医療事務の給料が安いと言われる理由は?
正社員以外の方も含まれているため低く見えている
医療事務と言えば、非常に女性人気の高い資格であり、通信講座等で女性人気1位になっていることも少なくありません。
その理由は妊娠・出産後や、子供が小学校に上がったからそろそろ社会復帰をと思った時に、「全国どこにいても働けて」「勤務形態に自由が利く場合が多いから」だそうですが、一方で「医療事務の給料は安い」という話もよく耳にします。
医療事務の給料が極端に安いということはない
しかし、実際に調べてみたところ、クリニックか大学病院かなどで給料の差はありますが、同じ条件下では医療事務は他の事務職と比較して極端に給料が安いということもないようです。
正社員以外の方たちも統計に含まれている
「医療事務が他の事務職に比べて給料が安い」と言われるのは、医療事務はパートやアルバイト、派遣社員という形態での求人も多く、正社員に比べて出勤日数や就業時間が短い人たちも統計に含まれているため、全体の平均額が下がっている可能性があるようです。
医療事務の平均相場は?手取りはどれくらい?
(1)東京都での正社員の場合
年収:平均年収350万程度
他の事務職と比べても特別高いわけではありません。
しかし医療事務の専門的な資格を取得したり、実務経験を積んでくると昇給の見込みが高まります。
また、医療事務のメリットは学歴や年齢による給料の差が少ない点です。
一生懸命スキルアップを図るなら、相応に評価してもらうことができ、医療業界で働く醍醐味を味わうことができます。
(2)東京都での派遣の場合
時給:1,300円~1,700円程度
月収:160,000円~205,000円程度
年収:1,920,000円~2,460,000円程度
資格・実務経験の有無のよって月収20万以上も可能です。
フルタイムで働くことで、正社員と同じくらいの月収を得ることもできます。
(3)東京都でのパートの場合
時給:1,100~1,500円程度
月収:53,000円~120,000円程度
年収:630,000円~1,440,000円程度
東京都の2021年の最低賃金よりやや高めの相場となっています。
勤務日数は週1日~3日程度と少なめだったり、週4日~5日で5時間~7時間などフルタイムに近い働き方ができる求人もあります。
レセプト(診療報酬明細書)業務に関する知識や経験、資格を有している場合は時給アップの可能性もあります。
同じ正社員であっても給料に差が出るのは、病院の規模、地域、スキル、職務経験、最終学歴や年齢などで待遇が変わることがあるからです。
医療事務の給料は役職や立場によって変わる?
キャリアアップでの給料が上がるケースもある
医療事務のお給料も病院など規模によっては役職などの立場が変わることで上がると言われています。
特に大きな規模の病院となると、医療事務の人数も多く医療事務の管理職のポジションがあったり、医療事務以外にも病院内の総務や人事など事務職の幅も広いことから医療事務からキャリアアップすることでお給料が上がるケースもあります。
役職での給料アップは絶対ではない
地域にもよりますが大病院と呼ばれるような大きな規模の病院はそれぞれの地域にたくさんはないため、中規模以下のクリニックや診療所などでは役職につくことは難しい場合も多く、役職が上がることでのお給料アップは難しい場合もあります。
医療事務の主な仕事内容は?
レセプト業務
医療事務の主な仕事内容は医療機関によっても異なりますが大きく分類すると、「レセプト作成業務」と「受付としての窓口業務」がメインのお仕事となります。
レセプト作成業務は医療事務のお仕事として代表的な仕事内容です。
レセプト業務とは「レセプト」と呼ばれる診療報酬明細書を作成することを指しています。
専門的な知識も含まれる
患者が窓口で支払う医療費は、診療内容などを診療報酬点数により計算し、患者が加入している医療保険の負担割合などによって決まります。これら日々の診療報酬データがレセプトに反映されますので、専門的な知識が必要とされるため医療事務の仕事はとても重要なのです。
受付業務
病院の窓口として患者さんに最初に接するポジションでもあるため、接客業務としての役割と患者さんの情報などを看護師や医師へ橋渡しする役割として大切な業務となります。
また、医療費の会計業務が含まれることが多く、会計時に保険薬局への院外処方箋なども手渡すことがあります。
医療事務で働くメリット・デメリット
給料は普通の事務職並みであるにも関わらず、特に医療事務の女性人気が高いのはなぜでしょうか。
その理由は女性のライフスタイルに合わせやすい雇用形態にあるようです。
ここからは正社員・派遣・パートにおけるそれぞれのメリット・デメリットをお話しします。
まず、正社員で働く場合です。
正社員のメリット
・期間が限定された雇用ではないため、定年まで働ける。
・ボーナス、退職金などがある。
・社会保険などの保証がある。
・有給休暇が取得できる。
・産休、育休を取ることができる。
・決まった曜日で休日が取れることが多い
正社員のデメリット
・長期の休みが取りにくい。
・雇用される確率が低い。
・月給を時給換算した場合、派遣等より低くなることがある。
派遣社員のメリット
・期間限定で働くことができる。
・パートよりも時給が高い。
・短時間の勤務もできる。
・派遣会社を通して勤務先を選ぶことができる。
・社会保険に加入できる場合がある。
・有給休暇が取得できる。
派遣社員のデメリット
・3年以上の就労ができない。
・正社員よりも解雇される確率が高い場合がある。
・交通費などが支給されない。
・ボーナスが出ないことが多い。
・都市部が中心のため、地方では仕事が少ない
パートタイマーのメリット
・短時間勤務ができるため、子育て中でも家庭と仕事の両立がしやすい。
・残業が少ない。
・未経験からでも働くことができる。
・産後・育児が一段落したころに社会復帰しやすい。
パートタイマーのデメリット
・時給が安い。
・交通費などが支給されないことがある。
・正社員・パートよりも解雇される確率が高い場合がある。
・ボーナスが出ないことが多い。
どの雇用形態であっても、メリット・デメリットは存在します。
ライフスタイルに合った働き方を
自分のライフスタイルに合った働き方を選ぶことが大切です。
また、女性は結婚・出産などで大きくライフスタイルが変わるため、様々な働き方が選べる医療事務は人気があると考えられます。
例えば、独身時代はフルタイムでしっかり働き、結婚して家事と両立という場合は派遣社員やパートタイマーとして短時間勤務を、などというライフスタイルの変化に合わせた選択がしやすいためです。
医療事務として働く場合、自分に向いている雇用形態は?
