日本語教師はやめたほうがいいといわれる3つの理由
日本語教師はやめたほうがいいと言われる主な理由として「年収が低いこと」、「常勤の日本語教師は業務量が多くて大変なこと」、「正規雇用が少ないこと」があります。
本稿では、それぞれの理由とデメリットの解消法を紹介します。
1. 年収が低い
日本語教師の働き方には、常勤と非常勤があります。主に、常勤はフルタイムで働き、非常勤は契約した時間や曜日などの限定した働き方をします。
文化庁の「令和2年度日本語教師の資格創設に係る状況調査」によると、常勤日本語教師の年収は300万円から400万円未満が最も多く、次いで200万円から300万円未満という結果でした。
国税庁の調査によると、日本の給与所得者の平均年収は460万円であり、常勤日本語教師の年収は日本の平均年収を下回る場合が多いと考えられます。
しかし、働く場所によって年収分布は変わる傾向があります。大学等で働く日本語教師の年収は、400万円以上の割合が高いです。
一方で、非常勤講師の給与形態は授業コマ数当たりの単価であることが多く、次に時給制の割合が高いです。授業の1コマ当たりの単価は1,000円から2,000円未満、時給制では1時間あたり2,000円から3,000円未満が最も多いです。
アルバイト・パート求人情報サイト『マイナビバイト』を運営する株式会社マイナビの調査によると、2025年6月の全国平均時給は1,295円です。非常勤日本語教師の時給は、全国平均時給を上回っています。
参照 令和2年度日本語教師の資格創設に係る状況調査
参照 株式会社マイナビ 2025年6月度 アルバイト・パート平均時給レポート
2. 常勤の日本語教師は業務量が多い
非常勤日本語教師の多くは授業コマ数単位で働く一方、常勤日本語教師は授業以外の業務も発生します。
- 授業計画の作成・教材準備
- 出席や成績などの情報管理
- 学生から授業や進学に関する相談
- 進路指導
- 学生の生活面のサポート
- 入学者向けの募集活動
- 他校や行政機関との連絡調整 など
学生からの授業に関する質問に答えることはもちろん、生活や就職、進学などの相談に対応することもあります。さらに管理職に昇進するなどして学校経営に関わるようになれば、学校の経営計画策定や他の教師の採用や指導にも関わることがあります。
このように授業以外に行う業務の量が多いため、残業が発生することもあります。
しかし、常勤日本語教師は学習面と生活面の両面で学生と深く関わることができ、学校の運営にも携われるやりがいのある職業です。
また、さまざまな業務の経験を積みながら、教育課程の編成や他の教員の指導を担う主任教員への昇進を目指すこともできます。尚、主任教員になるためには「常勤教師として3年以上の実務経験があること」などの条件があります。
3. 正規雇用が少ない
文部科学省の令和5年度の報告によると、日本語教師の数は、常勤日本語教師は7,214人、非常勤日本語教師は1,762人、ボランティアは23,281人です。割合で見ると、ボランティアは約50パーセントいるものの、非常勤や約30パーセント、常勤にいたっては約16パーセントです。
調査結果から、日本語教師の半数はボランティアによって構成されていることがわかります。このことから、多くの日本語教師は収入や福利厚生、雇用条件が良いとはいえない環境で働いている現実が見えてきます。
とはいえ、ボランティアから非常勤、非常勤から常勤へキャリアアップすることは可能です。
2022年10月より日本語教育機関に対して専任教員を3名以上持つことが義務づけられることとなったため、常勤講師の需要は今後増加することが予想されています。
また、ボランティアや非常勤の日本語教師の方が収入の安定化を図るための方法の一つとして、副業をすることがあります。
本業とあわせてフリーランスの日本語教師、または、オンラインの日本語スクールの講師として働くことで収入を増やすことが可能です。オンラインスクールであれば海外の顧客を獲得することができます。
また、外国人従業員に日本語教育を行っている企業で日本語研修の講師になる選択肢も存在します。
参照 文部科学省 令和5年度国内の日本語教育の概要 4.日本語教師等の数
参照 出入国在留管理庁 日本語教育機関の告示基準
日本語教師の仕事はこんな人におすすめ!
