民間資格です。
資格は1~4級までの4段階に分かれています。
食育実践プランナー
食育実践プランナーは「NPO日本食育インストラクター協会」主催の民間資格です。
資格は1~4級までの4段階に分かれています。
食育指導士
食育指導士は「NPO法人日本食育協会」が主催する資格です。
「食と健康」についての正しい知識を身につけ、子どもから高齢者まであらゆる世代の人々に食育の意義を伝えられる人材を認定する資格です。
食育に関する資格は上記以外にもさまざまなものがあります。
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食育の資格にはどんな種類が?よくわかる食育資格パーフェクトガイド
食育とは?
食育とは食に関する知識を教え、育むことです
食に関する知識を教え育むことで、適切に食を選択し健全で健康な食生活を送ることができる人間を育てることが食育の目的です。
人間が知識や道徳を育むにあたってその前提となるのが健康です。
したがって、食育は知育・徳育・体育の基礎と位置付けられるようになりました。
このような基礎となる食育に関心がないとどうなるでしょう。
食育に関する正しい知識がないと、栄養の偏りや危険な食品を摂取することで、健康被害や肥満、学力・免疫力の低下の原因になります。
世の中においしい食べ物や飲み物はたくさんありますが、健康な生活を送るためには、食を楽しむとと同時に「安心・安全」といった視点も大切になってきます。
そのためには、まずご両親が食育を学び、家庭の中で食育を実践することが大切です。
食育を実践している家庭で育った子供は、正しい食生活を身に付けることができ、健康に暮らすことができます。
また、本格的に食育について学べば教育現場や地域で「食育のスペシャリスト」として活躍する道も拓けてきます。
食育を学ぶメリット
子供の学力・体力が向上する
栄養バランスが整った食事を規則正しく摂ることで、集中力がアップし学習能力が高くなると言われています。
そして、毎日の食事の中でとくに重要なのが朝食です。
朝食を抜くと、午前中はエネルギーが不足した状態で活動しなければならなくなり、脳や筋肉を十分に働かせることができなくなってしまいます。
栄養バランスが整った朝食をきちんと食べることでエネルギーがしっかり補給され、身体全体の能力を十分に発揮することが可能になります。
子供の情緒が育つ
毎日の食事は家族との会話を楽しみ、正しい食事作法を身につける大切な時間です。
食事の時間のコミュニケーションは、毎日続けることで社会に出ても通用するマナーや振る舞いを身に付けることに発展します。
また、日本の食文化・世界の食料事情など、食育を通して教えることで、子どもたちに食べることへの感謝の気持ちを育てることにも役に立ちます。
食育はなぜ重要なの?
子ども自身が学ぶ
学び、体を鍛え、道徳を修めなければならない子どもたちにとって、食育はその前提に位置付けられるものです。
私たちが健康な生活を送り、天寿を全うするだけでなく、「健康に生活できる期間を延ばすためにどのような食生活を送れば良いのか」など、食に関する知識を得ておくことは、子どもが自立するにあたって必要不可欠なことであるといえるでしょう。
子どもにこそ食育は必要とされています。
子育てをする親が学ぶ
私たちは食べたものからできています。
安全な食品をバランス良く摂取することで、私たちは健康な心身を保つことができます。
特に成長期にある子どもたちにとってどのような食品を食べて育ってきたかは、大人になってからの健康にも大きな影響を及ぼします。
子どもたちは学校で食育を受けるかもしれませんが、食品を選択するのは子育てをする親の役割です。
子どもだけでなく、子育てをする親にとっても食育は必要な教育と言えるでしょう。
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食育で学ぶこと
食育の定義やその大切さ、食育基本法の概要についてはご理解頂けたと思います。
しかし、「食」と言ってもその範囲は広く、どの角度からどのように学び始めればいいのでしょうか。
そもそも健全な食生活を実践するためには、どのような「食」に関する知識が必要とされるのでしょうか。
「食」を選択する力とはどのようにして習得されるべきなのでしょうか。
以下では食育で学ぶことや、食育を通じて身に付けられる力を3点に絞ってご紹介したいと思います。
安全な食を選択する力
安全な食を選択できないと…
食育では心身の健康を保つために食の安全に関する知識を学びます。
安全性に問題がある食品を口にすることで私たちの心身は害され、最悪の場合死に至ることも。
農林水産省東海農政局によれば、全世界で食中毒にかかる人は少なくとも年間およそ6億人、うち死に至る者は年間約45万人に達しています。
いかに安全な食を選択する力が必要なのかをおわかり頂けたのではないでしょうか。
安全な食を選択するための基礎知識
私たちが自らの健康を守るためには、安全を他人任せにするのではなく、安全性確保のため自らが知識を持つという姿勢が必要不可欠です。
食育基本法でも食育を通じて食品の安全性の確保を図ることを国民に求めています。
また、食育推進基本計画では「食品の安全性に関する基礎的な知識を持っている国民の割合」を90%以上にすることを目標として設定されています。
栄養バランスのとれた食事
肥満を引き起こす栄養バランスの偏り
仮に安全な食を選択できる知識を身に付けたとしても、それだけでは十分ではありません。
安全な食品だけを食べていても、食が原因で病気になったり死に至ることもあります。
栄養バランスの偏った食生活がその要因として挙げられます。
バランスの悪い食事を取り続けることは肥満やそれに付随する病気などを引き起こしてしまう可能性があります。
5人に1人が糖尿病!?