では、それぞれの雇用形態について、どんな人、どんな働き方をしたい人に向いているかをお話しします。
正社員
収入的に経歴的も安定し、充実した福利厚生や規則正しい生活をしたいという方に向いていると言えます。
フルタイムでしっかり働きたい方、安定雇用を求めている方は正社員を選ぶメリットが大きいと言えます。
正社員の場合、基本的な給与の他に手当てやボーナスが出るところがほとんどなので、貯蓄をしたいという方にも向いています。
派遣社員
こちらは派遣会社を介しての就職になるため、自分で一から就職活動をする必要がありません。
ただし、期間が限られていて、最長でも3年という決まりがあるので、長く同じところで働きたい人には不向きです。(正社員登用制度などがある場合は、例外となります。)
自分が本当にやりたい仕事に就くために一時期働くだとか、色々な仕事を経験したいという方、少し働いてみて合わなければ気軽に転職したいという方には向いていると言えるでしょう。
また働き方次第では正社員と変わらない収入が得られるので、しっかり働いてその分収入を得たいという方にも向いています。
パートタイマー
派遣とは異なり都心部でなくても就職活動が比較的しやすく、短時間就労の希望が出しやすいため、育児や子育てなどでフルタイムでは働けない方には向いている雇用形態だと言えます。
また、未経験からでも就職がしやすいため、資格は持っているけれど職務経験がないという方でも働きやすいと言えます。
給料アップを狙うなら医療事務資格を取得するのも手
医療事務は資格を持っていなくても就職することができます。
働きながら仕事を覚え、そのあとに資格を取得される方も少なくありません。
しかし、医療事務に関する資格をあらかじめ取得しておくことにはメリットがあります。
働き始めてからの昇給はあまり期待できない
一般事務職と同じように、医療事務の場合、勤め始めてからの昇給はあまり期待できません。
資格を取得しても、それがそのまま資格手当に反映されることは、それほど多くはありません。
そのため、働き始める時点で、医療事務の有資格者であることをアピールすれば時給や月給に反映される場合があります。
また病院によっては、働きながら資格取得することにより給料UPになる場合もあります。
医療事務資格の中でもメジャーな資格
医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)
医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)は合格率が50%~80%の比較的安易な資格試験ですが、医療事務資格のなかではメジャーな資格と言えるでしょう。
雇い主にとっても、基本的な医療知識や接遇・マナーがあることがわかるので、無資格より条件よく就職できる可能性も高まります。
診療報酬請求事務能力認定試験
診療報酬請求事務能力認定試験は医療事務の資格試験の中で最も難易度が高く認知度もあり、病院のみならず、レセプト関連業務などを行う会社からも認められていますので、時給が高くなることもあると考えられます。
診療情報管理士
診療情報管理士は、診療情報の収集、管理、分析などを行う専門職で、窓口業務などを行う医療事務の仕事とは別の役割です。
その為、日本病院会指定大学、専門学校(3年以上)で指定単位を修得し卒業した者、又は、日本病院会の通信課程(2年間)を
終了した者が年1回の試験を受けられます。資格取得のハードルが高いだけに資格手当も期待できます。
資格を取得したら経験を積む
医療事務の上位資格を取得し、経験を積んだあとは、その資格を武器に転職も考えられるようになるでしょう。
診療情報管理士としての資格や実務を武器に転職活動を行い、結果として年収を70万円以上あげることに成功しましたという事例もあるようです。
経験値を積むにつれて、医療事務職のなかでも管理業務などにも携われるようになるため、転職するたびに給料アップに成功している方もいるようです。
まとめ
収入が低いと思われがちな医療事務ですが、実際は給与面において他の事務職とあまり差はありませんでした。
そして、医療事務の女性人気の秘密は、何と言っても雇用形態の自由度が高く、ライフスタイルの変化に強い資格であることです。
最近では男性も子育てに参加してくれる機会が増えてはいますが、妊娠・出産は女性にしかできません。
その女性が結婚しても、出産しても、社会復帰するのに強い味方になってくれる資格、それが医療事務なのです。
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監修者プロフィール
東京三洋電気株式会社エレクトロニクス事業部マイコン応用センター退社後、レセプト専用コンピュータ(医科・調剤)販売会社入社。インストラクターに転身。
その後、一時中断をはさみ、2009年から医療事務講師を務める。・・・ [続きを読む]