教えることが好きな人以外にも、日本語教師は以下に当てはまる人におすすめの仕事です。
日本と外国の文化について学ぶのが好きな人
日本語教師をしていると日本語だけでなく日本の文化について生徒に教える機会が多くあります。
まず自分自身が日本の文化や生活習慣について深く理解することが、異なる文化的バックグラウンドを持つ外国人の生徒を指導する上で重要です。
また生徒の出身国の文化や宗教観がどのように日本と違うのかを知ることで、より生徒に寄り添った指導ができる日本語教師になれるでしょう。
異文化や、異文化交流に興味のある人にとって日本語教師はやりがいのある仕事になりえます。
海外で働いてみたい人
2021年度の国際交流基金の調査によると、日本語教育は全世界141の国と地域で実施されています。日本語学習者は約380万人、教師は約74万人にも及びます。
地域別で見ると、東アジア(特に中国、インドネシア、韓国)の学習者の割合が高いです。学習者が多いと、当然のことながら教育機関や教員の数も多く、日本語教師の重要性がうかがえます。
また、世界全体の教師の働き方は、常勤74パーセント、非常勤26パーセントと、日本国内よりも常勤教師として働く人の割合が高いです。
海外で働きたい方は、日本語教師として就職することも一つの方法ではないでしょうか。
ワークライフバランスを重視する人
常勤と比べて雇用が安定しているとは言い難いですが、非常勤やフリーランスの日本語教師は自分の生活に合わせて仕事のスケジュールを調整することができます。
育児や介護など自分のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方ができることが非常勤やフリーランスの日本語教師の魅力です。日本語教師は副業にも適した仕事だといえるでしょう。
年齢にとらわれずに働きたい人
一般的に、日本語教師は年齢制限のない職業といわれています。
50代、60代からでも日本語教師になることは可能です。定年退職後のキャリアとして日本語教師を選ぶ人も少なくありません。
文化庁の「令和3年度国内の日本語教育の概要 年代別日本語教師等の数」によると、国内の日本語教師全体の19.7%が50代、22.8%が60代、12%が70代以上です。
国内の日本語教師の実に半数以上が50代以上であることから、日本語教師は年齢にかかわらず活躍できる職業だといえるでしょう。
参照 文部科学省 令和5年度国内の日本語教育の概要 (3)年代別の日本語教師等の数
日本語教師が不向きな人の特徴
反対に、日本語教師に不向きな人の特徴としては以下があります。
時間外労働をしたくない人
日本語教師になりたてのうちは、授業の準備に時間がかかるため、時間外労働が多くなる傾向があります。
また、常任講師として働く場合は、授業以外にも事務仕事や学校の運営に関わる業務、生徒への対応などを行うために残業をしなければならないことが多々あるでしょう。
定時に仕事を終わらせたい人は日本語教師の仕事には不向きといえます。
効率良くお金を稼ぎたい人
日本語教師は、さまざまなバックグラウンドや苦手分野を持つ生徒を時間と労力をかけて教える必要があります。
教育は人の成長に関わる仕事のため効率の良さだけを追い求めることは難しいです。
また、一般的に日本語教師は高い給料が稼げる職業ではありません。
「給料の金額も重要だが、やりがいをより重視したい」という人でないと日本語教師は向いていないでしょう。
柔軟性や積極性に乏しい人
日本語教師には生徒のニーズに沿った柔軟な指導ができる能力が求められます。
教科書通りに指導するだけでは生徒の日本語力を向上させることは難しいため、授業内容を生徒たちの理解度に合わせることも必要です。
また、海外で日本語教師として働く場合は、積極的に現地の生活・仕事環境に慣れないとストレスで仕事を続けられなくなるリスクがあります。
臨機応変に主体性を持って行動できることは日本語教師を自分のキャリアにする上で重要です。
日本語教師の国家資格「登録日本語教員」は取得するべきか?
登録日本語教員とは
2024年4月から日本語教師の国家資格「登録日本語教員」が新設されました。近年、日本に滞在する外国人の数が増えており、日本語学習者の数も増加傾向にあります。そのため、日本語が母語ではない方に日本語を教える日本語教師の重要性が高まっています。
このような背景から、日本語教育の質を担保するために「登録日本語教員」の資格が誕生しました。
また、一定の条件を満たした学校は、文部科学大臣から「認定日本語教育機関」として認められます。この認定校で日本語教師として働くには、「登録日本語教員」が必要となります。
未経験者がこれから目指すには?