肥満と運動不足の慢性化は生活習慣病に結びつきます。
生活習慣病とは糖尿病や高血圧、がん、脳卒中、心臓病などです。
生活習慣病の代表格である糖尿病患者は約890万人、潜在的な糖尿病予備軍を含めると約2,210万人に達するとも言われています。
実に日本人の5人に1人が「糖尿病」であるともいえるでしょう。
こうした生活習慣病の現状も、食育の必要性が叫ばれる一つの要因と考えられます。
五大栄養素から食事バランスガイドへ
これまでも小学校の家庭科では栄養素のバランスについて教育が行われてきました。
炭水化物、脂質、タンパク質、無機質、ビタミンの五大栄養素や、体をつくるもとになる赤い食品、エネルギーのもとになる黄色い食品、体の調子を整えるもとになる緑の食品といった三色食品群などがその代表格です。
食育ではそこから一歩踏み込んで食事のバランスについて教育が行われています。
「何を」「どれだけ」「どのような料理」で食べれば良いのかについて指針を示すことで、偏りのない栄養摂取の実現が目指されています。
食べ物を大切にする心
621万トンの食品が捨てられている
日本国内でも日々大量の食品が廃棄されています。
その量はなんと約621万トン(年間推計値、2014年度)。
いわゆる「食品ロス」です。
廃棄される理由はさまざまです。
たとえば、売れ残った食品や賞味期限が切れた食品、レストランや給食などで食べ残されたものなど、まだ食べられるにもかかわらず廃棄されてしまっているという現状があります。
世界を見渡せば約8億人が食糧不足や栄養不足に苦しんでいます。
食育ではこうした食品ロスを削減するための教育も行われています。
食べ物が生まれる過程を知る
高度に分業が発達した現代社会では、食べ物が生まれ、育てられる現場をほとんどの人が知りません。
私たちが毎日口にする食べ物たちはどのように生産され、加工され、流通し、私たちの手元に届くのかを全く知らなくとも生きていくことはできるでしょう。
しかし、食品ロスの削減を目指すのであれば、こうした現状を変える必要があります。
食育では、農林漁業や食品工場、市場などの現場に触れることが推奨されています。
食べ物が生まれる過程を知ったり、体験したりすることによって食べ物を大切にする心や生産者に対する感謝の心を育むことが目指されています。
実は「食糧不足」の日本
私たち日本人は飢餓に苦しむ経験から遠ざかっています。
スーパーには野菜も肉も魚も多く陳列されており、一歩街に出れば高級な食べ物からお手頃な食べ物まで無数に存在します。
私たちの豊かな食生活を支えているのは海外産の食糧です。
カロリーベースで見た日本の食糧自給率は40%。
60%のカロリーは海外産の食糧がなければ摂取できません。
飢餓や栄養不足に苦しむ世界の人々がいながら、食糧(カロリー)を捨てていて良いはずがありません。
食育ではこのような日本の食糧事情についても教育が行われています。
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食育を家庭で実践するには?