日本語教師として働いたことがない未経験者が「登録日本語教員」を目指すには、主に「養成機関ルート」と「試験ルート」があります。日本語教員試験(基礎試験・応用試験)への合格が必須です。
| 養成機関ルート | 試験ルート | ||
| ① 登録実践研修機関と登録日本語教員養成機関の登録を受けた機関で課程を修了する | ② 登録日本語教員養成機関の登録を受けた機関で課程を修了する | 独学で試験を目指す | |
| 基礎試験 | 免除 | 免除 | 〇 |
| 応用試験 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 実践研修 | 養成課程で実施 | 〇 | 〇 |
養成機関ルートでは、スクールや大学などに通って日本語教師に必要なカリキュラムを勉強します。養成機関に通う受講費用と時間がかかるものの、基礎試験が免除されるというメリットがあります。また、①のルートは養成機関で実践研修を受けられます。
試験ルートでは、養成機関に通わずに独学で試験を目指します。基礎試験と応用試験の両方を受験し、別途実践研修を受講しなければなりません。しかし、養成機関ルートよりも費用を抑えることができ、自分のペースで学習できるのが魅力です。
未経験者でも取得できる?
「日本語教育に携わったことがないけど、資格を目指せる?」と不安な方もいるかもしれません。しかし、未経験者でもしっかりと学習すれば、資格取得は可能です。
日本語教員試験の受験資格には特定の条件はなく、誰でも受験できます。職歴や学歴、年齢など一切関係なく、母語が日本語でない方でも目指せる資格です。
もちろん、日本語教員試験に合格するには、専門的な知識やスキルを習得していなければなりません。第1回日本語教員試験の合格率は次の通りです。
| 基礎試験・応用試験受験*1 | 応用試験受験 (基礎試験免除) |
全体(試験免除者*2も含む) | |
| 合格率(%) | 9.3 | 61 | 62.6 |
1:試験ルート(基礎試験・応用試験受験)での合格率は8.7パーセント。
2:現職者向けの経過措置対応として試験免除のルートがある。
全体の合格率は6割以上ですが、現職者や試験免除の方も含めた数値であるため、未経験者が初めて受験して6割の合格率を出せるとは限りません。さらに、試験ルートの合格率は10パーセントを切っており、非常に難易度が高いことがわかります。
誰でも合格できるほど簡単ではありませんが、試験対策をしっかり行えば未経験者が合格することは可能です。
資格取得のメリット
実は、「登録日本語教員」は「認定日本語教育機関」以外の場所で働く際は必ずしも必要な資格ではありません。
しかし、資格取得にはさまざまなメリットがあります。
認定日本語教育機関で働ける
「登録日本語教員」を取得していると「認定日本語教育機関」で働けます。
新制度への変更にともない、今後「認定日本語教育機関」以外の機関で留学生の受け入れができなくなります。しかし、日本における日本語学習者の半数以上が留学生であるため、「認定日本語教育機関」に日本語学習者が集まりやすくなると予想されます、
そのため、今後「認定日本語教育機関」は増加する可能性があります。「登録日本語教員」を取得していれば「認定日本語教育機関」で働けるため、就職先の選択肢が広がります。
認定日本語教育機関以外でも有利に働く
「認定日本語教育機関」以外の機関では国家資格が必須ではありません。しかし採用条件には、文化庁が認める研修の修了や民間資格の取得、大学での日本語教育の専攻や実務経験といった一定の条件を課されることが多いです。
その一つに「登録日本語教員」が求められることがあります。「認定日本語教育機関」以外でも資格を活かせるため、就職活動の際には有利に働きます。
基礎からスキルを身につけられる
日本語教師は、学習者に正しい日本語能力を身につけさせるための専門知識やスキルが求められます。「登録日本語教員」は日本語教師の質を担保するために新設された資格であるため、資格勉強をする中で必要なスキルを学ぶことができます。
特に養成機関に通う場合は、カリキュラムに沿って学習を進められるため、初心者でも基礎から学ぶことができます。
まとめ
年収の低さや仕事の忙しさ、雇用の不安定さから「日本語教師になるのはやめたほうがいい」といわれることがあります。
しかし、常勤講師や主任教員へのキャリアパスは存在し、年収を上げられる可能性もあります。
オンラインの日本語学校やフリーランスの日本語教師を副業とすることで、収入を安定化させることも可能です。
また、日本語教師は年齢にとらわれずに働きたい人や海外で仕事をしたい人、仕事と生活のバランスを取りたい人にとって魅力的な職業です。
自分の希望する働き方や自身の適性と合えば、日本語教師はやりがいを持って長く続けられる仕事です。
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