保育園の食育活動
食育では乳幼児期から良い習慣を身に付けることが大切なため、保育園では厚生労働省『楽しく食べる子供に~保育所における食育に関する指針~』の下に食育指導を行っています。
楽しく食べる子どもに成長していくことを期待しつつ、5つの子ども像の実現を目指しています。
その「子ども像」とはどのようなものなのか見ていきたいと思います。
1.お腹がすくリズムのもてる子ども
1日3食、しっかりごはんを食べるためには、その時間にお腹が空くよう、生活習慣を整えることが大切です。
保育園などでは、午前中に散歩などで体を使って遊び、給食の時間にお腹が空くような習慣づくりを心がけているようです。
2.食べたいもの、好きなものが増える子ども
多くの園では、普段の給食以外にも特別な日にはケーキなどの楽しいメニューが設けられています。
お誕生日会や行事食といった、ワクワクするイベントや季節感が感じられ、食の楽しみが増えるように工夫されています。
3.一緒に食べたい人がいる子ども
先生やお友達のみんなで給食やお弁当を食べることで、人と一緒に食事を楽しむ喜びを感じることができる子供に育ちます。
最近は「孤食」という言葉もありますが、一人ではなく、みんなで一緒に食べることで、“美味しいものがもっと美味しく感じる”体験を増やします。
4.食事づくり、準備にかかわる子ども
多くの保育園では、お芋などの「収穫体験」や、子どもたち自身で料理をする「クッキング体験」のイベントを用意しています。
そこで、盛り付け・食事マナー・片付けなどが学べます。
また食に感謝する心を育むために、みんなで栽培して収穫したものを自分たちで料理して食べたりすることもあります。
5.食べものを話題にする子ども
調理師や栄養士、農家の人に接する機会を作り、食材がどこからくるのかなど興味や食材を身近に感じる機会を増やします。
そして、上のような取り組みから食べ物に関する興味・関心を高め、自然に食べ物の話題に触れる子供に成長します。
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食育の効果とは?保育園での食育取り組み事例
※参考文献:厚生労働省『楽しく食べる子供に~保育所における食育に関する指針~』
食育基本法【トピックス】
食育基本法の概要
食育基本法は食育を包括的に、計画的に推進するために制定された全33条から構成されている法律です。
2005年6月10日に同法は成立し、同年7月15日より施行されました。
食育の定義
食育とは、
(1)生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきもの
(2)様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てること
上記のように食育基本法に定義されています。
食育基本法の目的
食育基本法の最終目的は食育によって生涯にわたって健康で文化的な生活を国民が享受し、結果として豊かで活力ある社会が実現することにあります。
そのためには食育を推進するための包括的な計画が必要になります。
食育基本法は計画の策定にあたっての基本理念を定めるとともに、中央政府・地方政府の責務を明確にしました。
食育基本法7つの基本理念
食育基本法では食育に関する基本理念が定められています。
基本理念は、
(1)国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成
(2)食に関する感謝の念と理解の必要性
(3)食育推進運動展開の必要性
(4)子どもの食育における保護者・教育関係者等の役割
(5)食に関する体験活動と食育推進活動の実践
(6)伝統的な食文化、環境と調和した生産等への配意及び農山漁村の活性化と食糧自給率の向上への貢献
(7)食品の安全性確保です。
※参考文献:農林水産省『食育基本法』
食育講座・スクール比較試験データ
項目 | 内容 |
---|---|
資格・試験名 | 食生活アドバイザー |
試験日 |
【第41回検定】 |
試験区分 | 民間資格 |
主催団体 | 一般社団法人 FLAネットワーク協会 |
受験資格 | 特になし |
合格率 | 3級:65%程度/2級35%程度 |
出題内容・形式 | ■受験科目(3級・2級共通) ・栄養と健康(栄養・病気予防・ダイエット・運動・休養など) ・食文化と食習慣(行事食・旬・マナー・配膳・調理・献立など) ・食品学(生鮮食品・加工食品・食品表示・食品添加物など) ・衛生管理(食中毒・食品衛生・予防・食品化学・安全性など) ・食マーケット(流通・外食・中食・メニューメイキング・食品販売など) ・社会生活(消費経済・生活環境・消費者問題・IT社会・関連法規など) ■出題形式 ・3級理論問題:選択問題(マークシート形式) ・2級理論問題:選択問題(マークシート形式)/筆記問題(記述形式) |
検定料 | 3級 4,700円/2級 7,300円/3級・2級併願 12,000円 |
問い合わせ先 |
食生活アドバイザー®検定事務局 http://www.flanet.jp/index.html 〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-15-10 大山ビル2F 0120-86-3593 |